第5章 結論

 

医療ソーシャルワーカーが援助するのは病気に罹っている患児だけではなく、患児の家族も援助の対象である。そのため患児だけでなくその家族にも目を向けて援助していかなくてはならない。患児と家族を援助する際に有効な社会資源がない場合には、社会資源の開発も医療ソーシャルワーカーの役割である。

小児白血病の治療と骨髄移植には何ヶ月、何年と大変長い治療期間が必要である。白血病の治療や骨髄移植は高度医療を提供する病院でしか受けることができない。そのため患児の家族は遠隔地から治療することのできる病院、骨髄移植のできる病院にやってくるのである。

家族には患児の付き添いのための二重生活のために経済負担が大きくのしかかる。治療、骨髄移植、その後の経過観察などで滞在期間は長くなる。そのような遠隔地から来た付き添い家族のための滞在施設としてマクドナルドハウスがある。マクドナルドハウスは一泊1,000円前後で宿泊することのできる滞在施設である。マクドナルドハウスは同じ境遇の家族同士が出会う場所であり、滞在している家族同士は情報交換をしたり、悩みや不安を話し合うことができる。マクドナルドハウスは安価な滞在場所を提供するだけでなく、マクドナルドハウスに滞在する親同士によってセルフヘルプ機能を持つようになった。

医療ソーシャルワーカーは小児白血病患児と家族を対象として個別援助だけをするのではない。病院外のサポートの会などの集団や、日本型マクドナルドハウス設立に向けて地域に対して援助を行った。医療ソーシャルワーカーが集団や地域に対して援助することでマクドナルドハウスが設立された。マクドナルドハウスが設立されたことによって患児と家族の安価で安定した療養環境の確保することができた。

マクドナルドハウスに滞在することによって当事者家族は、体験したもの同士にしかわからない経験に元づく共感を得ることができる。そして家族同士で情報交換、悩み、不安について話すことができるようになる。マクドナルドハウスはセルフヘルプ機能をもつ滞在施設である。医療ソーシャルワーカーの個別援助だけでなく、マクドナルドハウスのセルフヘルプ機能が患児と家族にとって重要なので、医療ソーシャルワーカーは集団、地域に対しても援助する。

このような状況の中で医療ソーシャルワーカーは、マクドナルドハウスのセルフヘルプ機能を促進するために援助するようになった。医療ソーシャルワーカーの援助事例のように、医療ソーシャルワーカーは個別、集団、地域に対して援助した。

個別援助事例では医療ソーシャルワーカーは家族に対して援助することにより、マクドナルドハウスのセルフヘルプ機能を発揮、促進した。また、集団援助事例では医療ソーシャルワーカーは病院外のサポートの会に対して集団援助をすることによりマクドナルドハウス設立に向けて援助した。そして、地域援助事例では某市において、医療ソーシャルワーカーが行った地域援助である。某市での日本型マクドナルドハウス設立に向けて地域援助としてサポートの会の活動を支援して、マクドナルドハウス設立に向けて援助した。

以上のことから

「医療ソーシャルワーカーはマクドナルドハウスと関わって援助活動を行っていく上で、マクドナルドハウスのセルフヘルプ機能を育成、発揮、促進する事を目的としている」ということを検証することができた。

様々な形態で運営されているマクドナルドハウスがある。安価な料金で滞在場所が提供されるだけでなく、マクドナルドハウスにおいてセルフヘルプ機能が維持されるためには、援助が必要である。どのマクドナルドハウスにおいても滞在家族がセルフヘルプを受けられるように、医療ソーシャルワーカーが付き添い家族のマクドナルドハウス滞在の際の窓口になるなどの関わり方の課題がある。マクドナルドハウスにはソーシャルワーカーが常駐しているところはないので、家族のかかえている問題をすくい上げることができない。マクドナルドハウス内でのボランティアの役割の課題もある。そしてセルフヘルプ機能を維持するためには重要なのは間取りである。滞在している家族同士が、コミュニケーションをとることができる共有スペースが必要である。共有スペースとしての食堂やリビングなどがあることによってマクドナルドハウスでのセルフヘルプ機能は促進される。

マクドナルドハウスは小児白血病患児・家族を対象に始まったが、子どもの病気全てに対応し滞在を受け入れるようになっている。マクドナルドハウスの情報が全ての家族に行き届いていない中でも、マクドナルドハウスが満室のために滞在できずにハウスが空くまでホテル暮らす家族もいる。マクドナルドハウスの施設数の少なさも問題である。日本のマクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパン・デン・フジタ財団が独自のハウス設立に向けて活動しており、ボランティアグループへの援助をしており、今後の活動が注目される。

本論文では医療ソーシャルワーカーは個別だけでなく集団や地域に向けても援助を行った。その援助の仕方はこのマクドナルドハウスにみられるように、当事者同士のセルフヘルプ、互助や自助の力を伸ばし、それを支える自己決定や当事者の方針決定に従っての援助である。