創刊から一周年になるMIRA文庫。本書アレックス・カーヴァの「悪魔の眼」で初めて手にとって判ったのだが、出版社はかのハーレクイン社だったのですね。ロマンス小説だけではなかったのだ。
三人の少年を殺害した犯人の死刑執行から三か月。小さな田舎町プラットシティで手口が酷似した少年殺人事件が発生する。模倣犯の仕業か、それとも死刑になったのは真犯人ではなかったのか、FBIのプロファイラー、マギー・オデール捜査官は真相をつきとめるため調査に乗り出すが、二人目の被害者がでる。町の保安官ニック・モレリとともに懸命の捜査を続けるマギーだったが、それを嘲笑うように、ニックの甥ティミーが行方不明になる。はたして、犯人をつきとめティミーを救うことができるのか・・・。
しばらく前からいわゆるサイコ・サスペンスが流行で、検屍官やプロファイらーが猟奇殺人の犯人と対決するといったパターンの話がたくさんある。そういう意味ではこの「悪魔の眼」もいささか手垢がついたネタで新鮮味に欠けるのが残念だ。比較的早い段階で、真犯人とおぼしき人物が読者にも提示されるのだが、そう思わせておいて、実は・・・、といった展開で二転三転するあたりは、実に巧みな話の運びだ。それだけに、マギーが過去の事件のトラウマを引きずっている点や、明らかに続編を意識した終わり方など、どこかで読んだような印象が拭えないのが惜しまれる。
また、一方の主役である保安官ニック・モレリがあまりにもお粗末。なかなかの二枚目で女性にもてるらしいのだが、性欲だけは一人前で捜査の方はさっぱりといった様子だ。なにもスーパーマンである必要はないけれど、もう少ししっかりしてもらわないと小説の主役は務まらない。これにはゲンナリだ、まるで現実の自分を見ているようで。
| 書名 | 悪魔の眼 |
| 作者 | アレックス・カーヴァ |
| 翻訳 | 新井ひろみ |
| 出版社 | ハーレクイン |
| ISBNコード | 4-596-91044-8 |