本の帯に「第二のパトリシア・コーンウェル」とあるのだが、たしかにこの作品、サラ・ラヴェットの「フクロウは死を運ぶ」にはパトリシア・コーンウェルを連想させる点が多い。ともに主人公が専門性の高い仕事をもつ女性である点も共通点だが、こちらのの主人公シルヴィア・ストレンジは精神分析医である。
逮捕時の警察の不手際と、精神鑑定を行ったシルヴィアの証言がもとで、少女をレイプした犯人は釈放される。しかし、ほどなく釈放された犯人が生きたまま火を放たれ、遺体となって発見される。そして、第二の犯行を暗示するメッセージがシルヴィアに届くと、またしても一人の性犯罪者が残虐な殺され方をする。やがて捜査線上に武器の密売人で、FBIとの対決で爆死したと思われていたデュポン・ホワイトの存在が浮かび上がってきた。はたしてデュポン・ホワイトはまだ生きているのか、そして犯行の動機は・・・。
最近、低迷期の感のあるパトリシア・コーンウェルと比較するのも気がひけるが、この作者サラ・ラヴェットはストーリの展開もなかなか上手だ。シルヴィアのカウンセリグを受けている執行猶予中の青年の事件との関係、意外な真犯人への伏線のはり方、そして背後にある巨悪の存在など、全体の構成はよく考えられている。読んで損はない一冊といって良かろう。
だたし、よけいな心配だろうけれど、シリーズ物としてみると、精神分析医という職業は結構つらそうである。検屍官という職業ならば、その接する犯罪は多様であるが、精神分析医ではパターンが固定してしまいそうである。それをどのようにクリアしていくかが今後の楽しみである。
「美しき友情のはじまりだな」
とは、本書のラストの文章だ。映画「カサブランカ」のコピーであるが、これはいささか取ってつけたようで、まあご愛嬌といったところか。
| 書名 | フクロウは死を運ぶ |
| 作者 | サラ・ラヴェット |
| 翻訳 | 阿尾正子 |
| 出版社 | 扶桑社 |
| ISBNコード | 4-594-03618-X |