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★元市民課職員の危ない話★
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誰も教えてくれない戸籍の話
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---------------------- 縁を切る? ----------------------
(えん)     

 ズバリ、戸籍上も、その他の法律上も、正式(何をもって「正式」というのか難しいですが)に親子の縁を切るという手続はありません。手続がないので、実の親子の関係を解消する、法律上の縁を切ることはできないということになります。

 たとえば、夫婦の縁を切りたい、夫婦関係から他人の関係に戻したいということでしたら、「離婚届」を届け出ることによって、戸籍上、正式に縁が切れて他人の関係になれます。
 また、親子関係でも、それが養子縁組によって成立した親子関係なら、「養子離縁届」を届け出ることによって、養親養子という親子関係を解消することはできます。

 たとえば、父親が借金ばかりしてどうしようもない男だったとします。その妻は離婚すれば戸籍上、正式に縁が切れますが、その夫婦の子供とその父親との関係は変わりません。離婚によって妻が旧姓に戻って、子供がその戸籍に入籍することにより氏(姓)が変わっても、父親と子供の関係は変わりません。
 同じ戸籍に入っているから親子関係で、別々の戸籍になったら親子関係がなくなるということではないのです。また、氏(姓)が別々だから親子関係が変化するということもないのです。父親とその子供が同じ戸籍に入っていようと、別々の戸籍になっていようと、また、氏(姓)が別だろうと、親子関係はまったく同じでなんです。

   

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 子が20歳を過ぎていて、子供自身がまだ筆頭者やその配偶者になっていなければ、その戸籍から分かれて1人で新しい戸籍を作ることができます(分籍)。それでも分籍前と分籍後で親子関係は変化なしです。戸籍が別々になるということと親子関係とは関係がないのです。

 たとえば、父親から「お前なんか勘当だ! 出て行け! 今日からお前は俺の子供じゃない、親子の縁を切る!」なんて言われたとしても、それは父親がそう思っているだけという感情的なことで、法律的には親子の縁を切ることはできません。
 そう言われた後に「いいかっ! お前が役所に行って手続きしてこい! わかったか!」なんて言われても、そんな「手続」はありません。

 父親が勘当だ、親子の縁を切ると言っても、法律上は親子関係にありますから、その父親が死亡すれば勘当している勘当していないに関わらず子には同じように相続権があります。
 もっとも、父親が遺言状を作成していた場合には相続の内容が違ってきますが、それは、親子の縁が切れたから変わったのではなく、遺言状によって違ってきたわけで、親子関係に変化はありません。

 親と子で、戸籍がどう変わろうと、子の戸籍の父母欄には父母の氏名(父欄はもともと空欄で母の氏名だけの人もいます)が記載されていますし、親の戸籍から調べても、子供がいるということは確実にわかってしまうのです。

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 戸籍は、夫婦(とその子供)単位、あるいは分籍した場合は個人単位、また、夫婦が離婚した場合もそれぞれ個人単位(子供も一緒の場合あり)、という登録なので、世間一般の感覚よりも細分化された個人登録に近い形となっています。

 両親の戸籍に入っている人が婚姻すれば、必ずその戸籍から抜けることになります。親の戸籍から分かれるという意味では、「分籍」も「婚姻」も同じです。結婚すれば、実の親との縁が切れるかというと、そんなことは全然ないのと同じように、分籍しても親子の関係に法律上の変化はありません。
 

 親子関係で、1つ例をあげると、

 自分の両親が離婚しても、自分はすでに結婚しているいないに関わらず、自分からみて、母は実の母に変わりはありませんし、父は父ですね。
 その後、父が別の女と再婚しても、さらに、母も別な男と再婚して姓がその男の姓に変わったとしても、自分の父母との親子関係は変わりません。
 親と子で戸籍がどう変わろうと親子は親子なのです。縁は切れません。

    

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 「縁を切る」という手続はありませんよ、とお話してきましたが、縁を切ることと直接関係はしていないのですが、少しは関連してそうな戸籍の届出が(離婚届や養子離縁届を除けば)2つあります。それは「推定相続人廃除届」「分籍届」という届出です。

 まず、「推定相続人廃除届」は、推定相続人(被相続人の配偶者、直系尊属及び直系卑属)が、被相続人に対して虐待をしたり、重大な侮辱を加えたときや、推定相続人にその他の著しい非行があったときに、被相続人またはその遺言執行者の請求により、家庭裁判所が調停や審判によってその推定相続人を相続から廃除する制度です。
 推定相続人廃除の審判が確定(調停成立)すると、廃除された人は、廃除した被相続人に対する相続権を失いますが、他の被相続人に対する相続権を失うものではありません。例えば、父に廃除された子は、母その他の人に対する相続権を失うことにはならないのです。この場合でも父と子の親族関係は何も変わらず、ただ、相続権だけがなくなります。
 「縁」というのは、ものすごく漠然としていますが、「相続権」は逆に具体的なものです。ハッキリしています。この漠然とした広い意味での「縁」の中には「相続権」も含まれるでしょう。そう考えると子の「相続権」を廃除することによって、父は、子との縁を『相続の部分だけ』は切ったと言えるのかもしれません。

 そして、2つめの「分籍届」に関しては、最初のほうでチラッとお話ししたとおり、分籍する人が20歳以上で、筆頭者またはその配偶者ではないというのが条件ですから、この条件に当てはまれば分籍することはできます。
 しかし、分籍届の届出人は、分籍する本人なので、親が子の分籍を勝手に届け出たり、兄が弟の分籍届を届け出ることはできません。分籍する本人自らが親の戸籍から抜けたいという意思があって届出用紙に署名押印する必要があります。しかも、推定相続人廃除届と違って、分籍は、戸籍が分かれること以外では、実質的な変化は何もない届出なんです。いえ、戸籍が分かれるということも、法的にはとくに実質的な変化はありません。
 「分籍」のコーナーでも解説していますように、分籍は氏が変わるとか、親との縁が切れるということはありませんし、親から独立した自立したことにもなりません。戸籍法上の両親との関係は全然希薄にはなりません。「縁」と「分籍」はまったく関係ありません。兄弟と縁を切ることにもなりません。親兄弟(祖父母などもすべて)との関係は、分籍してもしなくてもそのまま何も変わりません。
 また、相続権を失うわけでもありません。相続と分籍は全く関係がないので、分籍によって相続の関係に変化が生じることは一切ないのです。身分関係すべてにわたってまったく影響がないです。本当に何も変わらないのです。

 分籍届の届出そのものの手続きは簡単です。許可も必要ありませんし、理由を記入する欄もありません。分籍に関しては、「誰も教えてくれない戸籍の話」の「分籍」のコーナーも参考にしてください。

 世の中、いろいろな人がいるもので、もしかしたら、もしかしたらですよ、分籍すれば「親との縁を切った」と(勝手に?)実感して、晴れやかな気分になれる人もいるかもしれません。

 ホントに勝手な思い込みですが、それでも「縁を切った」という気分を味わえるということは悪いことではありませんから(そもそも縁を切るというのは気分的なもの?)、そういう気分だけでも味わいたい人にはお勧めの届出です。ただし、だれもがそういう気分になれるという補償はどこにもありませんから、よく考えてからでも遅くはないです。一度分籍すると元の親の戸籍には戻ることはできません。

    

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 というように血族関係は、それを解消する方法はないのです。すべての人間は親がいたからこの世に生をを受けたわけで、生命の歴史?は変えられないということです。親子関係に限らず、兄弟姉妹の関係も同じように正式に縁を切ることはできません。ようするに 「その人に何人子供がいるか」「父母はだれなのか」「兄弟姉妹は何人いるのか」ということは事実ですからその関係を後から変えることはできないのですね。

 縁を切るというのは、戸籍上というよりも当事者同士の人間関係の問題になりますから、人間関係のほうが戸籍などより複雑で難しく大切なものということでしょうか。

  
  

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