欧州ツーリング記


<7月 12日>

いよいよツーリング最終日、天候も良好だ。早目の朝食を食べて、8時過ぎには出発する。リンダウの市街地を、ボーデン湖を回りこむようにパスし、スイス国境を越える。いよいよ、陸路最後の国境越え、今回はノーチェックでスイス入り。湖岸を離れると、目指すは古き良き小村アッペンツェル、標識が出ているので、道に迷うことなくバイクを進める。タイトな、でも優しいワインディングを駆け抜けると、丘の切れ目から急峻な頂が覗く。最後の日まで、飽きることなく続く景観とワインディング、まさにライダーにとっては天国である。


ほどなくしてアッペンツェルに到着し、駐車場にバイクを停める。観光地でのバイクの扱いは、日本に比べて圧倒的に良く、ほとんどの駐車場でバイクを停めるスペースが確保されているのがありがたい。でも、面倒ではあるが、ワイヤーロックを怠らないようにしなければならない。治安面では、用心するに越したことはないのだから、自衛あるのみ。
アッペンツェルは、直接民主政治と、美しく装飾が施された建物で有名な村だが、あまり知名度は高くないと思っていた。しかし、ここで日本の某大手旅行社のツアー客に出会う。日本のツアーも捨てたものではないのかもしれない。向こうにしても、こちらの姿が珍しいようで、レンタルバイクで走っている事を告げると驚かれた。
オープンカフェで休憩の後は、時間調整をしながら、バイク返却のためにチューリッヒを目指す。帰りのフライトを考えると、昼過ぎには店に着きたいところだが、高速を使うほどの距離でもないので、ツーリングの最後を締めくくるようにローカルワインディングを駆け抜ける。一部にCH8を使うが、主にローカル道を走り、昼前にヴィンタートゥーアに到着、チューリッヒは目前なので、国道沿いのカフェで昼食を取り、ガソリンも補給。ここからは、チューリッヒ市街地を嫌って、高速道路を使い、13時30分頃いよいよチューリッヒの店に帰ってきた。昨日の雨で汚してしまったけど、一緒に快走してきたZR-7にも感謝、本当に頼りになる相棒だった。
店に戻ると、玄関も裏口も閉まっている。どうやら、ヨーロッパでは良くある話だが、13時30分までは昼休みのようだ。そろそろ開店かな、と思ってると、125ccのオフローダーがこちらに手を振りながら入ってきた、がフィルスト氏ではなさそうなので、怪訝に思ってると、明らかに日本人だ。話をしてみると、同時期に輪嘶舎でバイクレンタルを申し込んだMさんだった事が判明、日本から遠く離れた地での顔合わせに、他人のような気がしない。どうやらMさんは、ミドルクラスのバイクを希望していたが、あいにくZR-7は使用中で、ZZ-R1200しか残っていなかったので、僕と入れ替えでZR-7を使おうと戻ってきたそうだ。少し申し訳ない気分になったが、ZR-7の快調さとこれまでのルートの話をして、フィルスト氏を待つ。が、14時を過ぎてもフィルスト氏は現れないので不審に思ったところ、玄関ドアに小さく張り紙がしてあるのを見つける。ドイツ語で訳が分からないが、16という数字は見て取れる。まさか、16時まで戻らないのか? フライトの時刻もあって少し焦るが、こちらとしては打つ手がないので、Mさんと話をしながら待つことに。
Mさんは学生で、国内ではほとんど町乗りにしかバイクに乗っていないらしいが、興味を持ったらじっとしていられずに、初ツーリングに欧州を選んだらしい。そう、いくらウンチクを言ったところで、実際に経験した者にしか見えない景色、味わえない雰囲気が旅の醍醐味、困難を乗り越えてでも、来た者、走った者が勝ちなのだということを、見せられた気がする。Mさんのツーリングの無事を祈り、余ったフィルム等の日用品を渡しているとフィルスト氏がやって来た。良かった、何とかフライトに間に合いそうだ。
店で返却手続きと着替えをし、ツーリンググッズをスーツケースにしまうと、いよいよ欧州ツーリングも終わることを実感する。本当に、快走の毎日と無事で終えられたことに、我ながら感動する。フライトまでの時間もないことから、フィルスト氏に空港まで送ってもらうことになる。電車で行っていては、到底間に合わない。車中で、ツーリ
ングのルートとバイクの完調さを話しているうちに空港到着、本当にありがとう、そしてまたお会いしましょうと最後の握手を交わして別れる。走行距離1500kmのツーリングも、本当の意味で終わりを告げた瞬間だと思う。
今日は、明日のフライトに備えて、チューリッヒからアムステルダムに移動し一泊する。だが、アムス到着は20時なので、本当に移動と宿泊のみだ。空港までシャトルバスを運行するホテルを日本で予約していたので、アムス着後も空港に直行して眠るだけだ。スーツケースを引きながら、ツーリングの終わりを、今更ながら実感する。

<本日のデータ>
  走行距離:215km(By Motorcycle)
  ホテル:\10900(クーポン払) ガソリン代:SF16 食費:SF18+EU10