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誰も教えてくれない戸籍の話
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証 人
(しょうにん)
  

 以前、「婚姻届になぜ2人の証人が必要なのか」という質問を受けたことがあるので、ここでお話しようと思います。

 戸籍の届出で証人が必要なのは、婚姻、離婚、養子縁組、養子離縁の4種類です。右下にあるように民法で定められています。この4つの届出に共通していることは、身分の変動を伴う重要な届出で、しかも、当事者お互いの合意が何よりも重要と言うことです。

  

 そんなわけで、届出の正確性を高めるために、この4つの届出には当事者の意思を証明する人として、2人以上の証人が必要とされているのだと思います。他にも重要な届出はありますが(戸籍の届出はみんな重要ですね!)、出生届には出生証明書、死亡届には死亡診断書、入籍届には許可の謄本及び確定証明書、その他、国籍取得届、帰化届、名の変更届などなど、事実を証明する添付書類を必要としていますので、証人は必要ないわけです。
 転籍届は本籍が変わるだけでその戸籍に在籍している人の身分関係は何も変わりません。本籍がどこかということとその人の身分とは何の関係もないわけです。そういう意味では、身分変動を伴う婚姻、離婚、養子縁組等の届けとは、少し違いがありますので、転籍届には、当事者以外の証人を必要としていないのだと思います。筆頭者とその配偶者が届出人として証人なしで届け出ることができます。

第739条  婚姻は、戸籍法 の定めるところによりこれを届け出ることによつて、その効力を生ずる。
 ○2 前項の届出は、当事者双方及び成年の証人二人以上から、口頭又は署名した書面で、これをしなければならない。

第764条  第738条、第739条及び第747条の規定は、協議上の離婚にこれを準用する。

第799条  第738条及び第739条の規定は、縁組にこれを準用する。

第812条  第738条、第739条、第747条及び第808条第1項但書の規定は、協議上の離縁にこれを準用する。

 「当事者2人の合意が重要なら、当事者以外の証人は必要ないのでは」という声が聞こえてきそうです。いえいえ、世の中そんなに甘くはないのですよ。重要だからこそ証人が必要なのです。「間違いなく2人は離婚(婚姻)することに合意してます」と証明してくれる第三者の人がいれば、当事者2人だけよりは信憑性がありますね。
 たとえば、本人だけが「自分は本人だ」と主張するよりも、本人をはじめ本人以外の人も「この人は間違いなく本人です」と証明したほうが信憑性がありますし、運転免許証などの身分証明書があればよりいっそう確実です。印鑑登録の本人確認などが良い例です。

 裁判離婚なら、「判決書または審判書謄本」あるいは「調停調書謄本」など、間違いなく離婚することを証明する書類があります。ところが、2人の合意のみによって成立する婚姻や協議離婚は、これらの証明書がありません。そこで、当事者2人の合意を証明する証人が必要になるわけです。

 手続の簡素化と正確性の確保のバランスは、今、時代とともに厳しくなっているといえるでしょう。正確性を保てるものは簡素化している部分もありますが、正確性を求めるためにより厳しく複雑な手続に変化しているものもあります。

 時代の流れとしては、「婚姻届に証人は必要ない」という意見よりも、「婚姻届を勝手に出されてはこまるから、2人以上の証人となっているのを5人以上、いや、10人以上の証人がなければ届け出ることはできないと改めて欲しい。あるいは、当事者も実印、証人も実印を押し、印鑑証明書を添付するよう義務づけて欲しい」という意見が出てきそうな予感がするほど厳しい状況です(実際に聞いたことはありません)
 こうなれば、勝手に婚姻届や養子縁組届を出されてしまうという事件は減るかもしれませんね。でも、正確性を保とうとするために手続が面倒になってきます。

 「2人以上の証人」というのは、とりあえずバランスが取れているのではないでしょうか。

 

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 さて、「証人」のことを「保証人」と勘違いしている人がたくさんいます。証人になった人は、当事者の意思を証明するというだけで、保証人としての責任や義務はまったく発生しません。
 たとえば、「婚姻の証人になるのはいいけれど、数ヶ月ですぐ離婚するようなことになったら、責任を取らされるんじゃないか」なんてことは心配する必要ないです。

 でも、当事者が合意していないのを知っていながら虚偽の証人になった場合は、虚偽の届出の証人として責任を問われることになるかもしれません。

 

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