「絵日記」と聞くと、小学校の夏休みの宿題のイメージが強くてあまりいい印象をもっていなかったのに、今その絵日記なるものにはまりそうにな感じになっています。教育テレビの「絵日記講座」を偶然見て、急にやってみたくなったのです。
番組は、アウトドア関係のイラストレーター(?)が講師となり、女性アナウンサー2人と小さな村を訪れ、それぞれに興味を抱いたテーマを描きとめるというものでした。廃校になった校庭や通り沿いの野菜畑、小さな雑貨店の軒先、農家の庭など、ぶらぶらと歩きながら気にとまった題材をスケッチブックに油性の黒ペンで描いていき、彩色して、最後に簡単なコメントを添えて完成させるのです。絵日記が通常の風景画などと違うところは、1枚の画用紙の中にたくさんの絵や文字を、大きさも脈絡も気にせずに、次々と描(書)いていくことで、その混在ぶりがテレビの画面からもとても楽しく感じられました。
善は急げで、さっそくスケッチブックと油性のドローイングペン、絵の具セットを買ってきました。絵の具セットは携帯用ですが、実は以前から画材屋の前を通るたびに気になっていて、欲しくてたまらなかったものなのです。ホルベイン製で、形も大きさもちょうど女性用の弁当箱といった感じで、それをパカッと開くと、中に筆(釣り竿のような繋ぎ式)2本と固形絵の具が12色、他にポリ製の水筒、筆洗器、パレットが収納されていて、野外など水のないところでも使えるという優れものなのです。
体育の日の連休にたまたま京都に行く機会があり、絵日記セットもカバンにつめて出かけました。新幹線は指定席がとれず、「こだま」で行くことにしたのですが、暇つぶしにと思ってさっそく絵日記に挑戦してみました。
絵画と違い、描く対象を厳選する必要がないというのが絵日記の気楽なところです。例えば新幹線の切符、持参した本やウオークマン、車内で食べたサンドイッチなど、片っ端から描いてみましたが、そんなふうに対象は何でもアリなのです。むしろごちゃごちゃといろいろなモノが1枚の紙の中につめこまれていた方が、面白みが出るような気がしました。
切符など普通は絵にならないわけですが、日付や料金、行き先などが印刷されているわけですから、電車に乗るたびに描いておけば、それだけでこの旅の全行程が分かってしまうということになります。その横に、「急ぐ旅でもないし、3連休で混んでいたから“こだま”にした。」とでも書いておけば立派な旅の記録になります。しかも、メモで残しておくよりははるかに有効です。
歩きながら全部を完成させるのは難しいですから、途中で気になったモノをちょこちょこと描いおいて、次に電車に乗ったときとか、喫茶店で休憩したときにコメントなどを追加しておきます。立ち寄った食堂や宿では、食べたり飲んだりしたもの、店のマッチやラベル、メニューなども描きとめておきます。電車の経路や歩いた道路なども略図にして、そこに気に入った建物や名称なども書き込んでおくと、自分なりのウオーキングマップができあがりますから、あとで見直したり、誰かに教えるときに便利です。こんなふうに気づいたことは何でも絵にしてしまうというのが絵日記の醍醐味であるということが分かりました。
でもそういった小物だけではちょっと物足りませんから、今回の旅では2か所ほど風景も描いて見ました。安藤忠雄さんが手がけた大山崎山荘美術館と宿から見た東寺を中心とした朝の風景です。水彩画を描くのは高校以来であまり自信はなかったのですが、マアやっているうちに少しは見られるようになるだろうと、気楽に挑戦してみることにしました。やってみなければ何事も始まらないわけですから・・・・。