大雪山
大雪山は北海道の屋根とも言われ、北海道の最高峰である旭岳(2,290m)をはじめ、北海岳、白雲岳、忠別岳、トムラウシ山などの多くの峰が集まる山塊の総称です。 アイヌ語ではヌタクカムウシュペと呼ばれ、神々の住む山という意味だそうです。
大雪山はその雄大な風景もさることながら、日本最大の高山植物の宝庫でもあります。 大雪山は高山植物の交差路に当たり、カムチャッカ、千島方面から南下した花、シベリア、サハリンから南下した花に加えて本州方面から北上した花が一緒になって、雄大なお花畑を形成しています。 ホソバウルップソウやエゾハハコヨモギなどの固有種や日本では大雪山にしかみられないキバナシオガマなどが咲き誇ります。 お花畑のスケールも雄大で、五色が原のハクサンイチゲなどは花平線と言ってもいいくらい、見渡す限りの花の海が続きます。
又、高山植物の女王とも言われるコマクサを唯一食草とするウスバキチョウは、大変に美しい蝶です。大雪山の過酷な自然環境の中で、2度の越冬の末に成虫になります。 アサヒヒョウモン、ダイセツタカネヒカゲといった大雪山にしか見られない貴重な蝶も生息しています。

作品の追加、変更は随時行う予定ですので、ご了解下さい。
平ヶ岳〜忠別沼間の無名峰(1833m)より
最終更新日;2014年10月26日


ミヤマオグルマ (キク科)
Senecio kawakamii

サハリンから南千島にかけて分布し、日本では北海道の高山に分布します。 舌状花は黄色ですが、筒状花は黄色からオレンジ色までの個体差があります。 葉と茎は、くも毛と呼ばれる細かい毛で覆われています。
本州には近縁種のサワオグルマが分布しますが、こちらは高山性ではなく平地の花です。

サマニヨモギ (キク科)
Artemisia arctica var. sachalinensis

北海道の高山と本州では早池峰山など東北地方の限定された山に分布します。 日高山脈に分布することから様似の名前がありますが、アポイ岳には生育していないようです。 早池峰山での個体数は結構多いですが、地名を冠した花なので同じ北海道の大雪山で撮影したものを載せました。 写真の個体はサマニヨモギというよりシロサマニヨモギ(var. villosa)に近いものです。 茎と葉ともに白い毛がかなり生えています。 シロサマニヨモギは大雪山と利尻岳にのみ分布します。両者の分布が重なる大雪山では中間型も多く見られます。 ヨモギの仲間ですから見栄えのしない花です。写真の個体は咲き始めの株で花数が少ない代わりにかなり大きな花をつけています。

エゾハハコヨモギ (キク科)
Artemisia trifurcate

日本では大雪山のみですが、アラスカからキルギスにかけての北アジアの高山帯に分布します。 茎と葉ともに白い毛が密生しています。 この花を撮影した時は天気が悪くて、ストロボを使用したので白く輝く姿がより強調されています。 有花茎と無花茎があり、無花茎は伸長しないで葉を叢生させます。 写真の右端が無花茎です。
近縁種のハハコヨモギをご覧になりたい方はこちらへ。

チシマキンレイカ (オミナエシ科)
Patrinia sibirica

別名をタカネオミナエシとも言います。 シベリアや東北アジアから南千島にかけて分布し、日本では北海道の高山に分布します。 秋の七草でお馴染みのオミナエシの仲間では唯一の高山性のものです。 金鈴花の名前はマルバキンレイカなどのようにオミナエシの仲間には幾つか共通してつけられています。 花は古くなると白くなるので、黄色い固まりの中に白い斑点が散らばったようになります。

キバナシオガマ (ゴマノハグサ科)
Pedicularis oederi

周北極要素を持つ植物で北半球の高山帯に分布します。 日本では大雪山のみに生育します。 シオガマの仲間でも大柄で、鮮やかな濃黄色の花は高山植物の中でも特異です。 私も最初にこの花を見た時の驚きは忘れられません。 花茎も非常に太くて他のシオガマとは異なります。一般にシオガマの葉は羽状に裂けて美しいのですが、キバナシオガマの葉は羽状とは言うもののシダ類のような感じです。 大雪山ならどこにでも咲いているというわけでもありません。咲いている場所では、かなりの数の個体を見ることが出来ますが、左のような大株にはめったにお目にかかれません。

ホソバウルップソウ (ゴマノハグサ科)
Lagotis yesoensis

大雪山の固有種です。 ずいぶん広い葉っぱですよネ。どこが細いのかと言われましてもねエ。 相対比較の問題ですから。 普通のウルップソウと比べればのハナシです。
ウルップソウとの差は、株全体が大きい、おしべが長い、花穂も長いなどもっと明らかに違う点もあるのですが、つまらない名前を付けられたものです。 大雪山の固有種ですから、『ダイセツウルップソウ』くらいの名前は付けてもらいたっかたような気がします。
理化学実験用のビーカー類を洗う時に使用するブラシのような花を沢山突き出し、威風堂々といった感じで大雪山の風に揺れていました。
尚、夕張岳には近縁のユウバリソウが特産します。

イワブクロ (ゴマノハグサ科)
Pennellianthus frutescens

樽前山に多いことから、別名をタルマイソウといいます。 高山の砂礫帯に大株を作ります。 この花の紹介には必ずと言っていいほど『桐の花によく似ている』と書かれます。桐はゴマノハグサ科で唯一の木本植物ですから似ていても不思議ではありません。
イワブクロ属は世界的には300種類くらい分布する大所帯なのですが、日本では本種のみの分布となっています。

エゾヒメクワガタ (ゴマノハグサ科)
Veronica stelleri var. longistyla

北海道と千島・北朝鮮に分布します。別名を朝鮮北部にある白頭山に因んでハクトウクワガタとも言います。 本州の高山で見られる近縁のヒメクワガタに比べて大きめの花を咲かせます。と言っても全体的に地味な花です。

ミヤマリンドウ (リンドウ科)
Gentiana nipponica

北海道と本州中部以北に分布します。雪田跡などの湿った草原を好み、高山草原の代表的な花のひとつです。
花冠は5裂し、裂片と裂片の間に副裂片があります。ミヤマリンドウでは、この副裂片は開化時に裂片と一緒に平開します。 ところが、近縁のリシリリンドウでは、副裂片は内側を向いて花筒を塞ぐような形になります。

エゾコザクラ (サクラソウ科)
Primula cuneifolia

本州の高山に見られるハクサンコザクラの母種で、アラスカ、アリューシャン、千島などの北太平洋に広く分布します。 大雪山では大群落を見ることが出来ます。 左の写真のように雪田の跡や雪渓の縁といったところに大群落を作ります。
サクラソウの仲間にはユキワリソウのように根生葉が外に巻くもの(ユキワリソウ節)と、エゾコザクラのように内側に巻くもの(エゾコザクラ節)とがあり、重要な見分けるポイントとなっています。エゾコザクラ節のサクラソウには、ヒナザクラがあります。

イソツツジ (ツツジ科)
Ledum palustre ssp. diversipilosum

浜辺ではなく、高山に咲く花なのに何故『磯躑躅』なんでしょうかね。学名のpalustreは、「湿地に生える」という意味だそうですから、沼の岸にでも咲いていたのを名付けられたのでしょうか。
大雪山ではどこでも良く見かけます。ハイマツ帯の縁を飾るように群落を作ります。清楚な姿が印象的な花です。 葉の細いものをヒメイソツツジ(subsp. decumbens)といい、大雪山のみに分布します。

エゾノツガザクラ (ツツジ科)
Phyllodoce caerulea

北海道並びに本州(早池峰山と月山)に分布します。湿地を好み雪田跡などにカーペット状の群落を作ります。大雪山では、あちらこちらに大群落を見かけることができます。花冠に腺毛があり、細長い壺型で紅紫色の花をつけるのが特徴です。又、花柄や萼も紅紫色です。 稀に白花があり、シロバナエゾノツガザクラ(f. albiflora)といいます。(左上)
エゾノツガザクラは近縁種のアオノツガザクラと交雑し易く、両者が分布する大雪山では様々な雑種が見られます。 写真のものも若干アオノツガザクラが入っているようで、花冠は若干丸みを帯びています。 羊蹄山などアオノツガザクラが分布していない山でないと、純粋なエゾノツガザクラを見るのは難しいようです。左下に典型的なエゾノツガザクラを載せておきましたが、大雪山で撮したものなので純血種かは疑問です。
葉の形が針葉樹のツガに似ていることから、この名前があります。

アオノツガザクラ (ツツジ科)
Phyllodoce aleutica

南アルプスで撮影したものですが、エゾノツガザクラとの関連で、このページに掲載してあります。前種と同様に湿った場所を好みます。北海道や本州中部以北に分布します。 花冠は底が広い壺形で淡緑黄色で無毛です。花柄や萼も同様な色です。
右下の写真は大雪山で撮ったものですが、萼が紅紫色を帯びており、エゾノツガザクラが少し入っているようです。
エゾノツガザクラが分布しない中部山岳では純粋なアオノツガザクラが見られるのかというと、これも難しく、こちらではツガザクラ(Phyllodoce nipponica)との交雑種が見られます。

コエゾツガザクラ (ツツジ科)
Phyllodoce caerulea f. yezoensis

エゾノツガザクラとアオノツガザクラの自然雑種といわれるコエゾツガザクラです。両親には「ノ」があるのですが、子には「ノ」が無いのはどうしてなのでしょうか。
エゾノツガザクラとアオノツガザクラが分布する大雪山では様々な段階の雑種が見られますが、花冠が丸みを帯び、色もピンク色で殆ど無毛のものをコエゾツガザクラと言います。
壺形の花冠が更に押し潰された形のユウパリツガザクラや、花色がしぼり模様のニシキツガザクラなどと命名された交雑種もあります。

ジムカデ (ツツジ科)
Harrimanella stelleriana

釣鐘状の可愛い花をたくさんつけるのに、地百足とはなんとも可愛らしくない名前をつけられたものです。 小さな扁平な葉をびっしりつけた茎の姿は確かにムカデに良く似ているのですが、ちょっとかわいそうな気がします。赤い萼と白い花の組み合わせが印象的です。

イワヒゲ (ツツジ科)
Cassiope lycopodioides

鱗状の葉を密生し、ヒノキの枝のようです。 この枝の形に由来するのでしょうが、前種と同様に岩髭とは、なんとも可愛らしくない名前をつけられたものです。 写真のものは小さな株ですが、大雪山では岩場が白くなるほどの大株もあります。 前種と同じ様な釣鐘状の花ですが、前種は花冠の先が中裂して縁が曲線を描くのに対してこちらは、浅裂し三角に尖っているなど、微妙に異なっています。

ミネズオウ (ツツジ科)
Loiseleuria procumbens

米粒のような小さな硬い葉と星形の紅色の花をびっしりとつけて、岩の割れ目や礫地にマット状に広がっています。まるで小さな星を撒き散らしたようです。 地面や岩にへばりついていますが、これでも常緑の低木です。 夏も終わりになると、先の尖った赤い実をつけます。 どこの高山でも見られますが、大株となると大雪山が一番です。 花色は赤みを帯びた白が普通ですが、写真のように花の色が特に紅いものをベニバナミネズオウ(f. rubra)と言います。 北海道のものは赤みが強いように思います。

シラタマノキ (ツツジ科)
Gaultheria pyroloides var. miqueliana

別名をシロモノと言います。亜高山帯や高山帯の林縁に生える常緑低木です。ツツジ科で釣鐘型の花をつける仲間の中では地味な花なので、同時期に咲くエゾノツガザクラなどに気を取られて本種に気付くことは少ないようです。しかし、秋になると常緑の葉の中に見事な白い実をつけ、ようやく目立った姿になります。
日本にはシラタマノキ属はアカモノなど3種が分布します。 この仲間の実はサリチル酸メチルを含有しますので、実を潰すとサロメチール(佐藤製薬鰹、標)の臭いがするそうです。もちろん高山植物ですから私は実を採ったことはありません。

ガンコウラン (ガンコウラン科)
Empetrum nigrum var. japonicum

ツガザクラに似た葉ですがツツジ科の植物ではなく、ガンコウラン科として独立しています。小世帯な科で世界でも8種、日本には本種のみが分布します。雌雄異株の植物で花は大変に地味で目立ちません。 花を見ればツツジ科とは全く違った植物だと判るのですが、花期が6月と早いのでなかなか見ることは出来ません。 秋になるとご覧のように沢山の実をつけます。

イワウメ (イワウメ科)
Diapensia lapponica var. obovata

中部山岳から北海道の高山にかけて普通に見られますが、大株となるとやはり大雪山です。 個体数も多いです。 又、大雪山では花が赤みを帯びるベニバナイワウメも見られます。 細かく分枝して小さな葉をびっしりとつけるので、緑のカーペットで岩壁や礫地を覆ったようになります。このカーペットの上に葉に比べて不釣り合いに大きな5弁花をたくさんつけます。この花の形がウメに似ていることからこの名前があります。
周北極系の植物で北アメリカやヨーロッパにも近縁種が分布します。

エゾタカネスミレ (スミレ科)
Viola crassa ssp. borealis ver. borealis

タカネスミレの分類は非常に難しく、種々の学説があります。タカネスミレの基準標本は岩手山で、大雪山に分布するものはエゾタカネスミレとして区別されます。葉に毛と光沢が無いのがエゾタカネスミレの特徴だと言われましてもネ。確かに毛は生えていませんが、光沢の程度はなかなか判定し難いですよね。この写真の株の葉も結構光沢があります。尤も、私の場合は単純に大雪山で撮ったという理由だけで分類しています。実にいい加減ですね。
秋田駒ヶ岳や八ヶ岳でもよく見かけるのですが、なかなか花期が合わず、良い写真は撮れていません。

ジンヨウキスミレ (スミレ科)
Viola alliariifolia

葉が腎臓の形に似ていることからこの名前がありますが、腎臓には見えないですよネ。 茎葉は、丸みを帯びた鋸歯がある幅広な葉をつけます。茎葉は3枚ですが、1枚が下に離れてつき残りの2枚が対生するという変わった葉の形態をしています。
大雪山以外では、ニセイカウシュッペ山や無意根山など見られる山は限られます。
高山の草地やハイマツの下などのやや湿った場所を好みます。

トカチフウロ (フウロソウ科)
Geranium erianthum f. pallescens

チシマフウロ(Geranium erianthum)のなかで花の色が薄いものをトカチフウロといいます。純粋のチシマフウロはもっと色が濃いです。
以前は目立たない花でしたが、近年の五色ヶ原ではハクサンイチゲやチシマノキンバイソウが衰退しこの花が結構目立ちます。右は1982年に撮影したものですが、半八重のものです。

マルバシモツケ (バラ科)
Spiraea betulifolia

ハイマツ帯の林縁から砂礫帯まで色々な場所で見かけます。白山、関東北部以北、北海道に分布します。
地域による変異の多い植物で、写真のものは小型なのでエゾマルバシモツケ( ssp. aemiliana)かもしれません。
シモツケの仲間には、他にもイワシモツケやマルバイワシモツケなどがあり、判り難いです。
写真の株はイソツツジと混生しています。丸い葉が本種のもので、細長い葉はイソツツジです。

メアカンキンバイ (バラ科)
Potentilla miyabei

雌阿寒の名前がついていますが、雌阿寒岳以外では硫黄山,羅臼岳,斜里岳,大雪山系、羊蹄山にも分布します。
大雪山には近縁のミヤマキンバイも分布しますが、葉の形が異なります。3出複葉の小葉はやや厚く光沢が無く灰緑色を帯び、各小葉は幅の狭い卵形で基部はくさび形で先端が3裂します。ミヤマキンバイも3出複葉ですが、光沢のある大きな葉で葉脈が目立ち、小葉の縁には粗い鋸歯があります。

チングルマ (バラ科)
Sieversia pentapetala

どこの高山でも見られ、雪田や雪渓の周辺の湿った高山草原の代表的な花です。 どこの山でも見られますが、大群落となると大雪山が一番でしょう。 草ではなく落葉性の矮性低木です。 茎はよく分枝してマット状に広がるので、非常に大きな株となり、この大株が草原に群れる姿は圧巻です。
花が終わると、長い毛を持つ小さな果実をつけます。 和名は、この長い毛が捩れて風にそよぐ姿を稚児車に見立てています。

チシマクモマグサ (ユキノシタ科)
Saxifraga merkii

日本では大雪山、夕張岳、知床半島に分布します。 北アルプスなどに稀産のクモマグサ(var. idzuroei)の母種です。 円形の花弁は付け根が細い柄となっているので面白い花型となっています。
ユキノシタ科の植物は、雪田の跡などといった湿った場所を好みます。 このような場所はサクラソウ科などの目立つ連中も好む場所でもあるのですが、派手な花といっしょに咲いているユキノシタ科の地味な花も結構捨てがたい魅力があります。

クモマユキノシタ (ユキノシタ科)
Saxifraga laciniata

別名をヒメヤマハナソウと言います。 大雪山、夕張岳、ポロシリ岳に分布します。 高山に咲くユキノシタ科の植物は結構多いのですが、クモマユキノシタは花の形がユキノシタらしい格好をしています。 ロゼット状の根葉から長い花茎が伸びてその先に花をつけます。
本来は湿った場所を好む花ですが、砂礫帯でも良く見かけます。この株は大きな岩の間の窪みに根を伸ばし、水分確保に努めているようです。

コマクサ (ケマンソウ科)
Dicentra peregrina

明治時代の文士"大町桂月"が高山植物の女王と称えた花です。 日本産の高山植物のなかでも美しい花です。 花の形が馬の顔に似ているので駒草といいます。 葉も羽状に細かく裂けて結構美しいです。 他の植物が育成しないような礫地に点々と群落を作っています。
写真の紅花は大雪山ものです。北海道のコマクサは小振りですが色が鮮やかなものが多いようです。本州のコマクサは株は全般に大きいですが色が淡いように思います。
稀に白花がありますが、シロバナコマクサ(f. alba)は八ヶ岳で見たきりです。 ケシ科ケマンソウ亜科として扱われる場合もあります。

ハクサンイチゲ (キンポウゲ科)
Anemone narcissiflora var. nipponica

ハクサンイチゲなんてどこの高山でも生えています。良く言ってせいぜい高山のアネモネですか。本州の山で見るハクサンイチゲは高山草原の代表的なメンバーであり、あまりにもありふれているので普通はカメラさえ向けません。でも大雪山では違います。五色が原では一面のハクサンイチゲのお花畑の遙か向こうにトムラウシ山が見えるのですが、水平線ならぬ花平線に浮かぶ島のようです。こんな雄大なお花畑は日本では大雪山以外では絶対に見られません。
しかしながら、このような素晴らしい風景が見られたのも昔のことになりました。地球温暖化の影響なのか五色ヶ原の乾燥化が進んでいるようです。今では笹原だらけとなり、高山植物は殆ど見掛けなくなりました。激変の様子は、ここをクリック してください。
尚、北海道に分布するのは、正しくはエゾノハクサンイチゲ(Anemone narcissiflora var. sachalinensis)です。 但し、区別のポイントが葉の切れ込み程度ですし、中間型もあって区別するのも難しいので、母種のハクサンイチゲの名前で紹介しております。

ミツバオウレン (キンポウゲ科)
Coptis trifolia

漢方薬として有名な「黄蓮」の同属近縁種です。 本州中部以北の亜高山帯〜高山帯の森林の林縁などで見かけます。根生葉が3出複葉なのでこの名前があります。
キンポウゲ科の植物なので、花のように見える部分は萼です。花弁は雄蘂のように見える黄色い部分です。

チシマノキンバイソウ (キンポウゲ科)
Trollius riederianus

別名をキタキンバイソウと言います。大雪山など北海道中央高地の高山に分布します。この写真の花を以前は誤って『シナノキンバイ』と紹介しておりました。チシマノキンバイとシナノキンバイは非常によく似ています。違いは精々花弁と雄蘂の長さが同程度なのが「チシマノキンバイソウ」で、花弁が雄蘂より短いのが「シナノキンバイ」といったところです。分類上はチシマノキンバイソウが母種となっています。
今般、中部山岳で写したシナノキンバイと比較して花弁の長さの違いに気付き、古いフィルムからスキャンし直しました。尤もキンポウゲ科の花ですから、花弁のように見えるのは萼片で花弁自体は線形で雄蘂と区別がつき難い形をしています。

ワタスゲ (カヤツリグサ科)
Eriophorum vaginatum

カヤツリグサ科やイネ科といった植物にも高山性のものがあり、貴重な固有種も存在します。 残念ながらこれらの科の植物は、あまりにも雑草といった感じが強くて、撮影の興味が減退します。 しかし、高層湿原に群落を作るワタスゲは果期になると白い花被片が長く伸びて球状の綿玉を作ります。 白い綿玉が湿原を埋めるように群生する様子は大変美しいです。
撮影場所が大雪山なので、写真の花はエゾワタスゲ(Eriophorum vaginatum var. tenuifolium)と思われますが、厳密に植物体を観察しておりませんので、単にワタスゲとさせて戴きます。
黄色く点在するのは、エゾキスゲ(Hemerocallis flava var. yezoensis)です。

尚、当ページに掲載した写真の著作権は中村和人にあります。 無断転載しないで下さい。
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