第4章 ソーシャルワーク援助の事例、分析

 

以下の3つの事例は、私がマクドナルドハウスのセルフヘルプ機能を支えるために援助している医療ソーシャルワーカーについて研究するために、ある骨髄移植を行っている病院の医療ソーシャルワーカーの方から頂いた事例である。患児、家族、クライエントのプライバシーに配慮し、分析に差し障りのない範囲で修正・加工してある。  

 

   第1節 個別援助事例

   

患者:男子 7

病名:白血病

援助対象:患児の父親 

主訴:子供の骨髄移植と治療のために、父親が退職し家族で遠方より引っ越してくる。

課題:滞在費を捻出するために父親が仕事を探す。

  :保険外の治療を受けるので当地での滞在費を極力抑える。

援助:移植医療に関するボランティアグループであるサポートの会の協力を得る。

  :サポートの会を紹介し、メンバーに仕事の斡旋を依頼する。

    :最も当地での滞在に関して困窮度が高いので、医療ソーシャルワーカーはサ      ポートの会に宿泊施設の入所を優先してもらう必要があることを訴えた。

結果:家族が宿泊費用の安いマクドナルドハウスに滞在できるようになった。

  :父親は仕事が見つかり経済的負担は軽くなり、心理面でも不安の軽減ができた。

  :とりあえず生活基盤を整え、患児と家族が落ち着いて治療開始することができた。

 

医療ソーシャルワーカーは、家族をサポートの会に紹介した。その結果家族はマクドナルドハウスに滞在することができるようになった。またボランティアによる仕事の斡旋、そして就労への親たちの心理的励ましがあり、父親は仕事を見つけることができた。収入源の確保により患児と家族は治療を開始することできた。そして、家族はマクドナルドハウス内で他の家族と情報交換や不安について話ができるようになった。また、マクドナルドハウスに既に滞在している家族も新たな仲間を得ることができ、情報交換や不安を他害に話し合うことができた。つまり、医療ソーシャルワーカーがマクドナルドハウスを紹介することによって、この家族がマクドナルドハウスで他の付き添い家族と情報交換や悩みを話すことができ、マクドナルドハウス内でのセルフヘルプ機能の促進に貢献した。

 図1は医療ソーシャルワーカーがサポートの会と当事者家族を紹介した。家族はマクドナルドハウスを利用することができ、父親はボランティアの方に仕事を斡旋してもらった。また、母親は医療ソーシャルワーカーと患児の入院後の生活について相談することができた。

 図2は個別援助でのセルフヘルプについて表している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1 医療ソーシャルワーカーによる個別援助

 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

当事者家族

 
 

 


  

2 個別援助でのセルフヘルプの場面

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


第2節 集団援助事例

 

援助対象:サポートの会のメンバーたち。

主訴:サポートの会の活性化、メンバー間のつながりを強くする。

課題:活動費を集めるために地域のバザーに参加する。

援助:メンバー間の人間関係の調整をする。

  :バザーの役割分担に目配りをする。

  :グループのメンバーの一員として医療ソーシャルワーカーは、病院に働きかける

役割を担当する。

:サポートの会の中で専門家としての医療ソーシャルワーカーは、出過ぎず且つつながりを強め方向性を見失わないように援助する。

:患者家族のニーズを常に頭に置いてボランティアと活動を共にしていく。

結果:バザーで約30万円を集め活動資金とする。

  :バザーで配ったチラシを見て、篤志家から部屋の提供の申し出があり、マクドナル   ドハウス設立につながる。

 

医療ソーシャルワーカーは、グループメンバーとしての役割を担いつつサポートの会を援助した。援助の中でソーシャルワーカーとしての役割を専門的視点と患児・家族のニーズを念頭に置くことによって果たすことで、メンバー間の人間関係の調整をして会の活性化、メンバー間のつながりを強くした。患児・家族のニーズは付き添うための二重生活により大きな経済負担があり、家族は遠隔地から来てアパート暮らしなどで相談する相手もいないであった。メンバー同士のつながりが強くなったことで、サポートの会はマクドナルドハウス設立に向けて、活動していくためにバザーで活動資金を得るとともに、チラシを配ることになった。医療ソーシャルワーカーの専門的視点による援助によりグループの課題がセルフヘルプ機能をもったマクドナルドハウス設立に向けての活動となった。

結果としてサポートの会がバザーに参加したことで、部屋の提供の申し出があり、セルフヘルプ機能をもつマクドナルドハウス設立に向かった。

3は医療ソーシャルワーカーがグループのメンバーとして活動しながらも、メンバー間の人間関係の調整や連絡調整を行い集団に対して援助したことがわかる。つまり、医療ソーシャルワーカーはサポートの会としての集団機能の促進を行っている。

 

 

 

 

3 MSWによる集団機能の促進への援助

 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


4 MSWの集団援助の流れ

 

バザー

 
 

 

 

 


テキスト ボックス: 市民から部屋の提供の
申し出がある
テキスト ボックス: 参加してチラシを配る   

                           図2

マクドナルドハウス

 
 

 

 

 

 

 


 

             支援 

 

MSW

 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


第3節 地域援助事例

  

援助対象:サポートの会

主訴:某地域における日本型マクドナルドハウス設立に向けて、行政に働きかけてサポートの会の活動を展開して支援を求める。

課題:地元の市会議員を巻き込み、議会で一般質問をしてもらい、市の福祉部長や市長と話し合う。

援助:サポート会の活動を見守ることとし、医療ソーシャルワーカーは患者の実状を訴

える立場で参加する。

結果:市の行政は、国が率先して行うべきものであり、市外から来る人に市の税金を使うことはできないと回答した。サポートの会はそこで運動の方向性の転換を行い、行政を動かすことから、一般市民に働きかけて、部屋の提供を受けることを当面の目標にした。そして医療ソーシャルワーカーは引き続きサポートの会を援助していくこととした。

 

医療ソーシャルワーカーは専門的立場としてサポートの会の活動に参加した。サポートの会が行政の支援を受けるための活動に参加し、サポートの会の活動の方向を強制することなく会の活動に参加し見守ることで援助した。サポートの会の目標が一般市民から部屋の提供を受けることに方向転換した。そのため医療ソーシャルワーカーはセルフヘルプ機能を備えているマクドナルドハウス設立に向けてサポートの会の活動を見守った。つまり医療ソーシャルワーカーはサポートの会を支えることによりマクドナルドハウスの滞在家族同士の情報交換や悩みを話し合うといったセルフヘルプ機能を促進する援助している。

5は医療ソーシャルワーカーがサポートの会の活動に、患者の実状を訴える立場で参加し、行政に対してサポートの会と共に交渉し会の活動を支援したことがわかる。また、シンポジウムに参加し対外的な活動も行った。

 図6は地域援助でのセルフヘルプを表している。

 

 

 

 

5 医療ソーシャルワーカーによる地域援助

 

 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


図6 MSWの地域援助の流れ

 

 

 

 

某市の行政

 

一般市民

 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


                   支援と見守り 

 

MSW

 
 

 

 

 

 

 

 


 第4項 まとめと考察     

 

 3つの事例を分析して、医療ソーシャルワーカーは患児、家族のニーズを念頭に置き、専門的視点、価値を根底にして個別、集団、地域のような様々な全方面を援助している。

 個別援助事例では医療ソーシャルワーカーは父親だけをサポートの会に紹介し仕事の斡旋を受けるのではなく、家族で引っ越してくるので家族を単位としてサポートの会に紹介した。それによりサポートの会の協力を得ることができるようになり、マクドナルドハウスに滞在することになった。マクドナルドハウスに滞在できたことにより、他の滞在している家族と情報交換をしたり、不安や悩みを打ち明け合うことができるようになった。新たに滞在することになった家族は仲間がいることを知り、苦しい思いをしているのは自分達だけではないと思うことでお互いに頑張ことができる。患児・家族も治療に専念できるようになった。既に滞在している家族にとっても、新たに仲間が増えることによって、話す機会が増える。こうした既に滞在している家族に対して仲間を紹介し、辛い思いをしているのは自分たちだけではないと思うことは患児・家族の療養生活の中では重要なことである。

 集団援助事例では医療ソーシャルワーカーは、サポートの会のメンバーとして病院から献品を集める役割を担いつつ、サポートの会のメンバー間の役割分担に目を配った。さらにサポートの会での連絡調整を行った。サポートの会の活性化とメンバー間のつながりを強くするために人間関係の調整をした。こうして集団援助として医療ソーシャルワーカーはサポートの会のメンバーとしての役割を担いつつ、ソーシャルワーカーとしてサポートの会の人間関係の調整と会の活動の方向について援助をした。医療ソーシャルワーカーがサポートの会を援助することで、サポートの会はマクドナルドハウス設立に向かって活動することとなった。バザーに参加しチラシを配ることによって、篤志家から部屋の提供の申し出がありマクドナルドハウスを設立することとなった。 

地域援助事例ではサポートの会と行政の間に入り、患者の実状を訴える立場として会の活動に参加した。医療ソーシャルワーカーはサポートの会のメンバーとともに議員、市長、福祉部長と交渉をした。結果として市からの援助は受けることはできなかったが、サポートの会を見守ることにより医療ソーシャルワーカーはマクドナルドハウス設立に向けて援助をしている。医療ソーシャルワーカーはサポートの会のメンバーを引っ張っていくことはせずに、サポートの会の活動を見守ることで援助した。またマクドナルドハウスのシンポジウムに参加して、対外的にも活動をした。こうして地域援助として医療ソーシャルワーカーは某市での安価な料金で滞在することができ、滞在家族同士が情報交換や悩みを話し合うことができる日本型マクドナルドハウス設立に向けての援助をした。 

マクドナルドハウスを設立に向けサポートの会を地域援助、集団援助をした。また、実際にハウスがあり個別援助をすることにより、マクドナルドハウスのセルフヘルプ機能を発揮、促進した。

以上の3つの事例で医療ソーシャルワーカーはマクドナルドハウスのセルフヘルプ機能が発揮、促進されるように援助したことを検証することができた。