国立ウオッチング
(01/07/13)

私たちのグループ「エコ・ミューゼ」では、6月30日に国立市のウオッチングを行いました。最近なにやら商店街が元気でおもしろいと聞いていたからです。私にとって国立は独身時代によく訪れ、店じゅう骨董だらけという喫茶店「邪宗門」などをよく利用していたのでとても懐かしい街です。あれから30年以上たち、その間も時々訪れていますが、そのたびに街が少しずつ変化し続けているのを感じていました。しかも、ヒューマンスケールの、奥深い魅力的な街に変身し続けているのがいつも気になっていました。


当日は地元に住むNさんに案内していただき、途中ミーハー気分で山口百恵さんの自宅も拝見してきました。

国立の売りは何と言っても「大学通り」(一橋大学のある通り)です。大正13年から当時の箱根開発(現「コクド」)がこの辺一帯を開発し、その時につくられた通りだそうですが、幅員が44メートルもあり、当時としては画期的だったに違いありません。今ならこれだけの幅員があれば、車は片側2車線というのが当たり前なのですが、かたくなに1車線を守り通し、両側は歩道と緑地として整備されています。通過道路でないことも幸いしたのかも知れませんが、車道があってもあまり気にならず、しっとりと落ち着いた通りです。

今この通りで、住民参加により桜の樹勢快復と保存の取り組みが行われています。その火付け役、市民グループ「トトロ実行委員会」代表のOさんは「空を飛ぶタンポポの綿毛のように、取り組みが広がっていけばどんなに素晴らしいことか。単に桜の保護だけでなく、国立を住みやすくするためにはどうしたらいいかを考えるきっかけにしてほしい」と述べていますが、この行政と市民との協働事業がたくましく花開くことを祈らざるを得ません。


途中、一橋大学の構内も案内していただきました。これまで自由に入れるとは思ってもいなかったので、長年国立に通っていながら私も初めての体験でした。緑がいっぱいのあの広大な空間は街にとってかけがえのない財産です。そして、レンガづくりの重厚な建物の数々には、大いに惹かれました。関東大震災後にここに移ってきたと聞きましたが、兼松講堂のつくりなどは建築学的にも価値があるのではいでしょうか。国立の街の魅力は、その広大な緑地空間と重厚な建築物群を後背遺産として、その影響を受けながら形成されているのだということを改めて感じました。


途中幾つかの商店も見て回りました。それが今回のウオッチングの目的でもあったのです。以前から感じていたことですが、大学通りは単に消費するだけの街ではありませんでした。大学を出てすぐに案内していただいた2つの店は、従来の業種・業態では区分できないほど多種多様なアイテムが陳列されていて、そこには、日々消費するものを買うのとは違う、モノと出合う喜びがありました。生活の質にコミットして、それをビジネスして提案するという、時代を先取りした商売の見本を見た思いがしました。そのあとに訪ねた作家もののガラス器を扱った店やビルの後ろの奥まった中庭に面した店舗など、どれも刺激がいっぱいでした。


特に「邪宗門」の横の「ぶらんこ通り」は、なぜかうれしくなる空間です。路地裏にできた新しい商店街なのに、どうして他の場所で感じるようなよそよそしさがないんだろう・・・・といろいろ考えてしまいました。

私はつい最近、大学の同級会があって、36年振りにH市へ行って来ましたが、そこには100メートルぐらいのショッピングモールができていました。建物をはじめ、路盤のタイルもパブリックアートやポケットパーク、樹木も、すべて申し分なく、とてもお金がかかっていると一目で分かるほど質の高いつくりなのに、今回歩いた「ぶらんこ通り」のように感性に響いてはこず、あまり楽しくありませんでした。

なぜなんだろうと考えてみたのですが、一つは大部分の店が全国規模のチェーン店で占められていたことです。よく言われるように全国一律、金太郎飴の商店街でしかなく、こだわりの店や地元らしさを感じさせる店がほとんどないのです。ですからモールの中を歩いていても、人間くさい温もりやどきどきする発見の喜びが感じられませんでした。

もう一つは、せっかく立派なパブリックアートやポケットパークをつくったの、その周辺に売り出しの看板や旗がやたら立ててあったことです。あれだけ質のい器(ハード)をつくっていながら、その器をどんな風に生かし切るか、そのことで街としての風格どう高めていくかといった、質に対する意識が商店の方々にないのだろうと思います。

それに比べ「ぶらんこ通り」は、それぞれの店にとてもこだわりを感じます。単なる金儲けではなく、そこで何を提供するのか、文化としての商品をどのように消費者に発信するのかといった店としてのアイデンティティがきちんと確立されていたように思えます。結局「ソフト」の違いなのだろうと思います。そしてそれは、大学通りがもつ場の雰囲気とも無関係ではないような気がしました。




最後にNさんの知り合いの画廊に案内していただき、話を聞くことができました。国立には約20のギャラリーがあるということですが、人口7万人のミニ市にこれだけのギャラリーがあるというのは信じられないことです。このことだけを考えても、国立という「まち」のもつ、ポテンシャルの高さを伺い知ることができます。

夕方、飛び込みで入った近くの居酒屋で、この刺激的だった今日の収穫をこれからどう地元(稲城市)のまちづくりに生かそうかと意見交換をして解散しました。


ようこそ
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