「ドリームチーム弁護団」でデビューしたシェルドン・シーゲルの二作目「検事長ゲイツの犯罪」である。邦題には”ドリームチーム弁護団”とサブタイトルがついていることから判るように、前作同様マイケル・デイリーが活躍するリーガル・サスペンスとなっている。
サンフランシスコ地区の検事長であるプレンティス・マーシャル・ゲイツ三世(通称スキッパー)は弁護士を営むマイケル・デイリーにとって仇敵ともいうべき人物である。ところが、デイリーは、そのスキッパーから刑事事件の弁護の依頼を受ける。スキッパーは州司法長官に立候補し、その選挙戦のさなかに、殺人の容疑で逮捕されたのだ。こともあろうに被害者は十代の少年で、ゲイの売春常習者。現職検事長がからんだ事件にマスコミは大騒ぎとなるが、スキッパーは容疑を全面否定。”イヤな野郎”だが、殺人は犯さないだろうと信じていたデイリーだっがた、警察の捜査によってスキッパーに不利な証拠が次から次へと発見される。一方、事件の謎を解くために行方不明の被害者の友人を探すデイリー自身にも災難が・・・。
事件の結末に少しすっきりしない所が残るものの、不利な状況でいかに無罪を立証するか、そして事件の真相はいかに、といったリーガル・サスペンスのツボはしっかり押さえてある。しかし、あまたのリーガル・サスペンスの中でこのシリーズの魅力はなんといってもマイケル・デイリーを中心とする”ドリームチーム弁護団”そのものにある。なにしろ、デイリー自身が成績不振で事務所をクビになった前歴があるうえ、デイリーに協力するのは別れた元妻ロージー、デイリーの弟で元警官のピート、ロージーの兄トニーと、まるで家内工業なんですね。そのチームが権力を相手に善戦する姿がおもしろい。デイリーの毒舌振りも健在だ。
「だれがいちばんいい? だれを犯人に仕立てるんだ?」
私は黙りこくっている顔を見渡した。「ひとりを選ぶとすれば、ホルトンがいいと思う。(中略)それに、彼はもう自分を弁護できないからな。完璧にして信頼できる弁護論だよ」
モリナーリが言う。「その弁護論ってのは?」
「怪しいときには、死んだ奴のせいにしろ、っていうものだ」
ところで、デイリーと別れた元妻ロージーの関係は実にうらやましい。それこそ、夢のようであります。
| 書名 | 検事長ゲイツの犯罪 |
| 作者 | シェルドン・シーゲル |
| 翻訳 | 古屋美登里 |
| 出版社 | 講談社 |
| ISBNコード | 4-06-273445-1 |