看板
名は必ずしも体を表わさず


湯島から神田にかけては,古い雑居ビルが多くあります。そんなビルには,おやっと思う看板がしばしば掲げられています。お昼ご飯目指して走りながらも,通りすがりについ目にとまってしまう。その看板たちの伝聞とうろ覚えだらけの来歴です。
ほんとはここぐらい,写真が欲しいですね。

歩け歩け協会

日本歩け歩け協会は水道橋の三崎町にあります。以前須田町か淡路町で,手甲脚伴に身を固めという風情のいかにも健脚そうなご老人が,歩け歩け協会という看板のビルに入っていくのを見た記憶があるのだけれど。引っ越したのかなぁ。とにかく,日本歩け歩け協会は社団法人格も持っている全国組織。
東京歩け歩け協会は三崎町の同じビルに入っており,県単位->市町村単位->ブロック単位/同好会サークルというふうに加盟団体が階層構造化しているらしいです。これらの加盟団体の大部分は歩け歩けという名前をそのまま戴いているが,中には命令形では悪いと思ったのか,"歩こう協会"とフレンドリーに誘ったり,"歩く協会"と魁より始める意思を示したりしているところがいるのが奥床しく,思わず隣を歩きたくなります。

伊勢丹

昌平坂通りでも昌平橋よりにある,ガソリンスタンドの敷地の角に伊勢丹発祥の地という小さな碑(石柱)が立っている。伊勢丹と聞くと今は新宿に本店のある百貨店がまず浮かびますが。そう言えば,昔は外堀から水路が引かれてこの近辺には船で運ばれた羅紗を扱う服地屋さんがたくさんあったよし(今でも肉の万世の裏から岩本町にかけて服飾関係の問屋さんがありますね)。そのうちの1軒だったのでしょうか。

イノチシラズ印

本郷通り沿いに外神田から本郷へ歩いていく途中の,平井康之商店というお店のウィンドウにイノチシラズ印というプレートが掛かっています。してその実態は,どうやら元は火消し半纏を作っていたのでこんな商標になったよし。今は制服衣料の製造販売をなさっているようですが,イノチシラズ印のシャツがあったらぜひタグを外側に見せておきたいもの(ちょっと挑発的かな)。
蔵前橋通り沿いに,イノチシラズと良い勝負のすごいネーミングのものを売っていた記憶があり探してみたのですが見つかりませんでした。確か,耐震防災用品だったと思ったのですが。なんだったかなぁ。

鰯と鯨

湯島から東大前まで本郷エリアには,いわしという名前の看板を掲げるお店が数軒ある。ずばりいわしやというのもあるし,いわしやナントカというのもナントカいわしやというのもある。別に東大の皆さんが鰯料理好きなのではなく,いずれも医療機器や介護機器を製造販売しているお店です。場所的に東大医学部が近いのは分かりますが,なぜいわしなのでしょう。昔日本橋にいわしやという薬種屋があったらしいけれど,全部それの分家でもあるまいし。さらにこのエリアには同業で鯨屋というお店もある。よりによって,一番小さい魚と一番大きな魚(本当は魚じゃないけど)。
3文字で語呂が良く,大量に取れて網元を富ませる魚というと鰊も有資格者ですが,さてにしんやさんはどこかにあるのでしょうか。

うってはいけない

根津から池之端を過ぎて湯島までは寺町でお寺が多く,その門前にはお蕎麦屋さんがちょこちょこあります(どういうものかお寺の門前町にはお蕎麦屋さんが多いですね,習わぬ蕎麦を打つ)。その中の1軒に,手揉みうどんと手延べそばと看板あり。どうしても手打ちとは名乗りたくないのかな。

お土地柄

秋葉原を歩くとPCや部品,周辺機器のチラシが沢山配布されたり張り出されたりしています。過日,なぜかその中にハムスター。写真付きの本当のロボロフスキーハムスターあげますの貼り紙なんだけど,付近のビラと完全にモードがシンクロしている。生産地ロシア,性能不明,在庫12匹,納期2〜3日,配達不可引き取り不可。生きモノを部品と等し並みに扱う事に眉を顰める向きもあるでしょうが,どちらかと言うと思わず笑ってしまいました。多分,どこかのお店の人のお宅で,飼いはじめたものの予想を越えたネズミ算で増えたハム君たちの処遇に困ったんでしょうね。
ちなみに最初は単体価格が表示された売りますビラだったのが,何日かしたら無料で差し上げますに変わっていました。やっぱりよほど困ってるんでしょうね。

替え歌

いつぞや12月か1月くらいの帰宅時に,蔵前橋通りの交差点を歩いていたら流しの竿竹売りの声。あれは夏のものだろうと思いながらも何気なく聞き流していたけれど,どこか変な感じ。良く聞き直してみたら,よく軽トラックでやってくる竿竹屋さんの売り声とまるで同じ節なのに売っているのはピザ。"さおやーさおだけっ"のリフレインは"ぴざぱーいぴざぱいっ"。"20年前のお値段です"のところは"宅配ピザの半額です"とほとんど完璧な替え歌状態。話して(歌って)いる声も矢鱈良く似ている。
思わずどんなクルマの屋台なのだろうと通りの反対側を探したのですが,冬の夕方で声はすれども姿は見えずだったのが残念(だから正確には看板じゃないんだな)。

郷里のひびき

本郷のあたりは銀行の支店が多いです。大手都市銀の合併後など,本郷ナントカ支店(ややこしいのでサブ名を付けるらしい)がほんの目とハナの先にありました。しかも都市銀行だけでなく全国各地の地方銀行の支店も多い。なんでも,昔々東大に通う地方出身の俊秀へ実家から仕送りが便利なように設けられたとのことです。本当かなぁ。
もっとも,最近は銀行の再編とオンラインであちこちから使えるようになったのと両方で,閉鎖になったりATMだけの出張所になったりした支店もそこここに見掛けます。

謙虚な取り放題

エリアもちょっと違うし常設の看板でもないのですが,この前小岩を歩いていたら,商店街に"現金つまみどりセール"という垂れ幕が掛かっていました。つかみどりというのはときどき見かけるが,つまみどりというのは初めて。
やっぱりお箸か何かを持たされて,箱の中から小じんまりとつまみ出すんだろうか。でもつまむ対象が紙幣だったら,10円玉100円玉主体のつかみどりよりずっと豪華になりそう。

コマーシャルの言う通り

昌平橋通りに,ワンコインタクシーという看板を付けた何だか変わったタクシーが停まっていました。ワゴンタクシーはときおりいるけれど,それともシルエットが違う。気になってそばへ行って見るとFunCargoでした。2.16立方メートルの広さがあるから21インチディスプレーも積み放題,120cmの高さで新色iMacも箱ごとまっすぐ入るんです。なるほどファンカーゴでタクシーやるのも,いいよね,勝手でしょでした。
ちなみに初乗580円のワンコインタクシーのだそうな。通常より安いのは頑張っているけれど(今は660円でしたっけ?),580円ではどうやっても硬貨2枚以上になると思う。

こんにゃく協会

神田須田町に日本こんにゃく協会というのがあります。農水省の下部(外郭)団体にあたり,海外からのこんにゃくの輸入窓口と国内のこんにゃく宣伝広報活動をやっているらしい。宣伝広報というのはどういうものなのか実態は謎だけれど,例えば5月29日をこんにゃくの日に決めたのもこの協会だそうです。
神田多町には,全国こんにゃく協同組合連合会の入った蒟蒻会館(これだけ漢字)というのがある。こちらは実際のこんにゃく屋さん(製造業者)の集まりで,日本こんにゃく協会の下部組織にあたる。ついでにこんにゃく料理屋さんなどやると,場所柄,昼はダイエットのお供夜は日本酒のお供と両面で回せて結構受けるかも。

坂の名前

聖橋側の新お茶の水駅出口から万世橋へかけて,神田川沿いに長い坂道があります。坂の上に説明のポールがあり,淡路守お屋敷横で淡路坂と明快。ところがこの後がややこしい。まず,別名で一口坂とか相生坂とか呼ばれたそうですが,千代田区内に同じ名前の別の坂がある。一口坂は九段下で,レコーディングスタジオが有名。相生坂は神田川を挟んで反対側,湯島聖堂横。
しかも,淡路坂と昔呼ばれていた坂も別にある。霞ヶ関の三年坂で,この坂で転ぶと3年の間に世を去るという物騒な俗説があったそうな。さらにさらに,三年坂という坂はもう1つ五番町にもあり,近くのお寺の名前を取った三念寺坂が変化したものです。こんなに同じ名前の坂だらけで,場所を教えるとき大丈夫だったのでしょうか。

実のところ

秋葉原の外円,末広町あたりに"不安と不便を売る店"と張り紙したジャンク屋さんがありました。ご丁寧にも"unsafe and inconvenient products"とも書いてある。オウンリスクで買ってね,使って何かあっても知らないよというところですね。これはシャレとしても,実はPC関連ってみんなとっても不安でけっこう不便だったりするような(それはあなたがタコだから,ですね)。

畳上の訓練

湯島の昌平坂通り沿いに,東京畳高等訓練学校という札が出ています。なるほど雑居ビルの1Fですが,戸口の前には畳の芯(?)らしき板状のものが積んである。次に前を通ったときに良く見たら,ビルの名前が東畳ビル。思わずフロアごとの名札を良く見たら,2Fが東京畳工業協同組合とあった。おそらくこちらが都内の畳屋さんの同業者団体かつビルの大家さんで,1Fに後継者育成のため実技指導の場を設けたのですな。通りかかったのが朝と夕方放課後だったから,先生も生徒もなかなか見かけなかったのですが。
ということで,こちらは私立(?)のようですが,水道橋駅近くには都立の工芸学校や職業訓練校もあります。職業訓練には表具コースがあり,襖張りの技術も学べます。畳,襖と来たら後は床の間ですね。
この前3月下旬に東畳ビル前を通ったら紅白の幕が引かれ,中で祝杯があげられていました。卒業式だったのかしら,みんな大人に見えたけれど誰が生徒だったのかな。
ついに生徒さんを見ました。1回目は揃いの青いシャツで1人1枚ずつ作業台に乗せられた畳に取り組んでいました。2回目は私服で椅子に掛け,先生の話を聞いていました(板書には店舗運営と差別化とか書いてあった,経営論ではないか)。皆さんごくごく若かったので,3月に見たのはやはり卒業生を送り出した先生方の慰労会だったようです。

ダンスダンスダンス

本郷の東大の向かい赤門と正門の間くらいのビルに,日本ダンス議会という札を見かけました。協会かなと思って見直したけれど,やっぱり議会だった。まさか,会議は踊るってシャレではありますまいね。
どうやらJapan Dance Councilと言って,TVで放映するような選手権の出場選手クラスの方が参加する権威ある団体のようです。でもなんで議会なんだろう。

展示中

湯島の昌平坂通り沿いの喫茶店に,電車模型走行台常設展示中という札がかかっています。これが結構不思議。展示の主体はヤジマ製作所鉄道模型部とあります。例えばヘンケルの刃物やアダプテックのSCSIみたいに,鉄道模型の世界では有名なメーカーなのでしょうか。もしそうなら,部というのも非鉄金属部みたいに会社組織の部課なのかなぁ,つまり商品の見本展示。でも,なんだか囲碁将棋部のように同好会の部の気もするし。こちらなら趣味の作品展示ですね。
走行台というのはジオラマみたいなものなのかな。喫茶店にあるということは,マスターが電車模型マニアなのかな。喫茶店だけど何も飲まなくても大丈夫かな,もし売り物だとしたら見るだけで購入しなくても大丈夫なのかなと例によっていろいろ考えるだけ考えています。いっぺん入って見てみれば謎も氷解するのでしょうけど。

両方じゃないでしょうね?

いささか別路線に乗り換えて駒込から日暮里あたり歩いていたら,新潟出身なのか"へぎそば"を打ち出したお蕎麦屋さんが。へぎそばは昔いただいて結構好きなので近寄ってみる。でも,"へぎ天ざる"なるメニューもあり。頼むと,天婦羅に(サイズは知らねど)へぎそばとざるそば両方付いて来たら,それはちょっと困るぞ。

猟友会

秋葉原の日比谷線側,昭和通り沿いに東京猟友会という隷書体みたいな看板が出ています。さすがにこの辺でハンティングは無理だと思うけれど。案外この頃はペットの意外な動物が逃げまわったりするから,都心でも活躍するのかも。2000年秋頃の麻布のおサル騒動のときはこちらにも連絡があったのかもしれません。


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