■ Yes-Yes-Yes
 ■ クリスマスの約束

2001年10月5日。
小田和正は7人のアーティスト、一人一人に直筆で手紙を書いた。
その
7人の中に福山雅治の名前があった
その手紙の内容は、小田和正の熱い思いが記されていた。


”突然の勝手な手紙を出す無礼をお許しください。”
という文言からはじまった、この手紙。

ある日、TBSから、る音楽番組をやれないか?
という打診があり、そして考え。

自分の歌を歌えばファンの人は喜んでくれるだろうけれど、
それは目指すものではなく。

僕等のような音楽をやって来た者にとって、
今、大切な事は何だろうと思い。

それは同じ時代を生きてきて、音楽を創った人達を認め、
愛し、尊敬することなのではないだろうかと。
それをこの番組で表現できないかと。
それなら引き受けてみようと。

これは、僕の主観でやろうとしている番組です。
偏見を承知で、批難を覚悟の上で、
無数にある名曲から一方的に7曲を選びました。
時代を創ってきた素敵な音楽達を。
それで、あなたの曲をその一曲に選ばせてもらいました。
この曲を一緒に演奏してもらえないだろうか?
というお願いの手紙だったのです。

これは、もしダメだったら他の人に・・という企画ではなく、
もし残念ながらあなたの不参加が決まったら、
自分ひとりで演奏するつもりで望んでいます。

アーティスト同士が直に触れ合うことで進んでいける場所がある。
音楽としても、音楽という文化の確立としても。そう信じています。
それが見ている人に伝わるように全力で尽します。

たとえ出演を断られたとしても、あなたへの尊敬の気持ちは些かも変わりません。

秋も深まるばかり。
風邪などひかぬよう、充実した活動を続けてください。


ということばで締めくくられていて。

この手紙を出してから数日後、手紙を出したアーティスト達から返事が来たが
全て不参加との返事。
そして、小田さんの「ひとりでも歌う」という約束のとおり番組は放送された。


12月25日 「クリスマスの約束」
〜きっと君は来ない〜の放送日。


その最初の小田さんの言葉。

それぞれのアーティストには、それぞれの世界があって、お世辞抜きで感動した。
その感動を伝えられれば。
そして出演を断ってきた人にはどういうふうに歌ったら喜んでくれるのか考えて
丁寧に歌っていきたいと思います。

そう言いながら番組は進んでいった。

そして
福山雅治のことについて、こう語った。

アーティストに憧れて歌を歌う俳優さん。
僕は役者が歌を歌うという事に、とても偏見がありました。

何か気にいらない。
それは、いつも演じることが仕事だから。
何か素直に歌っていても演技っぽい感じがして。
ま、僕だけかもしれませんが。

今回、7曲を選ぶにあたって資料のMDに彼の曲が入っていました。

聴いたら・・いいんですよ。
シンプルで力強くて。

偏見はいけないなと思いました。
そして、彼から返事が来ましたので、一部紹介を・・・。


といい
福山雅治から来た返事を読み上げる。

小田さんが、この曲をとりあげてくださるということ。
感慨深く受け止めました。
この曲が今までになく、多くの人に聴かれ、歌われたという事実。
それは若輩者の僕にとって、本当に嬉しく、
そして、小田さんからのお誘いで
そのことを再認識することになりました。
やはり、この楽曲は僕にとって
大切な存在なのだと改めて実感しています。
お誘いにお応えする余裕が全くないというのが
今日この頃の僕です。
本当に申し訳ありません。
残念なお返事をさしあげなければならないことを
心苦しく思っています。



この福山雅治からの返事を読み終えると、
静かにアコギでイントロを奏で
「桜坂」を歌い始めた。

涙が溢れてとまらなかった。
小田さんが、ましゃの曲を歌ってるなんて。
まるで夢のようだった。
いや、夢じゃないんだ。
これは現実で、私の夢への第一歩なんだ・・・って。


この夢への第一歩の裏では、小田さんとましゃの距離が、私が思っていたよりも
もっともっと近くに接近していた。
それは小田さんのオフィシャルでのみ手に入る「LIFE-SIZE 2001」というビデオの
中に映しだされていた。

●2001年8月
テレビ局から音楽番組の依頼があった。
 
 年末に小田さんのラブソングをテーマとして次世代へ小田さんが語りかけていく
 ものを作って欲しいと。
 それに対して小田さんは・・・
 自分が出て自分の曲を歌うというのは、どういう人達がその番組を見るのか、安易に
 想像がつく。と返答。

●2001年9月
テレビ局との打ち合わせの場面での小田さんの発言
 
 自分がいいなと思った曲を演奏する。
 その曲は、ソイツが出演しないでも歌う。
 来てもらえなかったとしても、いつか一緒に歌えるかもしれない。
 敬意を表して原曲に近く歌う。
 次の時も来てくれないかもしれないけど、それでもやる。
 まぁ、来ないかもしれないけど、声をかけるのは、達郎(山下達郎)・桑田(桑田佳祐)
 ミスチル・SMAPとなって・・・。
 (ここで微妙な間)
 あと、
「桜坂」って思いのほか、いい曲で・・・。
 こうして、みんなに支えられた曲っていうのは強いなと思うわけ。

●2001年10月
小田さんの選んだ7名、ひとりひとりに、丁寧に手紙を書く。
そしてテレビ局との打ち合わせでの場面。

 
 T局:この番組を起ち上げる時に、福山が出ると出ないでは結構大きい。
 小田: じゃあ、桑田をはずして何もなかったように福山で・・っていうことで
    桑田の話は一切出なかったというのはおかしい。
    この番組のテーマは、結局、誰も出てくれなくても歌ってということで
    それでも声をかけ続けるよ
 T局:出ない出ないと思っている中で、アッ!と思う人が出て来るっていうのが
    当番組としては・・・
 
この会話から察すると、テレビ局サイドとしては、桑田佳祐は小田さんの交流関係からして
出演しても不思議ではない人物で、そうではなく、出来れば、視聴者が見てアッと驚くような
たとえば、福山雅治が出演すれば番組的には面白く、桑田佳祐よりも福山雅治の出演を望んで
いたのでは。
これはあくまでも推測だが・・。
小田さんとしては、そんなことよりも、とにかく、桑田佳祐と福山雅治は同じ位置にあり
双方が出演しないのなら、それはそれでいいという考えだったと思う。
ここでも、まだ、小田さんとテレビ局サイドの意見がかみ合ってない。

●2001年11月
テレビ局との打ち合わせの場面。
 
 T局:番組の放送がクリスマスの夜に決定しました。
    その夜に、小田さんがサザンを歌ったりすることはクリスマスでしかできない奇跡じゃ
    ないかと・・。
 小田:だから、最初から、この番組は出なくても・・・って。
    そう言った時に最初に君等は曇った顔をしたから。。
 T局:それで、これを皮切りに毎年25日の夜に、そしてやがては、みんなが出てくれるような。
    だから今回、誰も出てくれなくても全然いいのではないかと。。

やっと、ここでテレビ局サイドと小田さんの方向性が一致したようだ。

リハーサル風景で「桜坂」をアコギで歌う小田さんの姿が映る。
そして、テレビ局と打ち合わせ。舞台セットについての場面。

 
 T局:基本的に白で、そして、曲のイメージで色をつけるというような感じで。
    (と、舞台の後ろに白い建物や枝をセットしたコンテを見せる。)
 小田:白はテレビのイメージだから、自分としては、こういう他のものはいらない。
 T局:テレビ的には、たとえば「桜坂」というと桜とか、それっぽい感じで歌ってもらっても
    いいのかなと。
 小田:そういうのは、あまりにも直接的っていうのか。。
    なんか、しっとりと・・♪君よ ずっとしあわせに〜♪
    (とアカペラで歌い始める)
    楽屋で歌っているような感じでいいと思う。黒で!

●2001年12月
ゲネプロ。そして番組収録日。
いろいろな思い入れとともに、小田さんが選んだ7曲を歌う。

 
 1:夜空のムコウ(SMAP)
 2:桜坂(福山雅治)
 3:勝手にシンドバッド〜真夏の果実(サザンオールスターズ)
 4:ひこうき雲(松任谷由実)
 5:Automatic(宇多田ヒカル)
 6:Tomorrow never knows(Mr.children)
 7:クリスマス・イブ(山下達郎)

そして、この企画にあたって、みんなで歌えるテーマが欲しいと思って小田さんが
作った曲。
「この日のこと」の収録のVTRが流れる。



今まで小田さんと交流のあったアーティスト達に、小田さんが呼びかけ集まってきた
錚々たるメンバーでこの曲が収録された。
この曲の詩を読んでもらうとわかるが、この曲は、今回、出演を依頼した
アーティストへのメッセージでもあるのです。
この小田さんのメッセージが、ましゃに届いて、いつか、この映像の中に、ましゃの
姿があることを楽しみにしています。


●夢なまこ的ひとつぶやき●

何度も何度も「クリスマスの約束」のビデオを見た。
その度に、鳥肌が立ち、これって、もしかして、いや、もしかしなくても
すごいことなんだって思う。
少なくとも私にとっては。

そして「LIFE-SIZE」を見た。
まさか、小田さんのビデオの中で、こんなにも多く「福山雅治」「桜坂」という
言葉が聴けるとは夢にも思っていなかった。
番組の打ち合わせの場面の中の殆どは、ましゃの出演云々についての会話である。
他に出演交渉をしたアーティストの名前は殆ど出てこない。
このビデオは小田さんが中心となって編集されたものであり、莫大な録画テープの
中から、こうして、ましゃのことをピックアップされていたこと。
これって、もしかして、小田さんからましゃへのLove call?
私だけの思いこみかもしれないけど・・。

この番組作りの途中、小田さんから思いがけない言葉が飛び出した。

自分の音楽人生は、
最後の締めの段階に入っているということもあって
もっと、みんなとやるべきであったんじゃないか・・と。
そこで、生まれるべきものが、
いっぱいあるんじゃないかと、とても思うから
こんなこともやるようになったわけで。
これ以降は絶対、誰のどんな小さなことでもやろうと思う。


オフコースの時代、そして、今までも、あんなにかたくなに拒否し続けてきたものが
この番組を通して、小田さんの中で変化していった。
いったい何がそうさせたのか。

だから、だから、ましゃ!
小田さんの、この気持ちに、いつかきっと応えてあげてくださいね!

最後に・・・
この番組は私にとっても、とても大きな意味を持つ番組でした。
小田さんのコメント。
そして「この日のこと」。
この詩を読んでいると、私の夢が少しづつではあるけれど、着実に動き始めたかな?
と思える今日この頃です。


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