最近では、どこの病院、銀行などでも、窓口でお客(患者)様を呼び出すときは、以前は「○○さ〜ん」だったと記憶している。ところが、現在では「○○さまぁ〜」と「様」付けで呼ぶところが多くなった。
ご多分にももれず、私の役所の窓口でも、お客様を呼ぶ時には「○○様」と様付けでお呼びすることが多い。呼び出すときだけではなく、カウンターでお客様と面と向かってお話するときも「○○様の住民票が2通で、△△様の住民票は1通でよろしいですか?」のように「様」を使用する。また、まだ氏名がわからないときは、「お客様」と呼ぶこともある。「お客様、どのようなご用件でしょうか?」とか、「お客様、どうぞこちらにおかけください。」という具合。
この「○○様」という言い方に対して、反感をもっていらっしゃる方もいるようだ。新聞かなにかで読んだ記憶がある。
「○○様」では、あまりにへりくだりすぎている。「さん」を「様」に変えるよりも仕事内容の改善が先だろう。変にお客様扱いすると親近感がなくなる。病院では患者、役所では市民との信頼関係が不可欠なのに、とってつけたような言葉づかいでは信頼関係が築きにくい。「お客様」というのはよそもの扱いだからよくない。「○○さん」で充分ではないか。と、いう意見だ。
わからないではないが、私としては絶対、「様」派である。
なぜかというと、銀行でも郵便局でもあらゆる場所で、「さん」から「様」に変わっているところが多いので、役所だけが「さん」ではお客様の立場かれすれば、丁寧だと感じ取れないのではないだろうか。という点が1つ。これは、周りがそうだから、そのほうが良いという、悪く言えば子供のような発想だが、これも時代の流れなんだと思う。
そして、私が強調したいのは、「様」を使うと、「様」以外の言葉づかいが自然に丁寧になりやすい、という点だ。
たとえば、婚姻届をお受けしているときなど、「さん」付けだと、「○○さんは戸籍謄本を持ってきましたか?」とか、「○○さんは戸籍謄本ありますか?」という感じになりやすい。ところが「様」づけだと、「○○様の戸籍謄本はお持ちでしょうか?」となり、がぜん丁寧?な言葉づかいになる。
普段から丁寧な言葉使いで窓口業務をこなせる人なら「さん」付けでも、丁寧な応対ができるのはもちろんだが、接遇のヘタな人でも「様」付けで話をすれば、ぶっきらぼうな横柄な態度にはなかなかならないもので、接遇が普通にできる人なら自然にワンランクアップするような感じになるのだ。
接遇は、お客様をもてなそうとする心が大切なのはもちろんでも、その心を伝えるためのちょっとした心遣いも必要だと感じている。
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