ピアソラ
(01/05/12)

昨年「Yosui Inoue Golden Best」というアルバムを買ってから、彼の音楽をよく聴いています。今もこのCDを聴きながら書いているところです。こうして通して聴いてみると、初期の頃の「心もよう」から最近の「アジアの純真」まで、その音作りの多様さに改めて感心してします。そして、今回良いなと見直しているのは「ジェラシー」です。これってタンゴだったんですね。


タンゴと言えばもう1年ぐらい前になりますが、調布市で行われた小松亮太さんの演奏会に行ったことがあります。NHKの「トップランナー」に彼が出演していて、いま最も注目されている若手のバンドネオン奏者だということを知り、タンゴについて熱っぽく語る彼にすっかり惹かれ、一度演奏を聴いてみたいと思っていたのです。

その番組で彼は、「アルゼンチンではタンゴの巨匠が次々に亡くなっています。ですから彼ら巨匠の奏法をいま誰かが受け継いでいかなければ、いずれタンゴは滅びてしまいます。そう思って必死で伝えようと思っているんです。」と語っていました。

その時に何度も名前が出ていたのがピアソラでした。うかつにも私はその時まで、ピアソラというタンゴ奏者の存在すらも知りませんでしたので、さっそくCDを買ってきて聴いてみました。


昔はアルフレッドハウゼなどという、甘いダンス音楽を演奏しいるタンゴバンドがあって、結構ファンも多かったものです。ところが、ピアソラの演奏を聴いてみると、それらとは全く異質な、まるで違うジャンルの音楽のように感じられました。心臓をえぐるような強烈な奏法、底流に流れる哀愁と不安・・・・私にとっては初めての音楽体験でした。

タンゴの発祥地はアルゼンチンのブエノスアイレスで、しかも港の酒場で育まれた音楽だということです。ヨーロッパからやってきた船乗りたちが遠い祖国に思いをはせつつ、夜な夜な酒場でタンゴに涙を流したということです。哀愁と不安はそんな音楽の成り立ちとけっして無縁ではないだろうと思われます。


ピアソラは、若くして名声を獲得したのもかかわらず、その後アメリカに渡り、さらにヨーロパに渡りますが、必ずしも成功したとはいえず失意の日々を送ります。結局、晩年になって帰国しますが、それからの彼は、狂気のように次々と名曲を生みだします。

テレビのコマーシャルで、一時ヨーヨーマがピアソラを演奏していたことがありましたから、そのメロディには記憶があるのではないでしょうか。


ピアソラを知って、世界にはまだまだ未知のすごい音楽があったんだなぁと、つくづく思い知らされました。そして、小松亮太さんのような若い音楽家が、ジャンルを超えてそんな過去の名曲や演奏家に新しい命を吹き込もうとしてい様子をみると「なかなかやるな」とうれしくなってしまいます。なにしろそのお陰で私自身ピアソラに出合えたのですから・・・・。


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