カメラ
(2000/8/30)

先日ワープロの生産が打ち切られるという話をしましたが、今度は「ニコンF3生産打ち切り」という記事が新聞に出ていました。マニュアル焦点の一眼レフ「ニコンFシリーズ」は1980年に発売されたそうですが、プロのカメラマンや写真愛好家から高い支持を得て、名器として評価の高いカメラです。その名器も、デジタルカメラの登場に押されて、とうとう来春をもって生産が打ち切られることになるというのです。

私も仕事でカメラを使う時期があり、F3の前のF2を購入し、しばらく愛用していました。その堂々として風格あるデザインはF3になってからもあまり変わっておらず、今も愛着がありますが、いかんせん重たすぎるて、写真熱が冷めるにしたがって徐々に持ち歩くことが少なくなってしまいました。


当時はカメラと言えばライカと言われた時代で、それをニコンやキャノンがどんどん追い上げ、その牙城を崩そうとしていた時期でしたから、こんなふうに生産が打ち切られる日がやってこようとは夢にも思っていませんでした。と言いながら私自身、ホームページをつくるために、昨年とうとうデジカメを買ってしまいました。オリンパスのカメディア2020という機種です。使ってみるとたしかにパソコンとのマッチングは抜群で、大きさや色調、コントラストなども自由に変えられ、トリミングも画面上で簡単にできますから、パソコンに取り込んで使う分にはこんな便利なモノはありません。


ただし、使っているうちにカメラとしての欠点もいろいろ分かってきました。まず、シャッタースピードや絞りを変えたいとき、いちいち液晶画面を見ながら操作をしなければならないことです。実際に写真を撮っている時にこの操作をするのは想像以上に面倒で、撮りたいという気分が失せてしまいます。その点従来のカメラならボタンやレンズの絞りをちょっと動かすだけで済みますから、ファインダーを覗きながらでも操作が可能で、気持を常に被写体に集中させておくことができます。

ピントの合う場所やボケ具合がファインダー上で分かりにくいというのも不便です。もっともこれは、デジカメに限ったことではなく、ピントも露出も自動化されてしまった最近のカメラ全てに言えることかも知れません。液晶画面では、一眼レフのファインダーのように、画面を見ながら調整をするということはまず不可能で、特に微妙な調整が要求される接写のときには、完全にお手上げです。


高価なデジカメはそうした欠点もカバーされているようですが、シャッター音だけはどうしょうもないだろうと思います。これまでのフォーカルプレーンシャッターの場合は、シャッターを押した時に「ガシャ」とミラーの上がる音がして、その感触も手に伝わってきますから、風景を切り取っているという実感がもてました。ところが、デジカメは申しわけ程度に「ピピ」という電子音が鳴るだけで、心もとなく、写真を撮るという行為そのものが何だかデジタル化されてしまったような感じがします。

こんなふうにモノが自動化され便利になってくると、モノに対し思考を挟む余地がどんどんなくなり、人間とモノとの関係がだんだん希薄になってしまうのではないかと心配です。何故なら私たちは手の感触も含めて五感で物事を考えているからです。


ようこそ
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