★元市民課職員の危ない話★
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1人でも仙人流「市民課職員の接遇」
----- その3 -----


●説明偏〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 毎日、様々な人から、様々な質問を受けます。質問を受けた時には、その質問者がまず、何を知りたがっているのかを把握して、簡潔に説明することが肝心です。

 専門用語を使ってはいけません。私のいう専門用語は意味が広いです。
 市民課は、その業務内容がある程度はっきり決まっています。でも「市民課」という名前の課なので、市民の方は、「とりあえず市民課で聞いてみよう」という人が多く、いろんなことを聞かれます。それはそれでいいのです。
 その話の内容から、「その業務なら○○課です」と、その担当の課を教えてあげる時がけっこうあります。

「それはこちらではなく、2階の庁舎西側○○課で取り扱っております。」

というように説明しているのを何回か聞きました。説明した人にしてみれば、○○課だけでは、その課がどこにあるのかわからないだろうから、場所まで丁寧に教えてあげたと思っているのでしょう。
 上記の説明、まず「2階」はいいです。1階か、2階か、3階かというように、何階かということは具体的でわかりやすいです。
 でも「庁舎」はよくありません。活字で見れば、意味がよくわかる言葉ですが、「チョーシャ」は、一般市民の方には、普段あまり聞き慣れた言葉ではない人もいると思います。さらに「西側」は最悪です。自分の家にいるなら西側はどっちの方角かわかるでしょうけど、初めて来た(何回か来ていても)建物で、西側といわれても、まず、わからないでしょう。
 「庁舎西側」これは、その役所の中の専門用語なのです。そういう言葉を使ってはいけません。中にはわかる人もいるかもしれませんが、だれでもわかる言葉で説明したいものです。

「○○課は、こちらの階段を(手のひらを上に向けて「こちら」を合図する)上りまして、2階の右側の突き当たりにございます。」

と説明したほうがわかりやすいと思います。

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 お客様が話す話の中に専門用語が入っていると、「この人は、ある程度知っている」と私達は認識しがちです。でも、ちょっと待ってください。お客様がどういうつもりでその言葉を使ったのかがはっきりつかめないうちは油断できません。お客様は、もしかしたらその言葉を違う意味で使っている可能性もあるのです。
 たとえば、わかりやすいところで「転居」や「入籍」です。お客様が「転居」と言っても、こちらが把握している「転居」とは違う意味で使っている場合があります。「入籍」もそうです。「転居」や「入籍」は、わかりやすいのでまだいいほうですが、うっかりすると話がかみ合わなくなる場合がありますので、注意しましょう。
 私達は、専門家です。知識もあります。でも、役所に来る一般の人は、知識がありません。言葉の使い方など間違って当然です。お客様の立場に立って応対する必要があります。

 戸籍関係の事項について説明するときは、ものすごく注意が必要です。戸籍の専門用語をずらーっと並べて詳しく説明しても、それがはたしてお客様とって丁寧で詳しい説明といえるのでしょうか。わかりやすい説明といえるのでしょうか。
 そういう意味で「パソコン」と「戸籍」って似てるところがあると思うのです。パソコンを作る人、ソフトを開発する人は専門家です。はじめてパソコンにさわる人とのギャップは専門家たちには想像することができないほどです。

 こうしてホームページを運営していながら、こんなことをいうのもなんなのですが、私はある意味でパソコンはどうも好きになれない部分があります。パソコンというよりもパソコンを含めたパソコン業界全般といったほうがいいのかもしれません。

 その理由はいくつかありますが、その中の1つがこの言葉の問題です。
 なぜ、「メモリ」なの? いつから「メモリ」になったの? 「メモリー」と「メモリ」はどう違うの? これって、業界用語? 専門用語?

 「データ」「プリンタ」「フォルダ」「コンピュータ」「カウンタ」「ドライバ」「バッテリ」「センサ」「モニタ」「アダプタ」「フィルタ」「コネクタ」「サーバ」「スキャナ」って何?
 データー、プリンター、フォルダー、コンピューター、カウンター、ドライバー、バッテリー、センサー、モニター、アダプター、フィルター、コネクター、サーバー、スキャナーなどは、聞いたことのある言葉などはある程度意味がわかるけど、前述の言葉は今まで見たり聞いたりしたことがありません。
 これは、ただ単に最後の「ー」を省略しただけなのでしょうか? だとしたらなぜパソコン業界だけ「ー」を省略する必要があるのでしょうか? 英語の発音的にも「ー」があった方が、正しいと思われる言葉も多いのでは?

 聞くところによると、その昔?コンピュータが世に出始めた頃?コンピュータ業界でこれらの「ー」は省略することにしようという取り決めがあったそうな。
 だったら、デザイナー、オペレーター、イラストレーター、ディレクター、クリエイター、メニュー、レイヤー、ビギナー、などは、なんでそのままなんでしょう? ごくたまに省略されている時もありますけど・・・・。

 初心者向けのパソコン雑誌でも、これらの不可解な専門用語?がビシバシ出てきます。しかし、このことについて解説しているのは今まで見たことがありません。(メモリとメモリーの違いについてとか)そんな細かいことと思われるかもしれませんが、パソコンで最初にあたる壁は「言葉」です。初心者にとっては、完全に初めて聞くような言葉も出てくるのですから、もともと聞いたことのある言葉だけでも、なるべく意味がわかりやすく表現したほうがいいと思うのは私だけでしょうか。
 パソコンで最初にあたる壁は「言葉(パソコン専門用語)」だということは、今初めてパソコンを触るという人はもちろん、専門家の人も皆知っていることだと思うのです。知っていながらそれを改善しようなんて全然思ってないです。専門家の人は。

 結局、パソコン業界は、芸能界や、コギャルなどが、自分たちだけ通じる言葉を使うのと同じように、他とは違うぞというところをみせたいだけのような気がします。少なくとも相手の立場には全然立っていません。
 このような体質だから、マニュアルがわかりずらいということなど、私に言わせれば至極あたりまえのことなのです。

 おっと、話が完全にパソコンに移ってしまいました!

 お客様にしてみれば、私達役所の人間は専門家です。役所の人間からすると普段毎日戸籍の専門用語を使用しているので、それが専門用語だという意識がなくなってきます。そこが落とし穴となるわけです。
 専門家が書いたパソコンやソフトのマニュアルがわかりずらい、というのと、戸籍の専門家の説明はわかりずらいということがイコールになってしまってはいけないのです。

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 説明をする時は、順序立てて説明することが基本ですが、お客様が「○○することはできますか?」という時は、説明の部分がものすごく長くなりすぎるより、結論を先に言ってから、それについて説明するという順番の方が良い時もあります。お客様は戸籍法や通達にどういう文章が載っているかを質問しているのではないと思うのです。法律や通達は専門用語が目白押し(しかも表現がなれないと難解)ですから。難しい法律の条文をずらーっと聞かされるより、実際にそれができるかできないかをまず知りたいのです。
 それでも最後にお客様が知りたがっている情報の説明にたどりつけばいいのですが、直接お客様が知りたがっていることとは、別の事例などの解説なども交えてしまって、結局お客様の質問にはきちんと答えていないというこになったら最悪です。
 「このときはこうで、こちらのときはこうなる」と説明すれば、お客様の場合は当然こうだということがわかるのは専門家だけです。お客様の場合はこうだということをきちんと説明しなければなりません。

 また、お客様の質問に対して、条文を示せばそれが一番確実な答えになると考えているようでは、まだ甘いといえるでしょう。

 お客様が、「できるのか、できないのか、そしてその根拠は?」と根拠(法令)まで示して欲しいという場合があります。そんなときでも、答えとしては、できるのかできないのかをハッキリ伝えた上で、その根拠を示す必要があります。
 条文だけ示しても、その質問に答えたことにはなりません。こちらとすれば、条文を示せば、質問の答えになっているはずだ、と思いがちですが、「できるのか、できないのか」の答えが先です。とにかく法律などの言葉はわかりにくいのです。わかっている人にすれば、ものすごく確実な言葉なのかもしれませんが、お客様は、そう思っている人ばかりではないのです。

 戸籍などに関して知識と経験があればあるほど事例なども交えながら詳しく事細かに説明することができます。丁寧に説明することができるということです。でも注意しなければならないのは、説明ばかりしてしまうと、結局お客様が理解しない、理解できないという状況に陥ることもあります。「それでどうすりゃいいの?」というお客様が一番知りたいところが抜け落ちた説明です。
 説明した本人からすれば、ものすごく詳しく丁寧に正確に説明したつもりでもお客さまが理解できなかったら、説明していないのと同じです。実際には詳しく丁寧に正確に説明すれば、お客様がまったく理解できないということはないと思います。なんとなくは理解できると思うのです。ただ、そのなんとなく理解するまでに、
「戸籍って難しくて複雑で理解するのに苦労するなぁ」と感じてしまいます。わかりやすく説明すれば、簡単なことでもです。これはやっぱり相手の立場に立つか立たないかの違いだと思います。

 逆に、結論だけ説明して、なぜそうなるのか、そうなるということはどういうことなのかという説明がないというのもよくありません。結論だけではその内容を理解できないお客様もたくさんいるからです。

 説明する側が、その説明することについて充分把握していない場合は、良い説明が期待できません。また、充分把握していてもわかりやすく説明することがヘタな人も多いのではないでしょうか。

 再三、専門用語を使ってはいけません。とお話してきましたが、時と場合によります。専門用語はその意味がわかる人にとっては、具体的で便利な言葉です。専門用語を使わないと意味が曲がってしまう恐れがあることでも、専門用語なら具体的でハッキリします。誤解されることなくスムーズに意味が通じるのです。

 

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