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誰も教えてくれない戸籍の話
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近親婚の禁止
(きんしんこんのきんし)

 すぐ下の民法にあるように、近親婚(近い親族どうしの結婚)は禁止されています。でも、これ、条文を読んだだけでは、具体的にどこまでが禁止されていてどこからは婚姻できるのか、はっきりわかりません。というわけで、ここではそれを考えてみることにしましょう。

 民 法

第734条  直系血族又は三親等内の傍系血族の間では、婚姻をすることができない。但し、養子と養方の傍系血族との間では、この限りでない。
 ○2 第817条の9の規定によつて親族関係が終了した後も、前項と同様とする。

第735条  直系姻族の間では、婚姻をすることができない。第728条又は第817条の9の規定によつて姻族関係が終了した後も、同様である。

第736条  養子、その配偶者、直系卑属又はその配偶者と養親又はその直系尊属との間では、第729条の規定によつて親族関係が終了した後でも、婚姻をすることができない。

    

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 まずは、第734条から・・・・、

 「直系血族は禁止」の直系血族とはいったい誰なのか、からまいりましょう。
 親子(父とその娘、母とその息子)、祖父母と孫、などです。これらを直系血族といいますので、婚姻することができません。もっと離れていても(たとえば曽祖父母とひ孫)も直系血族ですから禁止されています。もっともこれだけ離れれば現実には年齢的に難しいでしょう。ここまでは、法律を確認しなくても、まず結婚することはできないだろうと誰でも予想できますね。
 そう、右の図が直系血族です。

 余談ですが、親子でも、父とその息子や、母とその娘も結婚することはできないです。直系血族ですから禁止されているのはもちろん、憲法第24条により、男同士や女同士はそもそも結婚できないのです。近親婚の禁止以前の問題です。これは。
 男同士や女同士でも結婚できるようにして欲しいという声もあるのですが、現在は、婚姻届を出すことはできません。

 さて、この直系血族とは、法廷の直系血族(養子縁組をした養親及びその直系尊属と養子及びその直系卑属)も含んでいますので、養子縁組をしていたら、養親とその養子は婚姻できないのはもちろんのこと、養子と養親の親、養親と養子の子なども禁止されています。

曾祖父母
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祖父母
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父母
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自分
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|
|
曽孫

    

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 すぐ次の「三親等内の傍系(ぼうけい)血族は禁止」

 血族は血がつながっているというのはわかりますね。そして、直系血族はすでにお話ししたとおりで、この直系ではない血族を傍系血族といいます。
 自分の兄弟姉妹(二親等)、おじさんおばさん(三親等)、甥姪(三親等)とは婚姻できないということです。そして意外?にもいとこ(従兄弟、従姉妹)とは四親等なので婚姻することができます(ココ、ポイント高いです)。というか、昔は珍しいことではなかったという話も聞いたことがあります。いとこの子(五親等)ともできます。いとこの親とは・・・・?、いとこの親って、自分からみるとおじさんおばさんですね。叔父叔母は三親等なのでできません。

 「ただし、養子と養方の傍系血族との間では、結婚できる」

 例をあげますと、「養子(男)」と「養親の実の子(女)」は結婚できる、というのがこれです。もっと具体的にいいますと・・・。
 夫婦(A)には子供がなかなかできませんでした。そこで、知り合いの夫婦(B)から男の赤ちゃん(C)を養子として迎え入れることにしたのです。夫婦(B)には、ある事情があって子供を育てていくことはできなかったのでしょう。家庭裁判所の許可を得て養子縁組届により、男の赤ちゃんは夫婦(B)の戸籍から抜けて、夫婦(A)の戸籍に入り、姓も夫婦(A)の姓に変わりました。
 数年後、夫婦(A)に、子供ができました。あきらめていたのに元気な女の子(D)が生まれたのです。これで4人家族になり、幸せな家庭環境の中、兄妹(CとD)の2人も小、中、高校そして大学へと進みました。ところが、なんと、この兄と妹は深く愛し合ってしまったのです。親に打ち明けました。
「結婚したい」
「お前たち、何、バカなことを言ってるんだ。兄妹で結婚できるわけがないだろう!」
両親(A)は、まともに話を聞いてくれません。
 2人は悩みました。本当に結婚できないのだろうか? いくら兄妹といっても兄(C)は養子だから血はつながっていない。そこで、インターネットで調べてみることにしました。★元市民課職員の危ない話★という戸籍関係のサイトを発見!、そこで、質問することにしましたとさ。(なんと賢明な!)めでたし、めでたし。

 はい。その答えが、『「養子(男)」と「養親の実の子(女)」は結婚できる』なのです。

 この例の場合は、養子というのは兄(C)、養親とは夫婦(A)、実の子とは妹(D)ですね。兄(C)と妹(D)は結婚できるのです。この2人の結婚を民法ではなんの制限もしていません。2人の合意があれば婚姻届を出せるのです。もちろん、どんな場合でもそうですけど、本当に結婚するかどうかは2人の意思によります。

 この他に、『「養子(男)」と「養親の実の子(女)」は結婚できる』の例として実際によくあるのは、まず、夫になる人が、妻になる人の両親と養子縁組して(この時点で夫になる人は妻になる人の両親の戸籍に入り、姓が変わります)、同じ戸籍に入っている2人が夫の姓を選んで婚姻するというケースです。2人はその戸籍から抜けて2人で新しい戸籍を作ります。夫の姓を選んでいますので、筆頭者は夫。夫の姓といっても、婚姻する直前に、夫になる人は養子縁組によって、妻になる人の両親の姓(妻になる人の姓)に変わっていますから、妻はずっと姓が変わらないのです。

 養子と養方の傍系血族との間では三親等以内でも婚姻できる例でした。

  

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 失礼して、ちょっと横道に入ります。
 この「養子と養方の傍系血族との間では、結婚できる」の例が、どうして「養子(男)と養親の実の子(女)」は結婚できる」なのか、疑問に思った人はいませんか。

 養親の実の子は「養方の傍系血族」じゃなくて、養方の直系血族じゃないの?

 そう、親と子は直系血族です。養親の直系血族と婚姻できるなんて民法のどこを見ても書いててありません。、傍系血族との間ならできると書いてあるのです。
 ここが日本語の難しいところです。養親と養親の子は直系血族です。これは、間違っていません。でも・・・、「養親の傍系血族と婚姻できる」とも書いてないのです。「養親」じゃなくて「養方」。

「養子と(養方の)傍系血族との間では、結婚できる」

「養子は傍系血族(養方に限る)との間で、結婚できる」

 これならどうですか。傍系血族とは、近いところですと、兄弟、叔父叔母、甥姪ですね。そうです。養子になっている人は、三親等以内の傍系姻族とでも婚姻できるという意味なんです。ただ、自分の実の兄弟姉妹、叔父叔母、甥姪(自分方、養子方の傍系血族)とは、やっぱりダメで、結婚できる傍系姻族は、養方の兄弟姉妹、叔父叔母、甥姪だよ、という意味です。
 養親の実の子は、養子からみると兄弟姉妹(傍系姻族)にあたります。養方の傍系姻族です。養方の傍系姻族とは婚姻できるのです。

 理解できましたか? えっ?とっくにわかってたって?!

  

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「第817条の9の規定によつて親族関係が終了した後も、前項と同様とする。」

 養親と養子の関係が特別養子縁組の場合は、養子の実の父母、その血族と、養子との親族関係は終了します。この場合でも、やっぱり実の父母や実の兄弟などとは結婚できないということです。

      

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 次に、第735条のお話です。

「直系姻族の間では婚姻することができない」 

「直系」は、血族(けつぞく)も姻族(いんぞく)も婚姻できないと憶えていてよさそうです。直系姻族とは、配偶者の直系血族ですので、夫が妻の母と、妻が夫の父と婚姻することはできないということです。直系姻族ですから、夫が妻のおばあちゃんと婚姻することもできません。

 ちょっと待ってください。夫と妻が婚姻中なら、直系姻族どころか、誰とも婚姻することはできませんね。民法732条に「配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない」と重婚の禁止が規定されています。妻の母と婚姻するために、妻とは離婚してから妻の母と婚姻すれば重婚にはなりませんが、やっぱり婚姻することができません。「直系姻族の間では婚姻することができない」というのは、離婚後であっても駄目なんです。というより、「直系姻族の間では婚姻解消後でも婚姻することができない」ということです。婚姻中は重ねて婚姻することはできないのですから。

 それよりも、夫は妻の姉妹と婚姻できるのでしょうか。妻は夫の兄弟と婚姻することができるのでしょうか。これは現実にありそうなケースですね。
 妻の姉妹は、妻からみると直系血族ではなく傍系血族になります。夫(本人)からみると直系姻族ではなく、傍系姻族ということになり、結婚することができます。
 美人姉妹の姉と結婚していた夫が離婚後、妹と結婚することも可能です。逆に、夫と離婚した妻が、夫の兄や弟と婚姻することも可能です。でもこの場合(女性)は離婚後6ヶ月以上経たないと婚姻できません。
 それぞれ、離婚じゃなくて、相手が死亡した場合も同じです。

 

  

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 最後に、736条の、

「養子、その配偶者、直系卑属又はその配偶者と養親又はその直系尊属との間では、親族関係が終了した後でも、婚姻をすることができない。」

 もう、こうなると、だれとだれが婚姻できないのか、戸籍が民法がどうこういうよりも、日本語が理解できません。私には・・・。高校の時の漢文の授業を思い出します。

 そこで、色分けしてみました。そして、1つずつ確認していくことにします。

養子、その配偶者、直系卑属又はその配偶者養親又はその直系尊属との間では」

 まず、養子と養親は婚姻することができません。親子、これは直系血族です。直系血族とは、法廷の直系血族(養子縁組をした養親及びその直系尊属と養子及びその直系卑属)も含んでいるのです。

養子、その配偶者、直系卑属又はその配偶者養親又はその直系尊属との間では」

 養子と養親の直系尊属、これも婚姻することができません。養親の直系尊属とは、養親の父母、祖父母、これも直系血族(けつぞく)です。

養子、その配偶者、直系卑属又はその配偶者養親又はその直系尊属との間では」

 養子の配偶者と養親との間、養子の配偶者と養親の父母との間は、直系姻族(いんぞく)なので婚姻することはできません。

養子、その配偶者、直系卑属又はその配偶者養親又はその直系尊属との間では」

 養子の直系卑属(子、孫)と養親(あるいは養親の父母)は、直系血族なので婚姻できません。養子の直系卑属(子、孫)の配偶者と養親(あるいは養親の父母)は、直系姻族なので婚姻できません。

 すでに、直系血族と直系姻族の間では婚姻することはできないとお話ししたとおり、養子縁組をしていると、上の間柄では婚姻することはできないのは当然です(当然といわれてもまだ頭の整理がついてない方もいらっしゃるのは?)
 ところが、たとえ養子離縁をして、上の青い字の人達ピンクの字の人達の親族関係がなくなった後でも結婚できませんよ。ということをここでは定めているのです。

 最後に、養子縁組をする前に生まれた養子の子と、養子離縁した後に生まれた養子の子は、養親とは親族関係にはないので、直系血族ではありません。
 養子縁組が継続中でも、その養子縁組をする前に生まれた養子の子は、養親と結婚することができます。自分から見れば父母の養親と婚姻できるということです。また、父母の養親の父母ともできます。
 養子離縁した後に生まれた養子の子も、養父、養父の父母と婚姻することができるのです。

 ふーっ・・・・。以上です。

  

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