2007年

 この年の冬は全国的に暖冬を通り越した異常暖冬で、どこの山にも雪が少なかったのですが、2月頃アポイ岳ファンクラブのホームページで雪のないアポイ岳の写真を見て衝撃を受けました。アポイ岳は花の山として有名ですが、定年過ぎてからでも登れる山と思っていたので、今まで登ったことはありませんでした。地球温暖化の影響で定年まで待っていたら高山植物が消えてしまいそうです。5月と8月に2度も登ってきました。
暫く登っていなかった至仏山にも登りました。 又、昨年行きそびれた火打山にも登り、更には中央アルプスにも足を伸ばすなど、この年は例年に比べて数だけは登りましたが、写真の方は花期に恵まれず、散々な出来でした。
アポイ岳 (2007年8月31日)

 この年の5月に登ったばかりのアポイ岳ですが秋の花も見たくなりました。来年でも良いのですが、地球温暖化のことを思うと来年まで待ちきれません。前回と同じ飛行機と列車で様似に向かいました。5月には多数の馬が放牧されていた牧場も、この季節は殆ど馬を見かけません。ハマナスは赤い実をつけているし、ススキの穂も風に揺れています。セイタカアワダチソウやキクイモなどの帰化植物が花盛りですが、様似が近づくとハンゴンソウの群落に変わりました。様似駅で降りると結構肌寒く感じました。5月はセーターを着込んだのですが、この季節はそれはどでもありません。アポイ山荘はガラ空きです。この季節は山に登る人は殆どいないとか。様似では8月上旬にヒグマとの人身事故があったばかりなので、入山者が少ないと聞いてヒグマが急に心配になりました。
 本来は天気が良い筈だったのですが、低気圧が予報よりも北寄りに通ったので曇りです。前回で様子が判っているので宿の朝食を食べ、7時過ぎから登り始めましたが、登山届の記帳は今回も1番です。昨日は6名ほどしか山に入っていません。静な山旅で結構なのですが、クマの気配に気をつけながら樹林帯を登りました。携帯している鈴は調整の甲斐があって良く鳴ります。登山道には何ヶ所かクマ避けの大きな鐘が設置されているのですが、何回も鳴らして通過します。五合目避難小屋周辺のセイヨウタンポポはこの季節は消えていました。エゾマツムシソウがまず現れ、ついでアポイマンテマの花の終わった株を見つけました。アポイハハコも終わりで枯れ花が目立ちます。逆に早過ぎたのかヒダカトウヒレンやヒダカミセバヤ(アポイミセバヤ)は見あたりません。地球温暖化の影響で、秋の花の開花時期は遅くなっているのかもしれません。今回も山頂でセルフタイマーで自分の写真を撮り、幌満お花畑に下りました。幌満お花畑には全く花を見掛けず、荒涼とした寂しい風景が広がっていました。トラバース道を経て再び馬の背に戻り、ここでようやく岩の割れ目に芽を出したばかりのヒダカミセバヤを見つけました。七合目まで下って、今日初めて登山者に会いました。この方から三合目付近でヒグマが出没したとの話を聞きました。なんでも高山植物監視員の方が目撃されたとのことで、近くにある蜂の巣を目当てに来たようなので再び出没する可能性が高いとのことでした。続けて夫婦連れの方に出会いましたが、同じことを言ってくれました。避難小屋でカメラを仕舞い、クマ避けの鐘を鳴らしてから小走りに下り始めました。ヒグマが出たのは旧道の方なので新道を下ろうかとも考えたのですが、ヒグマが新道の方に移動しているかもしれないので旧道を下りました。ガサッという音にびっくりして樹林の中を見たらエゾシカでした。シカは鈴の音には驚かないようです。問題の三合目付近を駆け抜け二合目の標識が見えた時にはほっとして速度を落としました。小走りに下ったので、五合目から20分で二合目まで下ってしまいました。辺りに注意しながらゆっくり歩いて下ります。記帳所に戻ると一足先に下った監視員さんが張ったのか「ヒグマ出没」の張り紙が出ていました。午前中に登ったのは、監視員さん以外は山中で会った人だけだったようです。宿に戻って温泉に入り汗を流し、今回のアポイの旅も終わりです。暇なので夕方記帳所まで行ってみましたが、午後から登った人は無く、今日は監視員さんを含め僅か5人が山に入っただけでした。
 翌日の帰りのタクシーの運転手に聞いた話では、アポイ岳に出没するヒグマは蜂蜜目当てに集まってくるとのことでした。考えてみれば、アポイ岳の蜂蜜はアポイの高山植物の花から蜂が集めた贅沢な蜂蜜です。
宝剣岳・木曽駒ヶ岳 (2007年8月12日〜8月13日)

 お盆の休暇は南アの塩見岳に登る予定でした。ところが、この年は余りの晴天続きで三伏峠小屋に夕方到着する計画だと、途中での雷雨が心配になりました。購入済みの中央線・岡谷駅までの指定席特急券がそのまま使える山として中アの木曽駒ヶ岳に直前に変更してしまいました。しかし安直に登れる山は、夏の観光シーズンと重なり大変な混雑で、しらび平駅でのロープウェイは2時間40分待ちです。これなら塩見岳に登っても同じでした。『その他の醸造酒@(発泡性)』を飲んで時間を潰しました。
 ロープウェイでいきなり2640mまで上がると、目の前には千畳敷カールが広がっています。観光客で混雑する周遊の遊歩道を過ぎると多少は歩き易くなりました。千畳敷カール上部の八丁坂にはシナノキンバイの群落が広がっています。下山者が多いので八丁坂の登りに多少時間がかかりましたが、僅か45分で宝剣山荘に到着しました。天気が安定しているので宿泊の手続き済ませ、夕食までの時間に宝剣岳に登ることにしました。山荘から僅か15分で登れるのですが、ガレ場と足元が落ち込んだ危険な岩場をトラバースします。前を登っていたグループの中年女性は岩場のトラバースが出来ずに山頂間近でリタイアです。山頂は狭い上に登山者が多いので、順番に記念撮影です。70歳のおばあさんが一人で登って来たのには驚きました。下ろうとしたら、千畳敷カール方角に西日を受けて円形の虹が出ました。誰かが「ブロッケンだ。」と叫ぶと、この虹の中心にブロッケンの妖怪が現れました。20年以上も山に登っていますがブロッケン現象を見るのは初めてです。急いで写真を撮ろうとしたのですが、カメラをオートフォーカスに設定してあるのでピントが合いません。正にゴーストだと感じましたが、マニュアルに切り替える余裕もないので、近くの岩場にフォーカスを合わせて強引に撮影しました。千畳敷カールから湧き上がる雲がスクリーンになって生ずるブロッケン現象なので、湧き上がる雲が消えてしまうと直ぐに消えてしまいます。条件が揃っているので、薄い雲が湧き上がると薄い円形虹は発生するのですがブロッケン現象までには至りません。諦めて下山したのですが、岩場のトラバースは下山の方が難しいです。
 宝剣山荘と隣の天狗山荘の経営母体は同じです。お盆の最盛期だというのに宝剣山荘だけで間に合うようで、天狗山荘には人影もありません。車で来て、千畳敷カール周辺を散策して日帰りする人が多いようです。知らなかったのですが、ペルセウス流星群の最盛期が明日の13日の夜ということで、流星群目当に登っている人も多く、夜中に起き出してヘッドライトを点けたりゴソゴソと動き回ったりで良く眠れませんでした。尤も今日の夜は雲が多かったようで、流星群目当ての人には期待外れだったようです。
 明け方になっても雲が多い天気です。御来光は伊那前岳の方角から登ったので、宝剣山荘からは山の影になってしまいました。朝食を済ませ木曽駒ヶ岳を目指しましたが、中岳を経てあっという間に木曽駒ヶ岳の山頂に着いてしまいました。イワツメクサは多いのですが高山植物の種類自体は少ないです。植生再生中のコマクサが多少目立つ程度です。山頂は風が強かったです。濃ヶ池方面に下りました。この下山道と駒ヶ岳頂上山荘からの道の合流点付近で多数のコマウスユキソウ(ヒメウスユキソウ)を見かけました。流石に盛りは過ぎていましたが、それでもまだ多くの見頃の株が残っていました。風が強いので撮影には苦労しました。コマウスユキソウを写したら心残りは無いので、下山の足が早まります。尤もこの時間帯は八丁坂を登る人とのすれ違いで、下山も意外と時間がかかりました。
火打山 (2007年7月22日〜7月23日)

 昨年の冬、妻が新聞に掲載された山をバックに咲き誇るサクラソウの群落の写真を見て、行ってみたいと言ったのが火打山でした。昨年二人で登る筈だったのですが、登る直前になって「笹ヶ峰ロッジ」が大雪で建物が壊れたとかで予約が取り消され、しかも妻は転んで骨折してしまい登ることは出来ませんでした。この年になると当人は興味をすっかり無くしてしまい一人で登ることにしました。「笹ヶ峰ロッジ」は、そのまま廃業してしまったので、赤倉温泉に泊まり妙高山と火打山の両方に登る計画を立てました。
 この年も梅雨明けが遅く、出かける直前までやきもきしました。5日前に発生した新潟中越沖地震の影響で信越本線は妙高高原駅から先は徐行運転です。地震の影響でキャンセルが出たのか観光シーズンだというのに宿泊客は私だけのようです。天気が悪いので当初の妙高山経由のルートを変更して、タクシーで笹ヶ峰に出て最短コースで火打山に登ることにしました。
 一晩中雨が降り続きました。天気予報では本日の妙高地方は曇りなのですが雨は止みません。食事が終わる前に迎車を頼んでおいたタクシーが来てしまいました。食事中に雨は小降りになり、笹ヶ峰に着いた時には、ほぼあがりました。時々雨がパラつきますが合羽を着るほどでもありません。木道が整備されていますが、ぬかるんでかえって歩き難いです。予定よりも早く高谷池ヒュッテに着きました。降らないので今日のうちに火打山まで登ることにしました。天狗ノ庭で火打山をバックに咲き誇るハクサンコザクラを期待していたのですが、殆ど咲いていません。火打山までは単調な道が続くだけです。さすがにここまで歩き続けると疲れが出てペースは上がりません。頂上直下でライチョウの親子に遭遇しました。山頂は何の変哲もありません。晴れていれば日本海から妙高山など素晴らしい展望が見えるらしいのですが、悪天候で何にも見えません。下山して高谷池ヒュッテに着く直前になって再び雨が降り始め、走ってヒュッテに駆け込んだら本降りになりました。ヒュッテで事情を聞いて唖然としました。環境保護の為に数年前に天狗ノ庭に木道が敷かれ、あの風景の場所にはもう立ち入りが出来ないのだそうです。観光ポスター等でよく見かける火打山のハクサンコザクラは何年も前の写真を使っているとのことでした。
 環境保護の為にゴミの持ち帰りは当然のことですが、ヒュッテで売っている缶ビールの空き缶まで持ち帰らせるのはどうかと思います。ヘリで缶ビールを運んで、帰りのヘリで空き缶を降ろすのですから、ヘリで持ち帰っても環境負荷は増えない筈です。そこまで言うなら缶ビールなど売るべきではありません。しかも環境対応型のトイレなので使用済みのティッシュペーパーも持ち帰れとのことです。確かに紙は分解し難いので、他の山の環境対応型のトイレでは、別の容器に捨てさせて現地で焼却処分しています。登山客が持ち帰っても一般ゴミとしてゴミ処理場で焼却するだけですから、地球環境に排出される炭酸ガスの量は変わりません。自分の分は持ち帰りましたが、案の定トイレの中には沢山のティッシュが捨ててあり、かえって環境対応に反していました。環境保護を名目に小屋の従業員が手抜きをしているとしか思えません。食事も芯が残った焦げたご飯で、今時何処の山小屋でもこのような手抜き食事は出てきません。
 翌日起きると天気は曇りです。昨晩の天気予報では曇りで時々日も差すようなことを言っていたのですが、降らなかったのは早朝だけで、朝食中にはもう雨になりました。中華丼の朝食でしたが、これも明らかな手抜きメニューです。他の人が注文していたお昼の弁当はヒートパックのレトルト赤飯で、手抜きも甚だしいところです。当初は天狗ノ庭まで行ってもう少し写真を撮り、妙高山を経て下山する予定でしたが、雨が止みそうにないので、朝食後直ちに笹ヶ峰に向けて下山しました。ぬかるんで歩き難いこと。9時過ぎには笹ヶ峰に着きましたが、皮肉なことにこの頃から雨はあがりました。バスが暫く無いので、タクシーを呼んで妙高高原駅に出ました。
至仏山 (2007年7月7日)

 アポイ岳の惨状を見てしまうと、簡単に登れる山の方がかえって危ないと感じました。植相回復の為に入山禁止の時期もありましたが、至仏山には24年前に登ったきりです。尾瀬の名を冠したオゼソウはまだ見ていないので、思い立った機会に登ることにしました。この年は空梅雨のくせに出かけようとすると天気は下り坂です。ぎりぎりまで決断がつかないでいたら、夜行バスの前売券を買いそびれてしまいました。天気がなんとか持ちそうなので、新幹線を使った日帰りで至仏山に登ることにしました。
 上毛高原駅で戸倉行きの路線バスに乗ったのは僅か3人です。戸倉から鳩待峠行きの連絡バスには始発の駐車場から乗ってきた人でほぼ満席です。尾瀬は自家用車で来るところのようです。鳩待峠から登り始めて暫くすると雨がパラつき始めましたが雨具を着るほどでもありません。天気は崩れるのでもなく曇りのままで時々小雨がパラつく程度です。オヤマ沢田代まではピッチを上げて歩きました。この年は至仏山も雪が少なかったのですが、春先の気温が低かったので、かえって残雪が多く小至仏山の手前で雪渓を2箇所渡りました。この付近からホソバヒナウスユキソウ、ジョウエツキバナノコマノツメ、ユキワリソウなどの至仏山ならではの高山植物が目立ち始めました。ホソバヒナウスユキソウは今が盛りと咲いているのですが、肝心のオゼソウには早過ぎた感じで、蕾らしきものを見かけた程度です。登山開始時間が遅かったので、当初は鳩待峠と至仏山山頂往復の予定だったのですが、高天ガ原を下ることにしました。
 高天ガ原は日当たりが良いので、オゼソウが咲いている可能性が高いと予想しました。昔と違って今の高天ガ原は環境保護の為に木製の階段が続いており歩き易くなっています。山頂と比べるとホソバヒナウスユキソウはぐっと少なくなりますが、ここではジョウシュウアズマギクのピンク色がやけに目立ちます。最近のミヤマアズマギクは酸性雨の影響なのか各地で花色が青紫色になっています。早池峰山のミヤマアズマギクも昔はピンク色をしていたが、何時の頃からか青紫になってしまっっています。同じようなことは、夕張岳の高山植物監視員の方もユウバリアズマギクについて同じように心配していました。今までは酸性雨の影響かと考えていたのですが、至仏山、早池峰山、夕張岳と何れも超塩基性の蛇紋岩の山なので、酸性雨には強い土壌環境の筈なので至仏山のジョウシュウアズマギクだけがピンク色を保っているのは何とも不思議です。酸性雨だとすると、現在の酸性雨の発生源は中国なので、中国からの気流の影響で東北や北海道に濃厚な酸性雨が降っているのかもしれません。それともジョウシュウアズマギクはミヤマズマギクの変種の為、種として酸性雨に対する耐性が強いのかもしれません。何れにしても当たり前の花色を不思議と思うような異常現象が各地で起こっているのです。
 高天ガ原に入っても目指すオゼソウは見つかりません。高天ガ原の高山帯も終わりかけまで下った所で、ようやく開花しているオゼソウを見つけました。雪解けが遅かったせいで、低い場所でないと開花していないようです。
 オゼソウを写すと今度は帰りのバスが心配になりました。高山帯から下では木製階段も殆どなくなり、蛇紋岩の岩山を直接下るので滑り易く下山のスピードは上がりません。山ノ鼻は混んでいるかと思っていたのですが、尾瀬ヶ原自体に人はあまりいません。時間帯が少し遅いのとミズバショウが終わりニッコウキスゲまでの花の端境期のせいかもしれません。それでも山ノ鼻では、これから花期を迎えるニッコウキスゲを1花だけ見かけました。行き交う人もいないので山ノ鼻から鳩待峠まではかなり飛ばしました。なんとか、16時25分に鳩待峠に到着し30分発の連絡バス最終便に間に合いました。あと5分もあるのに、係員からは出発時間が過ぎているから急いで乗るようにとせっつかれ、27分にはバスは発車してしまいました。
アポイ岳 (2007年5月16日)

 この年の冬は全国的に暖冬を通り越した異常暖冬で、どこの山にも雪が少なかったのですが、2月頃アポイ岳ファンクラブのホームページ(正確にはビジターセンターのブログ)で雪のないアポイ岳の写真を見て衝撃を受けました。アポイ岳は花の山として有名ですが、定年過ぎてから楽しむ山と思っていたので、登ったことはありませんでした。地球温暖化の影響で、定年まで待っていたら高山植物が消えてしまいそうです。アポイ岳の固有種であるヒダカソウを見るならば5月下旬位ですが、雪が少ないので中旬に登ることにしました。尤も、3月と4月の気温が低かったことから例年通りの開花になったようです。
 北海道は丁度八重桜とエゾヤマザクラの季節です。馬の牧場ばかりが続く日高本線の車窓も、静内を過ぎて様似が近づくにつれ、線路沿いの山の斜面や湿地などにはミズバショウ、エゾノリュウキンカ、オオバナノエンレイソウが沢山の群落を作っているのが見えました。様似駅からは太平洋に落ちる日高山脈の稜線上に突き出したような形のアポイ岳が見えます。列車から降りると結構寒いです。
 翌朝はおにぎりで朝食を済ませアポイ山荘を出ました。10分程で登山口です。登山届に本日一番最初に記帳を済ませて登り始めました。直ぐ後に車で来た方が続きます。新道との分岐点を折れた一合目で早速エゾオオサクラソウの群落がお出迎えです。写真を撮っていたら、車で来た方に追い越されました。五合目の避難小屋までは楽な登山道です。避難小屋の周辺にはセイヨウタンポポが蔓延っており、環境破壊の深刻さが窺い知れます。避難小屋付近からは間近に太平洋が見えます。小屋を出た直後の登りでアポイアズマギクとアポイタチツボスミレに出会いました。六合目の標識近くで初めてサマニユキワリを見かけました。六合目と七合目の間の七合目寄りのところが森林限界で、ハイマツ帯に切り替わります。この付近から馬の背にかけてサマニユキワリの群落を沢山見かけます。馬の背まで登ると視界が開け、様似の市街地や港が良く見えました。晴れて暑かったのですが、水は殆ど飲まないで済むほど楽な登山です。山頂と幌満方面に抜けるトラバース道との分岐点で、どちらを先に行こうかと迷いました。いち早くヒダカソウを見たいと思う反面、期待できそうにないので先ずは山頂に登ってからと考え、山頂を目指します。流石にこの付近からは急な登りになりましたが、他の山に比べればたいした登りではありません。
 不思議なことに目指すアポイ岳の山頂には樹木が茂っています。写真を撮りながらゆっくり登っても約2時間半で山頂に着きました。山頂はダケカンバの樹林に覆われて、海などの下界の風景は遮られます。誰もいない山頂でセルフタイマーで記念撮影です。いよいよ幌満のお花畑に向かって下り始めました。このコースも高山の登山道というよりは高原のハイキング道のようです。車で来た方は先に幌満のお花畑に寄ったようで、ここですれ違いました。ヒダカソウの状況を尋ねたら、遠くの方に一輪見かけたというので期待して下りました。不思議なことに幌満のお花畑付近で再びハイマツ帯になります。しかし、どこにもヒダカソウは咲いていません。花どころが、独特の3回3出の複葉を持つヒダカソウ自体を見かけないのです。高山植物の本で良く見かける有名な監視カメラが設置されているので、ここが幌満のお花畑であることは間違いないのですが、全く姿を見かけません。先ほどの車で来た方の言葉を信じて遠くの方まで見渡します。1つだけ花のようなものが見つかりました。ヒダカソウだと信じて何度もシャッターを切りました。幌満のお花畑には、ヒダカイワザクラやアポイキンバイなども咲いているのですが固体数は僅かです。諦めきれずに何度も先ほどの遠くのヒダカソウの花のようなものを写します。この幌満のお花畑は、東南斜面で日当たりが良くアポイ岳の中では一番最初に雪解けが進みそうな場所で、キタダケソウが咲く北岳東南斜面と位置関係が良く似ています。山こそ違えど近縁種は同じような場所に他の高山植物に先駆けて咲くようです。諦めてトラバース道を進むと直ぐに樹林帯になります。樹林帯の中ではヒダカイワザクラが目立ちました。幌満のお花畑のように日当たりが良い場所では、花が先に開いて葉はようやく土から顔を出したところでしたが、樹林帯の中の固体は先ず葉が開いて蕾をようやく伸ばし始めたところです。後は淡々と下るだけです。一合目で再びエゾオオサクラソウを撮って、12時前にはアポイ山荘に戻りました。

 帰宅後、ヒダカソウらしき写真を拡大してみたら枯葉のようでガッカリです。この年のアポイ岳ファンクラブのブログには、ヒダカソウが5月20日に咲き始め、27日には咲き終わったという書き込みがありました。近縁種のキタダケソウを写していた20年位前に一度登っていれば、とつくづく思いました。

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