しの笛の作り方

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はじめに

篠笛は、古くから郷土芸能や長唄、歌舞伎など庶民の芸能を構成する重要な楽器であった。そして、これほど庶民に親しまれ愛された楽器はなかった。この冊子を手にした貴方も、篠笛の魅力にひかれ、いつしか、自分でも笛を作ってみたいと思いはじめた方であろう。

つい最近まで、専問職として篠笛を作っていた人は殆どいなかったと思われる。とりわけ郷土芸能で使われる笛は、農閑期の楽しみとして、農民の手で作られていた。ちょっと裏の藪へ行って、手ごろな篠竹を切ってくる。正月の終る頃まで干して、いろりの火にあぶり、春祭りや夏祭りを想いながら笛作りをしたにちがいない。漆は村の名人に頼み、塗ってもらったのであろう。庶民に親しまれ、愛されてきた篠笛の多くは、専門の職人によってではなく、庶民の手によって作られてきたのである。

しかし、日本中どこの村にもいたであろうたくさんの笛の名人とともに、多くの笛作りの名人も大戦の犠牲となり、庶民の手で笛を作る伝統が断ち切れてしまった。戦争は、日本の伝統文化の担い手を死滅させ、平和な時代になっても、なかなかこの伝統は甦らない。

この冊子は、篠笛作りの基本的な技術を紹介することにより、庶民の手で笛を作る伝統が復活されることを願って作成された。笛作りに挑戦したい方々に利用してもらえれば、ありがたい。
                   川島憲治

初の笛作り教本(1985年発行)


記事・画像の無断使用はお断りします

目次

1 篠竹の生み出す多彩な篠笛

篠竹

2 笛作リの工程

@竹取り

A乾燥

B炭火あぶり

C木取り

D穴あけ

E管内壁をさらう

F唄口づくり

G調律

H頭部の反射壁を固定

I管内塗装

J頭部を木片で閉める

K籐巻き

L仕上げ

3 笛づくりに必要な工具

4 篠笛はどうして鳴るのか

空気のリードが音を発生する

律はどのように決まるか

篠笛の音色

5 漆の使い方

《付録〉穴の位置の参考例

1 篠竹の生み出す多彩な篠笛

「篠笛」は、篠竹(女竹とも呼ばれる)で作られた横笛で、素材の味を生かした、柔らかで、ひなびた野趣のある音色を特色としている。

一般に、装飾は少なく、竹の割れを防ぐため管内に漆をかけ、細くすいた籐を頭と尾部に巻いている。「篠笛」は、単に「篠」とか「竹笛」とか呼ばれることもある。この笛が、いつ頃から使われるようになったかは定かでなく、中国などから伝わった物を日本の素材である篠竹で模倣して作られたものなのか、それ以前から日本に竹を素材とした笛が使われていたのか、確かな説はない。近代の日本では、すでに篠笛は各地に普及し、たくさんの人びとに愛されてきたことがわかる。各地に祭り囃子・神楽囃子・獅子舞囃子などの民俗芸能が盛んに行われ、その中で、篠笛は不可欠の構成員となっている。そして、こうした民俗芸能と相互に影響しあっていた歌舞伎や長唄でも篠笛が使われるようになった。

篠笛は、単一の規格をもっているわけではない。管の長さや指孔の位置さえも一律ではなく、用途や、土地土地により大きな差異がある。指孔の数も、一般には、七孔や八孔のものが多いのだが、四孔や二孔しかない笛を使っている土地もある。

歌舞伎、長唄に使われる篠笛は、唄や三味線と音高を合わせる必要があるので、壷越(ニ音に近似)を基音とするものを一本調子として、オクターブ上の壷越まで半音ずつ基音の異なる十三本の笛が用いられる。

 

これらは、律の低いものから順に一本調子・二本調子…………-十三本調子と呼ばれる。これらの中から・演目に合わせて適当な音高をもつ笛を選ぶことになるが、三本から九本調子のものを使うことが多いようである。

祭り囃子・神楽囃子などの民俗芸能に用いられる笛は、その土地土地で様ざまなものが使われている。音高は四本から七本調子に相当するものが多い。指孔は、七孔・六孔のものが一般的である。獅子舞の囃子には六孔が多い。もともとは孔があっても使わない孔にはテープを貼ってしまったり、その孔を作らなくなってしまったものもある。使う音が三音なら二孔、四音なら三孔で足りるので便利ではある。しかし、高度な音楽表現をしようとすれば、七孔を必要とするようである。

最近は、指孔に「改良」の加えられた笛も使われている。他の邦楽器との合奏を必要としたり、いろいろな旋律に対応するには、指孔の位置や数に「改良」を加えなければならなくなる。「みさと笛」もそのひとつである。七孔の笛の背面に左手親指で操作する第八孔をつけ加え、第一孔と第四孔を小さくしてある。

長音階、短音階に対応しやすくなり、いろいろな楽器とのアンサンブルが可能となっているが、篠笛独特のひなびた野趣のある響きは失われていくようである。

 

篠笛が単一の規格をもったものでないことは前述したが、さらに、竹で作った笛は二つと同じものを作ることが出来ない。たとえ唄口や指孔の位置など外形を似せても、音は同じになってはくれない。素材の繊維の疎密や、頭から管尾までの内径の変化などは、まず同一のものを得ようとしても得られない。同じように孔をあけても鳴リの悪いもの、低音はよく出るが、高音の鳴リの悪いもの、響きの柔らかいものもあれば固い感じのものもある。

篠笛は、一本一本の音色が異なり、一本一本に特有の癖があり、それぞれに出てくる「もち味」がちがっている。そして、長く使っていると吹く人の気持ちに馴染んでくると言われる。

穏やかなものもあれは、調子の浮れたものもある。音痴もあれば、つっぱったものもある。一人一人の人間がちがった個性をもっているごとく、一本一本ちがった笛が出来てくるのも、笛作りの面白さである。

 

篠 竹

篠竹は、厳密には笹の仲間である。別名の多いことからも日本人の生活にかかわりの深かったことがわかる。メダケ(細い竹を女竹ということがある)、オナゴダケ、ニガダケ(竹の子が苦い)、カワタケ(川のそばに生える、成長しても皮をつけている)、ナヨダケなどである。

日本の特産で、各地の河岸や海岸の近くに生えることが多い。京都、福井、千葉、神奈川、静岡、佐渡などに良い竹を産する。近年は、農作業や屋根材・壁材として使われなくなっており、篠竹の藪は潰されたり、手入れがされないままになる傾向がある。釣竿、かご、筆軸などの用途も急激に減少している。

篠竹は、節間が3050センチと長く、高さは36メートル程にのびる。直径は1〜3センチで竹の皮は生長しても脱落しない。肉薄で柔軟性に富み、折れにくいので前記のような用途のほかにも、様ざまに使われてきた。他の竹と異なり、表面に溝がなく断面が円か楕円となり笛作りの適材となる。

竹は表皮部分が最も硬く、内壁に向かって徐徐に柔らかくなっている、年輪はなく、維管束(竹のすじ)が柔組織に散在する形で木部をなしている。.維管束は全て縦方向に向かってのびており、節の部分でのみ交差する。このため、節以外の部分は割れやすく、竹笛作りでは、割れを防ぐための工程が非常に重要となっている。

表皮部分―――表皮細胞は硅酸やリグニンを含み、きわめて硬い皮膜をつくり内部を保護している。

中心柱―――柔組織。の中に、維管束(竹のすじ)と維管束鞘が散在、乾燥かるとこの部分も硬くなる。

内壁―――柔組織の破片などでできている。

竹は乾燥すると、収縮率がきわめて小さく、特に縦軸方向が極めて小さい。一度乾燥させると、その後は殆んど収縮しないので物差しなどに使われてきた。

竹の強度は乾燥により増加する。圧縮強度は木材と同等だが、引張り強度は木材の10倍程にもなる。

竹には、ペントーザンと呼ばれる糖分や、いろいろな抽出物(油)が含まれており、これが吸湿性を高めたり、カビや虫食いの原因となると考えられている。特に篠竹は生長しても皮が脱落しないで残っているので、皮のすき間にホコリなどが溜まりカビが発生しやすくなっている。虫食いの竹を笛にすることはできない。カビは表皮を冒し、清らかさを失わせてしまう。

良い材質を得るための生育条

@ 曲がりが少なく、管断面が円に近い篠竹を得るには、長時間同じ方向からの強い陽ざしを直接受けないことが必要である。したがって、林の内側に生えているもの、山の東か北側のものに良い材が多い。

A 風当りの強い場所に生えるものは、曲がりやスレが多いので、風当りの少ない場所で林の内側のものがよいようである。

B 砂地・礫質の土地に育ったものは、質が硬く粘りもある。排水の悪い土地のものは、肉厚で質はもろくなる。

C 暖かい土地より、寒い土地の方が組織が密でしまっている。

D よく肥えた土地のものは、太く肉厚となり、質はもろくなる。

2 笛作りの工程

笛作りの工程は、どんな笛を作るかによって、順序が変わったり、工程が増減するが、一般的なものを次にあげておく。

@竹取り(素材の採取・仕入れ、木取り)

A乾燥天日乾燥(二ヶ月)、室内に寝かせる(二ヶ月〜半年)

B炭火あぶり(油ぬき、曲がりを矯める)

C木取り(唄口・指孔の位置を決める)

D穴あけ

E管内壁をさらう

F唄口づくり

G調律

H頭部の反射壁を固定する

I管内塗装

J頭部を木片で閉める

K籐巻き

L仕上げ(調律、みがき、装飾)

 

笛作りの工程は、@良い音を出すこと、A湿気や乾燥による割れを防ぐこと、B虫喰いを防ぐことを中心に構成される。この冊子では、笛作りの基礎知識を提供しようとするものであり、この知設の上、さらに技術的な工夫をされ、急がず焦らず良い笛を作っていただきたい。

 

@ 竹取り

良い笛を作るには、まず良い素材を見っける必要がある。素材となる篠竹は、直接に山に入り、適当な年齢・太さで、節間が長く、曲がりの少ないものを見つけて取ってくるのがよい(もちろん、地主の許しを得て取らせてもらう)。竹材店を介して仕入れることもできるが、一束(1520本)の中に笛として使えるものは数管分しかなかったり、全く使えない場合さえある。業者は、笛用に採取しているのではないので、年齢が若かったり、節間が短かったり、スレが多かったりする。篠竹は間屋で買えば一束2千円ほどである。

山に入る時は危険がともなうので準傭が必要である。急斜面や崖があり、鋭く尖った竹の切り株がある。笹の葉が皮膚を切り、竹の小枝が鞭となって身体をたたく。しっかりした靴と服装で行く。軍手や防虫スプレーなども忘れずに。伐採の道具としては、小型のナタ・ノコギリがあればよい。切り出した竹を束ねるためのロープも必要である。

伐採の時期は、11月〜12月が最も良い。虫やカビの菌が不活発となり、竹自体も水の吸い上げをやめる。表日本では乾燥期に入リ、陽も弱くなるので、天日感想にも適する。時期は9月下旬から1月までは可。

伐採のときの注意点

@年齢は35年生のものがよい。

A「木どり」を考えながら、節間が長く曲がりの少ないものを選ぶ。節間は4550センチ程のものを選ぶ。九本調子以上のものは4045センチでも足りる。太さ(外径)は、四本調子で唄口となる部分が20ミリ前後、六本調子で18ミリ前後である。

B表面が美しいもの(スレ・カビ・虫食いのないもの)。

   篠竹の年齢を外見から正確に判断することは、憤れていないと困難であるが、皮の腐食の程度や上部に出る枝の様子から推定する。


A 乾燥

採取した篠竹は皮をはぎ、水拭きして泥やカビを落とす。汚れの落ちにくい場合はクルンザーを使う。節を切り取り管内の通風をよくする。

天日乾燥は、約二ヶ月。122月頃であれば害虫も不活発であり、表日本では靖天が続き乾燥している。途中、雨に濡らさぬこと、弱い陽が均一に当たるようにすることが大切。次第に色があせてきて黄緑色から密色に変わってくる。

よく乾燥できたら、使用する時まで室内に保存する。保存が長期になる場合、防虫のためビニール袋にシリカゲルなどの乾燥剤とともに入れて密封しておくとよい。乾燥が不充分であるとカビが発生する。

 

B 炭火あぶリ

この工程では、竹を火にあぶり、油抜きをするとともに曲がりを矯める。この工程により、虫の好物である油分が少なくなり、竹は乾燥度を増して更に硬くなる。

竹が焦げつかぬように注意ぶかく熱してゆくと表面に油が浮き、内壁からも蒸気が出てくる。油は布や紙で拭き取る。

竹は熱すると柔らかくなるので、厚いうちに曲がりを矯める。曲がりを直したい部分を特に加熱し柔らかくなった頃を見計らい少しずつ逆方向に反らせる。力を加え過ぎると逆に曲がったり、間がつぶれたりするので注意深く行うこと。管の一部をひっかけられる「なめし台」があると便利である。

炭火を用意することができない場合は、ガスを使ってもよい。焦がさぬよう更に注意が必要である。竹は焦げると脆くなり割れの原因となる。

 

C 木取り

唄口および指孔の位置は、見本となる笛の各サイズを計測して、左図のように穴あけの中心の位置を決め、印をつける。印は中心線と交差し、穴をあけた後も中心点がわかるよう充分長く描くこと。

見本となる笛は、拓本をとっておくとよい。名笛は、なかなか手にすることができず、長期間借用するのもむずかしい。拓本にとっておけば何度も使えるし、いろいろな笛との比較研究にも役立つ。私は、笛の上に和紙をのせ、ペンテル・パスティックで上からこするようにしている。唄口・指孔の位置と形をしっかりとり、管尾の径もとっておく。籐巻きや唄口のようすは、別に写真にとるようにしている。このようにすれば、ノギスなど金属をあててキズを作ったり汚したりする心配もない。

素材となる竹は、曲がりが少なく管断面は歪みのない円形であるものが理想的である。しかし、そのような竹を入手するのは極めて困難である。断面は多少の歪みをもち、長円形をなすものが多い。曲がりは加熱して矯めるが、若干の曲がりは残ってしまう。

管の歪みや曲がりの小さなものは、右図の○印のように使えば鳴りを損なわずにすむようである。断面が長円形をなしている場合は、径の長い方を上下にすると見栄えがよい。管に曲がりのある場合は、管尾が手前にくるように、又、管尾は下がるように孔の位置(中心線の位置)を決めるとよい。逆にすると指孔に指が合わせにくくなる。

表皮にキズやカビの跡があれば、うまく隠れるように工夫する。

D 穴あけ

穴あけは初心者が失敗しやすい工程である。力を入れすぎ刃がひっかかって竹を割ってしまうのである。竹の繊維は全て縦方向を向いている。この竹のすじに逆目となるように刃を入れると、ほんの少しの力で竹は割れてしまう。

まず、竹を作業台の溝に固定し、三目ギリやドリルで穴をあける。印の中心に刃をあて、ひっかかりに注意しながら「心静かに、急がず、焦らずに」穴をあけてゆく。表皮が硬いからとつい力を入れてしまうと穴と穴との間に裂け目が走る。割れた竹は笛にならないので廃棄する他はない。

穴があいたら、小刀で穴を拡げてゆく。小刀は常によく切れるように刃を研いでおく。使い捨てカッターを使う場合は替え刃を用意する。肩の力を抜き、刃先に全神経を集中し、「心静かに、急がず、焦らずに」削ってゆく。矢印のように、まず下から左上に3-4回削り上げ、次に右上へ3-4回削る。この時左右が対称になるようにする。竹のすじに対して逆目とならぬよう

必ず横に出ている印の手前で刃を止める。

同様に、管をさかさまに持ち変え、左宥を削り、上下左右が対称になるようにする。この作業を繰り返しながら、穴の大きさを目標の89割程に拡げる。

表皮は硬く滑りやすいので、一瞬の気のゆるみで刃先は滑り、竹にキズをつけたり指を切ったりする。小刀を使う時は、子どもを近づけたり、集中力を欠くような条件を排すること。

 

E 管内壁をさらう

竹の内側は、乾燥後も柔らかな組織でできているので取り去る必要がある。丸棒ヤスリやガリ棒と坪ばれるヤスリが便利である。断面が均整のとれた円になるよう管を回しながら、ていねいに削る。

管の肉厚・唄口から管尾までの内径の変化が音質に影響する。管の厚みが大きいと鳴リが悪く、薄いと割れやすくなる。内径が太いと音質も太めとなり低音部の鳴りが良くなるが、高音部は鳴りが悪い。唄口と管尾の内径差が大きいと、強く吹いてオクターブ上の音を出そうとする時、音高にズレが出てくる。強い腰のある音が出るので、あえて内径差を大きくすることもある。しかし、吹きづらく、調律が難しいので、一般には内径差は小さくしているようである。

  F 唄口づくり

 唄口は、人間の発声でいえば声帯にあたり、息の流れのエネルギーを音(空気の振動)に変える場所である。唄口の良否が、鳴りや音色に最も影響する。

形は縦長の長円形で、大きさは図のようにする。

 

管の太いものは、やや大きめに、細いものは小さめにする。唄口の切り口は、前図のように垂直に切り落とす。上図の様に唄口が広すぎたり、内側が広がったものは、「エアー・リード」がうまく振動せず鳴りが悪い。

「エアー・リード」が振動するためには、外側の動きの自由な空気に対して、管内に相対的に自由度のない空間を作り出さねばならない。そのために、唄口の切り落とした部分から管内に充分な奥行きが必要となるらしい。この辺の理論的な説明は、巻末の「篠笛はどうして鳴るのか」の項で行うので、唄口の研究の参考にしていただきたい。

下図のような原因で笛の鳴りが悪い場合は、唄口の切り落としを垂直にし、ヤスリで管壁を削り、切り落としの部分に奥行きを作ると鳴りが良くなる。唄口の仕上げは、紙ヤスリを棒に巻きつけたもので磨く。

日本の横笛には、篠笛の他に竜笛、高麗笛、神楽笛、能管などがあるが、全てフルートと同じ「エアー・リード楽器」に分類されている。これは、空気のリードで鳴る楽器ということである。口唇から帯状に吹き出される息の束が、唄口で上下に振動することによって音を発する。

 

G 調 律

唄口ができたら調律する。調律は管尾に近い第一孔から唄口に近い第七孔まで順次行い、最後に管尾(管音)を調整する。第一孔だけを開放した時の音をこの笛の基音という。まず何本調子の笛にするかに合わせて基音を調律する。

調律は、見本となる笛があれば、交互に吹いて合わせてゆく。各孔開放時の音(周波数)がわかっていれば調子笛や音叉を使う。最近は電子チューナーも販売されており便利である。それほど正確さを必要としなければ、調律された他の楽器に合わせてもよい。笛の音は、気温に大きく左右されるので、調律は室温で行うこと。最後の調整は、目の細かな紙ヤスリを棒に巻き、指孔の仕上げを兼ねながらすすめる。

穴の調整には、二つの方法がある。

@    律は、基本的には唄口から指孔までの距離によってきまるのであるから、指孔の位置を唄口の方向へずらして合わせる。

 A口端補正値を小さくすることにより、律を高くする。口端補正値を小さくするには、指孔を削って広げればよい。

Aの方法は、技術的にむずかしく、もっぱら@の方法が使われる。又、調整の際、唄口に手を加えると全体の律が変わってしますので避けたほうがよい。

措孔を拡げすぎると、穴の位置や大きさのバランスが悪くなり、見た目も悪くなる。

この様な場合は、指孔の外側はそのままにし、内側だけ削るとよい。角が取れた分だけ唄口との距離は短くなる。

 高すぎてしまった律を低く戻すのは困難である。やや効果のある方法は、接着剤や塗料で指孔の唄口側を埋める方法であるが、外見の悪くなるのを覚悟せねばならない。管内に接着剤や塗料を盛ると全体の律に影響を与えるので避ける。

 大甲と呼ばれる最も高い音域は、管内の塗装を施すまでは、なかなか出にくい。

.唄口かち指孔までの距離と律との関係、口端補正値については、巻末の「しの笛はどうして鳴るのか」で説明する。




H 頭部の反射壁を固定する

調律の段階までは和紙などで仮に頭部を塞いでおいたが、調律が終わったら反射壁として固定する。詰める材料は、木片、和紙+ロウ、コルクなどがある。

固定する位置は、低音部も高音部も鳴りのよい位置を探してきめるが、おおよそ唄口から3ミリぐらいの場所になる。直径8ミリほどの丸棒を使ってこの位置へ詰め物を移動させ、ボンドで固定する。

木片を詰める場合は、ヤスリをかけ管の径にピッタリ合わせる。少しでも大きめだと、詰める時、管に無理な力がかかり割れてしまう。

コルクを使う場合は、ヤスリがけも簡単で、柔軟性があるので容易に詰めることができる。コルクなら移動もしやすいので、唄口づくりの時から詰めておいてもよい。

和紙とロウを詰める場合は、管内塗装後に行う。能管や竜笛などは、この方法で行う。演目に合わせて、ロウの量を加減し高音部あるいは低音部の鳴りを調節できる利点がある。

I 管内塗装

篠笛の場合、管内の塗装は他の日本の横笛とくらべると極めて薄い。湿気による割れを防ぐため最少の塗装とし、できるだけ素材である篠竹の響きを生かそうとするためである。竜笛などは漆に砥の粉を混ぜ合わせたものを30〜50回ほど塗り重ねて硬い層を作るが、篠笛では1〜2回漆を塗るだけである。

日本では、古くから漆が使われ、現在でも篠笛の多くは漆が塗られているが、必ずしも漆でなければならない理由はない。昔は、漆以外に適当な塗料がなかったが、現在、新しい優れた特性をもった塗料が開発されており便利になっている。

漆を使う場合、乾くのに2週間〜2ヶ月程かかり、ウルシオールにかぶれたりするので、とても厄介である。漆を使う場合は、巻末の「漆の使い方」を参考にしていただきたい。

塗料は下図のように、唄口・指孔から管内に落とし、竹ヒゴに布をくくりつけたもので管内全面に拡げてゆくと簡単である。唄口と指孔の都分は刷毛塗をする。塗料が多すぎると乾いた時チリメン皺ができてしまうので薄くよくのばすこと。

漆に似た塗料には、カシュー塗料、新ウルシなどがある。カシュー塗料は塗料専門店に、新ウルシは釣具店にある。かぶれの心配がなく、乾きも早いので便利である。その他、ポリエステル、ポリウレタン系の化学塗料の中にも、漆に似た渋味と落ちつきのある塗料があり管内塗装に使うことができる。

 

J 頭部を木片で閉める

管の頭にボンドをつけた木片をつめ込む。木片は内径に合わせて小刀・紙ヤスリで整形する。少しでも大き過ぎると管に割れが入ってしまうので注意する。(模型店にある木の丸棒を利用するとよい)

ボンドが乾いたら、右

図の太線のように切り、紙ヤスリをかけて仕上げる。管の頭の形は、全体の装飾に合わせて選ぶ。管の頭と管尾は、竹の表皮がはがれやすいので、表皮にひっかかりができないように、ヤスリがけをしておく。

管の頭には、漆をかけ、何本調子の笛に相当するか、その書号を漢数字で書き入れるのが一般的である。

 

K 籐巻き

篠笛では、一般に、頭と管尾だけに籐を巻く。これは、竹の割れを防ぐためと、装飾とするためである。籐は3厘籐と呼ばれる幅1ミリ弱の皮籐が良く使われる。巻き方は外皮の上に巻きつけるものと、外皮を削り溝の中に籐を半分程埋め込んで巻く方法がある。どの巻き方を選ぶかは好みの問題だが、溝が深すぎると逆に弱くなるので注意すること。

籐巻きで難しいのは、籐の両端の収め方である。籐は漆やボンドで接着するが両端がしっかりしていないと見苦しいばかりか端から剥がれてくる。次に図解のある方法は埋め込んだ場合のものだが、外皮に直接巻いた場合も同様にして行う。

 

(イ)の方法は、両端を小刀で薄く削いで溝に収めている。最も簡単な方法だが両端が薄いので破損しやすいのが弱点である。溝にはボンドを塗っておく。

(ロ)の方法は、巻き始めと巻き終りの位置にキリで穴をあけ、その穴に両端を収める。両端がはっきり見えるので荒い感じがする。溝にはボンドを塗っておく。

(ハ)溝の中に両端を収める溝をさらに掘る。巻き始めを溝に収め瞬間接着剤で固定する。ボンドを塗った溝に巻いてゆくが、巻き終りが近くなったら、末端を引き込むためのヒモを巻き込み、巻き終わったらヒモを引いて末端を取り込み溝に収める。ボンドが乾いたら出ている末端を小刀で切り取る。

籐は折れやすいので、巻く前に十分程水につけ柔軟になったものを巻く。

籐巻きが終わったら、巻き始めと終わりの外周に一本の線を漆でかく。両端をさらに接着するためと、両端の見栄えを良くするためである。籐巻き全体に漆をかけてある笛も見かける。

古管には、樺(山桜の皮)を巻いたもの、麻糸を巻いて漆で固めたものなどがある。

新しい素材としては、テトロンを撚った釣糸が使える。渋い色あいと光沢を持つものを選ぶ。強度は籐以上に優れている。

 

L 仕上げ

最後に調律を行う。管内塗装によって若干律の変化があるためである。削って修正した時は、その部分が目立たぬように部分的に刷毛塗りをする。その他、修正すべき点を修正する。

 

装 飾

篠笛は、一般に装飾はひかえめである。これは竹のもつ響き最大限に生かそうとするからで、管内の塗装も薄めにしてある。しかし、好みによって、様様な装飾を加えた管もあるので、いくつか紹介しておく。

@表皮を削り取り、竹の筋目模様を生かしたもの

竹の繊維は、それ自身でも美しいが、さらに漂白したり、媒竹色に染色したものも優雅な感じがしてよい。外皮は非常に硬いので、茶わんのかけらやガラス片で削りとる。外皮のよごれや傷が取れるが、カビは内部まで侵していることが多く、削っても美しくはならない。防湿・表面保謹のため透明な塗料を塗る必要がある。音色は若干柔らかな感じになる。

A各指孔間に竜笛ど同じように籐を巻いたもの

指のおさまりが良く、見栄えも荘厳な感じになる。割れに対しては更に強くなるものの音色はしの笛本来の音から遠ざかる。

B籐巻きの代わりに樺巻きをしたもの

樺は、山桜の皮を細くスライスし糸状につなげたものを使う。渋い光沢をもち、高級管の装飾に使われるが、音色がよくなるわけではない。

 

C煤竹を素材としたもの

百年以上も屋根材として使われ、いろりの煙で燻された篠竹が使われる。渋味をもち、虫やカビにも強い。現在では、煤竹を入手することは困難である。人工的に燻して短期間に煤竹にする方法が開発されているが、同じ質にはならないようである。

D染色をほどこしたもの

煤竹色に染めたものが多い。古管には草花で染めたものもみられる。笛は口にあてるものなので有害でない染料を使うこと。

このほか、カビによって生じた模様を生かしたもの。薬品によって模様を描いたものなどがある。

笛作りをする若い頃の筆者、道具箱が作業台兼ゴミ箱となっている

笛作りに必要な工具

しの笛作りに特殊な工具は必要としない。小刀1本あれば肯定のほとんどは消化することが可能である。しかし、身近な次のような工具があると便利である。

@ノコギリ

竹の表皮は硬く、これに耐えられる丈夫な刃を必要とする。目の粗い刃は、笹くれができやすいので注意する。マスキングテープを貼ってから切ると笹くれを防げる。私は細工用に市販されている「ピラニアン」を愛用する。

.Aキリ・ドリル

キリは三つ目でも四つ目でもよいが、孔あけ工程でも説明したように力を入れすぎないこと。大量に加工するときは、ボール盤があると便利。

B小刀

初心者は、刃をこぼしやすいので替刃式のカッターナイフを使うとよい。小刀を使い慣れた人は、よく砥いだものを使う。表・裏とも刃を砥いだ特殊な小刀もあるが、穴あけの際左右均等に力が入り便利である。

Bヤスリ・紙ヤスリ

木工用の丸棒ヤスリで長いものがよい。25センチ以上の長さが必要である。ガリ棒と呼ばれる柄の長いヤスリも便利である。

紙ヤスリは、唄口・指孔の仕上げや、管尾などの角に笹くれができないように削るのに使うが、目の粗さは、100番から800番くらいのものを用途に合わせて使う。

C柄の長いタンポ

管内塗装に使う。不用の竹に柔らかい布をまき糸で結んで作ればよい。

D丸棒

反射壁の位置を決めたり、紙ヤスリを巻いて穴の仕上げをするのに使う。径が10ミリ程の管長より長いものと、径が35ミリで鉛筆の長さ程のものを用意する。

Eその他

あると便利なものとして工作箱がある。上の写真のものは、廃材を利用して作ったものだが、竹の切断・穴あけの際はV字型の溝が竹をしっかり固定してくれる。工具を収納でき、削りかすを入れるゴミ箱にもなる。箱のふちは、穴あけの位置を決めるスケールになっておリ、よく使う六本〜八本調子の穴の位置を印してある。

漆を使う場合は、うるし風呂ともいわれる「室箱」が必要となる。この中で適湿・適温を維持して漆を乾かすのであるが、印籠蓋になっていて外気を遮断でき、ホコリなどが入らないもの。不用の冷蔵庫、発泡スチロールの箱、お茶の箱などが利用できる。水を湿した布が直接笛に当たらぬように受け台などを入れること。

 

右上から、キリ、ピラニアン鋸、木工丸ヤスリ、ガリ棒、丸棒

左上左から、切り出しナイフ、替え刃ナイフ

篠笛はどうして鳴るのか

音が空気の疎密振動の伝播する「疎密波」であるということは、御存じのことと思う。音も空気も共に肉眼で見ることができず、しかも一振動が数百分の一秒から数万分の一秒という速い動きのため、「どのようにして笛が音を出しているのか」が長い間わからずにいた。このため、笛は更に神秘的なイメージを持ちつづけるとともに、様様な俗説や推論を笛師(笛作り職人)や笛吹き(演奏者)の間に通用させてきた。

しかし、楽器としての「笛」を研究対象とするには、この神秘のべールを剥ぐことから始めなければならない。

昔の人は、自分の息が音を遠くへ運んでゆくものと考えていたらしい。「息」という字は「自らの心」と書くことから、息は自分の心を吹き出したものであリ、笛の音は心の響きであるというロマンチックな解釈さえある。笛吹きにとって極めて魅力的で捨てがたい解釈である。息は周囲の空気の抵抗に会い、どんなに強く吹いても数メートル程にしかとどかないので、全く不合理な理解である。

少し科学的にみえる説として「エッヂ・トーン」説がある。笛の発音原理を、唄口のエッヂ(角)の両側にできるであろう渦に求めたものである。「エッヂ・トーン」説は推測でしかなかったが、他に有力な説が無かったので、長い間信じられてきた。今でも、この説によって唄口の機能を説明しようとする笛師も多い。

 

鋭いエッヂ(刃物のようなもの一に空気流を上の図のように当てると、刃の両側に渦ができる。この渦が音を発生させることがわかり「エッヂ・トーン」と名づけられた。

しかし、篠笛などの横笛類の音がエッヂ・トーンであるという説は、次の理由から否定されねばならない。

@エッヂ・トーンを発生するには極めて強い空気の流れを必要とするが、人間の息では困難。エッヂ・トーンが出せても極極小さな音量にしかならない。又、極めて高音であり、笛の低音部の音源としては考えられない。

A笛の唄口部分のエッヂは、角度が70度程もあり、上図のような渦はできにくい。

B唇から吹き出される息は、エッヂにではなく唄口の壁の部分に向けられる。低音を出す時には、更に管内に向けられエッヂには当たらない。

他に、カルマン渦を音源として説明しようとする説がある。カルマン渦とは橋げたの下流に生じる渦のことだが、空気の流れによっても生じる。台風の時電線がヒューヒュー鳴るのはカルマン渦のためであると説明される。しかし、渦をつくり、それによって息のエネルギーを空気の疎密振動に変換するのは、極めて効率の悪い方法であり、笛の鳴る理由とはなりがたい。

 

空気のリードが音を発生する

現在、最も確かさをもっているのは、「エアー・リード」説である。唇から吹き出された帯状の息が唄口でリードの役割をして振動する。この空気のリードの上下振動が、周囲の空気を押し引きして疎密振動を作り出す。この疎密波が音であり、秒速三百四十メートル程で伝播してゆくわけである。

下の図は、息のビームが振動する様子を説明した略図である。

笛を吹く時、ビームは唄口の壁に向けられ管内に入る。ビームは勢いを失い、息は管尾へ流れ一部は唄口からも外へ出る。管外の空気は動きが自由であるが、管内には気密性があるので、息を吹き込まれると気圧が高くなる@。管内の圧力が高くなると唄口からビームを押し上げようとする力が働きA、ビームを管外へ向けてしまうB。唄口にビームが入らなくなると管内の気圧は下り、再びビームは管内へ向けられてくるB。そして管内の気圧を高めてゆくC。

この図では、振動の一サイクルでのビームの方向の変化を説明しているが、実際にはもっと複雑な動きを、数百分の一秒から数万分の一秒という極極短い時間に繰り返しているわけである。下の下の図は、アメリカのコルトマンがフルートの唄口にタバコの煙を吹きつけ、その変化をストロボ写真で写し、空気の流れを解明したものである。下の数字は一サイクルを三百六十度とした時の位相である。

この時の振動数は、唄口から指孔までの「実効長」によってきまる「共振周波数」に同調する。これが「エアー・リード」説である。

音源別に楽器が分類される場合、篠笛、竜笛、能管などの目本の横笛は全て、フルートと同じ「エアー・リード楽器」に分類される。音源の原理は、ビール瓶を吹いて鳴らすのも同じである。意外に思われるかもしれないが、尺八やリコーダーも「エアー・リード」を音源としている。

笛を吹くとき、唇を引きしめ、紙テープの様な帯状の息を出すと鳴りが艮いことは、息を「エアー・リード」と考えると良く理解できる。

 

 

律はどのように決まるか

律、すなわち唄口にできる「エアー・リード」の振動数は、管内に生ずる定常波によって決まる。音速(常温で秒速三百四十メートル)を定常波の波長で割れば「共振周波数」となる。これが音の高さである。

下の図は、第四孔までを開放した時の基本波を図解している。波の反射する部分が唄口・指孔の開口部より飛び出していることに注目していただきたい。管内気柱の疎密振動は、管の開口部より少し外側にて反射し、定常波をつくる。開口都より少し外側の空気は管内の空気と一緒に振動するため、見かけ上、管の長さが少し伸びたようになってしまう。この見かけ上伸びた長さを「開口端補正」という。

「開口端補正」の値は、開口部の断面積やその形状によって決まり、断面が一様な円形である場合、半径の約○・六倍となる。笛では、唄口・指孔とも管の側面にあり、形は様様な長円形をなし、断面積も一様でないため、計算により「開口端補正」を求めることは極めて困難となっている。笛師は、穴あけの大まかな位置を示すスケールを持っているが、律合わせは一本一本の笛のくせをつかみ、穴の位置を調整してゆくしかない。

笛を吹いた時、下図の様な基本波と同時に、二倍振動・三倍振動…………も定常波を作る。これらの合成した振動が複雑な音色をつくりだしている。

篠笛の音色

笛の音の出る原理や律の決まり方は、篠笛以外でも全く同じである。たとえばガラス管で同じサイズの笛を作れぱ律の同じ笛ができる。木管や金属管を使っても同じ律の笛ができるのである。

それでは、篠笛はどこが他素材で作られた笛とちがうのであろうか。それは、篠笛のもつ独特の音色である。音色を決める最も有力な物理量は、その音の倍音構造である。各倍音がどれだけの強さを持っているか、その相対的な特徴が音色を決める。

ある笛は周波数の高い倍音の勢力が強い。又、ある笛は偶数次の倍音だけが劣勢であったりする。更に、時間的にそれらの特徴が変化する。笛を作る素材により、又、唄口や管内の形の違いにより、こうした特徴にちがいができる。

これから先のことは推測によるものであり、私自身まだ検証していないが、恐らくこの様なことが音色を、すなわち倍音構造を決めているものと考えられる。

まず、篠竹という素材は、乾燥すると竹自体が振動しやすく一定の音域では共振するものと思われる。

又、逆に吸音材としても機能していることも考えられる。これには管の厚み、塗装の質や厚みが関係してくる。管の厚みが薄いほど鳴りがよくなる。塗装が厚いと高音の鳴りがよいように思われる。逆に、籐巻きが過ぎると重い音になる。頭部の長さや反射壁の位置も影響を与える。反射壁を唄口から近づけると低音が良く鳴り、唄口に近づけると高音域の音がきわだってくる。竹の繊維が全て縦方向にそろっていることも、篠笛の音をなんらかの形で特色づけているものと思われる。

篠笛のもつ柔らかで、ひなびた野趣のある音色は、こうした条件によって作リ出されるのである。

良い笛、悪い笛は簡単には決められない。鳴りの良い笛が必ずしも良い音とは限らない。むしろ初心者には吹きづらい癖のある笛が、吹き手によっては、とても良い音色を出すことがある。

自分で作った笛は、他の人にも吹いてもらい、律や音色について、又、唄口や指孔の感触などについて意見を言ってもらうことが大切である。より吹きやすく、より音色の良いものを求めてゆく道は限りなく、そして楽しい道であると思う。

漆の使いかた

漆塗りは、昔は最も一般的な塗装であった。他に良い塗料が無かったからともいえる。現在は優れた塗料が開発されており、漆と比べると使い方も簡単なので、新しい塗料を使った方が合理的である。しかし、それでも漆を使いたい方のために、漆の使い方について簡単に説明しておく。

最近、漆はチューブに入れられ小売りされるようになった。原料うるし液を精製した「生うるし」の他、染料・顔料・金属粉などを加えた有色のものが売られている。管内塗装には、朱色系のものと黒色のものが主に使われる。表皮をはいだ場合は表面に生うるしを塗る。小売りされている以外の色や質のものを求める場合、日本工業規格の精製うるしの中から使用目的に合ったものを選ぶ。

《漆が乾くということは》

漆が乾くということは、一般的な乾燥とは意昧がちがう。漆が乾くのは、漆に含まれるラッカーゼが空気中から酸素をとって、主成分ウルシオールを酸化重合させて固定させることである。この反応を促進させるには、適当な温度と湿度が必要である。適温は20℃〜25℃で、適湿は75%85%である。これらの条件を作るために工具の所で紹介した「うるし風呂」が必要となるのである。

《漆かぶれ〉

漆の主成分ウルシオールが皮膚に接触すると炎症を起こす。漆を使う時は手袋をするなどして皮膚を守る必要がある。手に食用油を塗るのもよい。管内塗装のとき、目を近づけて管内をのぞくと目を痛めてしまうので注意する。メガネをしているとある程度ふせげる。手などに漆がついた場合は食用油で拭いとる。

その後、硼酸水で湿布する。軽ければ数日で治るが、重症のときは医者の手当を受けること。

《溶剤》

漆はチューブから出して、それを良くのばして使う。溶剤はあまり使わない方がよいが、必要な場合は、テレピン油・片脳油・アルコールなどが使える。

 

孔位置は、、管の内径や唄口、指孔の大きさで変化しますので、参考寸法と考えてください

しの笛の作り方 Q & A

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