太平洋空軍の改革・再編と横田基地

 太平洋航空軍(PACAF)の改革・再編は、要となる中枢司令部機能の配置場所が決定され、新たな陣形に向けて順次移動が行われてきている。
 進められている改革・再編は、太平洋地域の緊急事態に対する即応能力と計画される戦争遂行能力を確実なものにしようとするもので、朝鮮半島有事や台湾海峡有事のほか西太平洋での様々な地域紛争を想定している。
  横田について言えば、テナント組織の一部が移動するだけで、表面上は大きな変化はないように見えるが、新たに設置されたケニー司令部の運用開始でより効率的な空輸任務が課せられている。

 ※横田への自衛隊司令部機能などの移駐については「軍軍共用に移行する横田」のページでふれています

太平洋空軍戦力

 ケニー司令部の設置と本格稼動

 
ヒッカム空軍基地(ハワイ)内に05年6月、ケニー司令部(暫定)が設置された。地球上に10の戦争遂行司令部(arfightinng HQ)を置き、地球規模で多発する地域紛争に対処しようとする米軍世界戦略に基ずくもの。現在は、太平洋軍とヨーロッパ軍の2つのWHQが創設され、演習を重ねて実態化しつつある。他の8つは将来設置が検討されている。

 ケニー司令部は、太平洋空軍司令官と太平洋軍司令官の両方に役立つよう「最高合同部隊航空宇宙指揮統制組織」として位置づけられ、朝鮮半島を除く太平洋地域の年中無休24時間体制の航空運用センターとして機能する。05年10月頃から稼動を始めている。

 グアムからヒッカム基地内に移動した第13空軍司令部の要員の多くが、ケニー司令部の運用にも関わっている。

   ケニー司令部には直属の部隊は存在しない(第502運用群、KHQ支援群のみ)。
   ケニー司令部に部隊の即応体制を維持する責任はない。
   即応体制に責任を持つのは第5空軍などの対応範囲を持つ司令部あり、隷下の部隊に
  即応能力の維持を義務付けている。

 ケニー司令部の設置は、空軍機だけでなく海軍、陸軍、海兵隊の航空機を含めた合同航空戦闘指揮センターを志向しており、06年6月に行われたバリアントシールド演習は4軍のメンバーが加わった合同演習として行われている。


 ケニーの名は、第二次大戦中、マッカーサーの下で太平洋戦域の航空戦戦略を構築したジョージ・ケニー大将の功績を称えて名付けられたもの。

 緊急事態や戦争時には、横田基地所属機の運用も、ケニー司令部の下に行われる。
 




 新鋭機の配備

 太平洋航空軍に所属する作戦機の多くは信頼性の高い機種だが老朽化も進んでいる。国防予算の圧縮傾向の中で、米空軍は人員の削減、基地の縮小・統合・廃止を進めつつ新鋭機の獲得に努力している。その新鋭機とはC-17(輸送機)、F/A-22(戦闘機)、B-2(爆撃機)、グローバルホーク(偵察機)である。
 
 C-17輸送機
   C-130の2倍の積載量を持ちながら、短い滑走距離(1000メートル弱)と長い航続距離
   で、正副パイロットとロードマスターの僅か3人で運用できる。
   ハワイに8機、アラスカに8機の配備が行われる。

 F/A-22戦闘機
   アラスカのF-15がF/A-22に置き換えられ、F-15はハワイに移転する。

 B-2爆撃機
   ステルス性能を持つ爆撃機で、出撃時以外は後方(グアム)に配備

 グローバルホーク偵察機
   無人で飛行し高高度から偵察する
   09年までに3機以上をアンダーセン空軍基地(グアム)に配備する

グアム島に緊急展開部隊が集中

 アンダーセン基地(グアム)は、西太平洋有事の緊急対応基地として整備が進んでいる。第36航空団がホスト部隊となり、F−15E戦闘機、B−52爆撃機、B−2ステルス爆撃機の運用部隊、偶発事態即応群、戦略空輸支援部隊などが常駐する。航空燃料の大量備蓄施設も完成し、朝鮮や台湾へ航空機で3時間の距離にあり、即応と戦争遂行に重要な基地となっている。朝鮮半島、台湾海峡有には、横田は前方展開空輸基地として役割を持つ。

 このほか、グアムには潜水艦(3隻)、海兵隊の海上事前物資集積艦(5隻)の基地もあり、朝鮮半島、台湾海峡有事への即応態勢を整えている。

  強化される空軍フィットネスプログラム


 米空軍の改革の重要な一つが2004年1月1日から空軍の全構成員に課せられたフィットネスプログラム。空軍の定めた基準を満たせない軍人は再訓練や解雇の対象となるため、肥満気味の兵隊ほどハードなダイエットと筋力アップに取り組まねばならない。



 課せられるのは
      @
15マイルタイムラン
      A腹囲測定
      B一分間の腹筋回数
      C一分間の腕立て伏せ回数  の四項目。

 年齢別男女別にポイント換算され、その合計ポイントにより「エクセレント」「グッド」「マージナル」「プア」の4レベルに評価される。


 AEFの導入による戦闘地域派遣では、体力不足の軍人の存在は、本人にとって危険であるばかりでなく、派遣部隊の機能を損なうことにもなる。航空機搭乗員や憲兵隊員などの直接の戦闘員ばかりでなく、デスクワークやコックなど非戦闘部門の任務に付く軍人も、ロケットや自爆テロなどの攻撃を受ける可能性は否定できないからだ。



 評価結果が「マージナル」と評価されたものは半年ごとに、「プア」と評価されたものは3カ月ごとに再検査を受けなければならない。横田基地内では、脱落者を出さないためにグループでのトレーニングや自主トレーニングが盛んに行われるようになった。 このプログラムにより腹の突き出た軍人や走ると息切れする軍人は姿を消してきている。


空軍に残るため自主練習に大勢が参加      管制塔横を軽快に走るトップグループ










 第20運用気象中隊のハワイへの移動

 横田基地で活動していた第20運用気象中隊(20th Operational Weather Squadron)は横田からヒッカム基地(ハワイ)へ06年春までに移動。同基地の第17運用気象中隊と合併した。合併後の名称は第17運用気象中隊の名が使われる。第20運用気象中隊は第五空軍司令部の隷下で、日本と韓国で活動する空軍と陸軍に気象情報を提供することを任務としていた。再構成された中隊は、ヒッカム基地内のPACAF司令部や新しく創設されたケニー司令部に気象情報を提供し、太平洋軍司令部の担当する地域のうちアラスカを除く全ての空軍と陸軍に気象情報を提供する。

  ※ 06年4月、第20運用気象中隊は横田で移転完了のイベントを行った


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