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★元市民課職員の危ない話★
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誰も教えてくれない戸籍の話
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    婚 姻 3の2
(こんいん)

 以前、こういう人がいました。
 『筆頭者も世帯主も夫という夫婦の場合は、妻は付属者のような気がするから、婚姻届を出さずに事実婚のほうが良い。』

 なんとなくそう言う気持ちはわかりますけど、それって、やっぱり変ですよ。戸籍に記載されている順番が筆頭者が最初で、次に配偶者がくる。住民票も世帯全員の住民票は、世帯主が最初で、次に配偶者がくるだけじゃないですか。ただの順番です。戸籍も住民票も記載する順番があります。妻は付属者って、どこをどう考えるとそうなるのでしょうか。人間はみんな平等なはずです。考えようによっては、これは人権侵害になりかねない意見ですよ。そして、子供付属者よりもさらに下なのでしょうか。
 
 百歩譲って、妻は付属者だとしましょうワー!)。でも、それでなんで、事実婚のほうが良いのでしょう。
 婚姻届を出さなければ、2人は戸籍は別々なので、付属者にもなっていない状態です。実際に対等な夫婦関係を築いていれば、戸籍は別々でもよい、法律上は夫婦となっていなくてもよい(ようするに戸籍は気にしない)というのなら、対等な夫婦関係を築いていれば、戸籍上付属者でもよいではありませんか、ワッワー!)。なぜって、戸籍は別々でもよいというぐらい戸籍を気にしていない人なら、戸籍のことで「付属者のような気がする」なんて気持ちにはならないでしょう。
 戸籍上付属者になっているから、対等な夫婦関係を築けないというのは、完全な言い訳です。戸籍上付属者でもそれが実際の夫婦関係に影響を及ぼすことはないのですから。あはっ、妻は付属者ではありませんよ。

 民法上、戸籍法上は完全に男女平等です。両方とも初婚なら、夫になる方、妻になる方、それぞれが今までの親の戸籍から抜けて「2人だけで新しい戸籍をつくる」のが婚姻です。完全に男女平等です。婚姻する時に夫の姓か妻の姓かどちらかを選ばなければなりませんが、これもどちらか好きな方を選ぶことができます。これまた男女平等です。
 戸籍の記載の順番として、氏を選んだ人を最初に記載します。その最初に記載された人が筆頭者になるのですが、その戸籍は筆頭者の戸籍で、それ以外の人は付属者ということではありません。

 住民票にいたっては、事実婚なら妻の続柄は「同居人」あるいは「未届の妻」です。どうですか、こっちのほうがさらに付属者というイメージなのではありませんか?
 世帯を別々に登録していたなら別世帯ということになります。一緒に暮らしているのに夫婦が別世帯というのはどうですか?こちらの方が変なのではないでしょうか。
 というように、どこからみても、戸籍の仕組みや内容を把握していないために誤解している人の変な意見なのですが、この意見をまた戸籍の仕組みや内容を把握していない人が聞いたら、さらに誤解が生まれてしまうわけです。

 法律婚より事実婚のほうが良い理由は、もっと他にあるはずだと私は思うのですけれど、なんでこういう話になってしまうのでしょう。

 でも、なんとなく、そう感じてしまうのはわかるんです。「民法では、戸籍では、」と言っても、現在の日本人には昔ながらの「家制度」の習慣が残っている人が多いからです。

 民法や戸籍法を改正しても日本人の習慣はすぐにはなくならないと思うのです。極端な話、戸籍制度そのものを廃止して、まったく新しい個人個人の登録制度になったとしても、現在の日本人の習慣、文化はすぐには変更されないでしょう。
 昭和22年の民法改正で、それまでの家に関する規定が削除され、個人の尊厳や男女の本質的平等を基調としたもに変わった現在でもこれだけ家制度(家制度が具体的にどうゆうものなのかはっきりわからないのですが、そのイメージとして)の習慣が根強く残っているのです。今後さらに民法や戸籍法を改善しても、習慣や文化が変わらなければ解決しない問題も多くあるのです。こう考えると戸籍に関する諸問題で一番悪いのは日本人の習慣のような気さえしてきます。

 最近思うんです。「民法が悪い」「戸籍が悪い」という意見、確かに改善しなければならない点はあります。ところが、本来は「日本人の習慣や文化が悪い」といわなければならない意見なのに、そうは言いずらいから「民法や戸籍が悪い」とすり替えて言ってしまう内容の意見も多いのではないでしょうか。

 

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 話は少し変わりますが、Aという氏の夫婦がいたとします。その夫婦の筆頭者がBという氏の人の養子になったら氏はBに変わり、その配偶者もBに変更になります。
 逆に、Aという氏の夫婦の筆頭者ではない人(筆頭者の配偶者)がBという人の養子になったとしても、その夫婦の氏はAのまま変わらないです。

 こう書くと、筆頭者とその配偶者ではその意味が違うじゃないか、夫婦平等ではない、と考える人がいるかもしれません。でも、これは、結果的に筆頭者の話のように思われますが、すべての夫婦は、婚姻する時に夫になる人か妻になる人のどちらかの氏を選んでいますので、たとえば、夫の氏を選んで婚姻した夫婦なら、夫の氏が変われば妻もその氏になるというだけです。その夫婦は夫の氏を選んでいるからです。
 たとえば、妻の氏を選んで婚姻した夫婦なら、夫が養子縁組しても、妻の氏が変わらないかぎり夫の氏も変わりません。その夫婦の氏は妻の氏なのです。
 夫婦は、氏を選んだ方の氏になるのです。氏を選んだ方の人が筆頭者になるのであって、筆頭者の権限でその夫婦の氏が筆頭者の氏になるのではありません。夫婦合意でどちらかの氏に決めた(実際問題、「合意」ではなく「仕方なく」という夫婦もあるかと思います。その場合は仕方なくどちらかの氏に決めた)、そう、夫婦で決めたその氏になるだけです。筆頭者だからといって特別な権限はありません。

 今までの話は、夫婦別姓とは直接関係ありませんが、夫婦別姓を望んでいる人は、結果的に、夫も妻も今までの氏を変えたくないと望んでいるのだと思います。今現在、日本では夫婦別姓は選べませんが、氏が変わるというのは、社会生活上、不都合なこともありますので、現在の戸籍は上記のように、夫の氏を選んだら夫の氏、妻の氏を選んだら妻の氏、という基準で、氏を勝手に変えることはできないようになっているのです。
 夫婦別姓を選べないのは悪いことだとするならば、それは戸籍が悪いのではなく、民法が悪いのです。

 

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