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★元市民課職員の危ない話★
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誰も教えてくれない戸籍の話
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転 籍
(てんせき)

 「本籍は移せますか?」「本籍を移すにはどうすればいいのですか?」
とよく聞かれました。本籍は移せます。これを「転籍」といいます。転籍届は、今までの本籍地の役所か、新しく本籍地にする役所のどちらでも届けられます。どちらでもかまいません。転入転出のように2回手続きをするのではなく、どちらか1回届け出ればいいのです。
 届出用紙は全国共通ですので、どの役所でもらったものでも大丈夫です。だれが書いてもかまいませんが、筆頭者と配偶者の署名の欄だけは、それぞれ自筆でお願いします。印鑑は認め印でよい(実印でもOK)のですが、2人別々の印鑑を押して下さい。住所地の役所にも届け出できます。同じ市区町村内での転籍以外のときは、戸籍謄本1通必要です。

 新しい本籍地は、住所と同じ所でなければならないとか、先祖と同じところでなければならないとかの決まりはありません。日本全国好きなところへ移せます(その地番があればOK)。極端な話、「皇居」「国会議事堂」のように、普通の人はどう考えても住む可能性がない場所であっても、ごく普通に受理されます。いや、そこに建物が建ってなくても、他人の土地でも、まったく行ったことがない知らない所でもかまわないのです。他人の土地のところを本籍にすると、その土地の所有者に連絡されるということもまったくないですし、すでにそこを本籍としている人がいてもかまいません。アパートやマンションに住んでいる人が住所地と同じところを本籍にしている人は多いので、同じ本籍の人はたくさんいます。

 住所が変わった場合は、その都度、住所変更の手続きをしなければなりませんが、住所が変わったからといっても転籍は必ずしなければいけないというものではなく、してもしなくてもどちらでもよいのです。ただし、住所変更の手続き(転入、転出、転居)だけでは、本籍は変わりませんので注意して下さい。住所と本籍は別なものですから、転籍届をしないと本籍は変わらないのです。

 転籍をすると、新本籍地の役所で戸籍簿が作成され、戸籍謄本や戸籍抄本は、新本籍地の役所で取れるようになります。届け出た日にち付けで本籍が移っているのですが、実際に戸籍が出来上がって戸籍謄抄本を発行できるようになるのは、届け出た日から1週間前後かかります。郵送での通知が遅れたり、その時の届出件数によっては10日以上かかってしまう場合もあります。ですから、実際問題として、転籍届をすると1週間ぐらい戸籍謄抄本が取れなくなりなりますので、それらを急いで必要な時は、転籍届は避けたほうがよいでしょう。(市区町村によっては、1日、2日ぐらいで戸籍ができあがってしまうところもあります)
 旧本籍地に今まであった戸籍は、除籍という形で80年保存されます。その除籍にはいつどこへ本籍を移したかというのが記載されています。そして、新本籍地の戸籍には、いつどこから転籍してきたのかが記載されています。
 
  

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 たとえば婚姻届の届出人は、夫になる人と妻になる人の2人なので、それぞれ届出人の欄に署名と押印が必要なのと同じように、転籍届の届出人は、その戸籍の筆頭者とその配偶者なので、2人双方の署名と押印が必要です。
 婚姻届はどんな場合でも必ず2人の署名と押印が必要なのに対して、転籍届は筆頭者か配偶者のどちらか1人だけでよい場合もあります。すでに配偶者が死亡や離婚で除籍になっているのなら筆頭者1人が届出人となって転籍することができますし、逆に筆頭者が死亡して除籍になっているという場合は、その配偶者1人が届出人となって転籍届をすることができます。
 また、その戸籍にはもともと配偶者がいないという場合(筆頭者1人だけの戸籍とか、筆頭者とその子供だけの戸籍など)は、筆頭者が届出人となって転籍することができます。
 ただし、筆頭者も配偶者もいなくて、その戸籍にまだ残っている人がいた場合は転籍することができません。

 実際に転籍届の手続をするために役所へ行くのは、届出人自ら(2人そろって)のほかに、1人だけでもかまいませんし、代理の人でも届け出ることができます。

 さて、戸籍は夫婦(と、その子供)で1単位ですので、転籍すれば、その戸籍にいる人全員の本籍が同じように移ります。戸籍に4人いる中で、1人だけ移すということはできません。たとえば、妻だけ本籍を移したいという場合は、転籍届ではなく離婚届になりますし、その子供が今度結婚することになったので籍を抜きたいという場合は、婚姻届になります。婚姻届を出せば、自動的に今までの戸籍から抜けて新しい戸籍に入ります。

 転籍届には、その戸籍に入っている人全員の住所と世帯主を記入する欄があります。全員が同じ住所なら簡単です。ところが、役所で届出用紙をもらってその場で記入して届け出るという場合に、「あらどうしよう。うちの息子の住所わからないわ!」というようなケースがよくあります。注意しましょう。

 転籍は、このようにいつでも日本国内どこでも何回でも自由にすることができます。本人には直接関係ありませんが、その人が亡くなって相続の手続きをするときに、亡くなった人の出生から死亡までのすべての戸籍を揃えなければならないという作業が出てきます。人によっては、婚姻前の戸籍と婚姻後の戸籍の2つだけですべて揃う人もいるでしょうし(現実には改製原戸籍も取らなければならない場合がほとんど)、何度も転籍している人は、それぞれの本籍地でそれぞれ除籍謄本をとらなければならなくなります。
 また、過去に婚姻、離婚などを経験した人で、まれに、氏が○○から△△に変わったことが証明できるものが必要という場合、転籍を何回もしていると、これまた除籍謄本を取るという余計な作業が発生します。

 こういうことからも、あまり必要がなければ、本籍はなるべく動かさないほうがいいということは戸籍実務経験者ならだれでも感じていることでしょう。

 でもだからといって、本籍がものすごく遠いところで、その近辺には知り合いももういなくて、この先もそこには戻らない、極端な話そこには行ったことがない、そして、しかもこれから先もこのままずっとこっちに住むだろうというような場合で、戸籍謄本などが必要な時に不便なので、できることなら本籍を住所と同じこちらに移したいという人は、移す必要が充分ありますから、本籍を移した方が賢明かと思います。「本籍はなるべく動かさないほうがいい」ということを信じて動かすのを我慢することはありません。基本的に転籍はいつでもどこでも何回でも自由にすることができるのですから。除籍謄本を取るのが大変といっても、そういう手続はそう頻繁にあるものではありませんし、あくまでも、動かす必要がなければ、なるべく動かさないほうがいいという程度です。

  

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 「転籍は何回やってもいい。窓口は面倒だからイヤな顔をするかもしれないけど気にする必要はない。」というように、転籍をどんどん勧める意見を聞いたことがあります。こういう意見を鵜呑みにすると危ないですねぇ。転籍のメリットだけを強調してデメリットには触れてないんです。
 そしてまた、「今までの本籍はすべて把握しているから除籍謄本を取るのは面倒なことではないし、それだけ手数料がかかってもかまわないから何回転籍してもいいんだ。」という人もいらっしゃいました。これはデメリットにも触れている点ですばらしい意見です。こういう考えの人は 役所の窓口職員からみれば神様みたいな人です。
 でも、大部分の人がこういう考えなら私たちも楽なのですが、こういう人はごくまれなんです。100人に1人もいないのではないでしょうか。大部分の人は今までの本籍地で除籍謄本を請求することは、たとえそれが郵送請求でも面倒と感じるでしょう。お客様に何回言われたことか・・・。
 たった1箇所で除籍謄本1通取れば済むのにそれでも「面倒なのね・・・」と言われてしまいます。私からみれば、1箇所で1通取るだけだから面倒なほうにははいらないと思っていることでも、お客様からすれば、やっぱり面倒なことには違いないのですね。もっと面倒な人はたくさんいるんですけど・・・。
 そして除籍謄本は1通750円という市区町村が多いので、それが2通3通、あるいはそれ以上になってくるとバカになりません。これも転籍しなければかからない費用だからです。
 そして、一番問題なのは、この手続は、「それでもいいんだ」という人が死亡してから発生することが多いのです。 結局・・・・×××。

 無責任な「転籍のすすめ」にはご用心!

  

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