2002年3月24日から31日まで開催された、大阪市立中央青年センター主催事業「グループフェスティバル」内で、24日と31日の日曜日に、「体験交流会」 としてあそぼっくるのミニ講座を開催させていただきました。
こちらのページでは24日に行われた「病気の子どものきょうだいについて」の講座の報告書を掲載しています。

病気の子どものきょうだいについて

・2002年3月24日
・講師:あそぼっくる、社会福祉士 清田悠代
・記録:あそぼっくる


今回は、大阪府立大学を卒業し、その後研究生を経て、現在は病気の子どもときょうだいを支援するNPOの立ち上げに向けて
活動していらっしゃる清田さんから病気の子どものきょうだいについてお話しいただきました。
まず、病気の子どものきょうだい特有の悩みや気持ちについてお話いただき、それから、アメリカで行われている
「シブショップ」というきょうだいの集まりを、「グループジャグリング」と「ブラッビーおばさんへ」という2つの
アクティビティを交えながら紹介、清田さん自身の体験についても少しお話をいただきました。
その後、参加いただいた方に順番に自己紹介と感想をいただき、みなさんから、様々な気づきや実体験などのお話を
交換していただくことができました。

1. きょうだいのニーズ
・子どもの突然の病気 → 家族はみんな不安定な状態に
  ┌親 ― 病気の子どものことで頭がいっぱいに → 当然仕方のないこと
  └きょうだい ― 不安、疑問、我慢、いい子になったり悪い子になったり
                ↓
    病気のために家族がすれ違ってしまうのを防ぐには?

・きょうだいはどんな悩みをもちやすいのか
 ドナルドマイヤー氏によるきょうだいのマイナスの感情に関する9つのテーマ

@ 過剰な同一視
「私もいつか目が見えなくなるの?」
「がんってうつるの?」

子どもは病気に関する知識が極端に少なく、病気はうつるものと思い込んでしまっていることも
→ 正しい情報を伝えることと、疑問を話しやすい場を作り子どもの気持ちに早く気づくことで防げる

A 恥ずかしいという思いと、困惑
「学校で妹のことを聞かれるのがいや」
「お兄ちゃんと出かけると人に見られるから困る」

帰属意識が高まる時期(成長する過程で通る段階の一つ)
→ きょうだいの気持ちを受け止めてあげながら、ゆっくり話し合うことが必要
時には身体的にも精神的にもきょうだいに「いばしょ」が必要

B 罪悪感
「私がお姉ちゃんなんて死んじゃえばいいって思ったから」
「私だけが友達と遊びに行ってもいいのかな」

きょうだいの病気は自分の責任だと思い込んで苦しむ
病気のきょうだいに腹を立ててしまう自分を責めて、無理やりいい子に
病気のきょうだいの方が年が上の場合、お兄ちゃんやお姉ちゃんにできないことを自分ができてしまうことを悲しく思ったり、
自分が病気でないことを申し訳なく思う子も
自分だけが友達と遊びに行くことで罪悪感をもったり、親に負担を負わせてしまうと思って我慢する
→ 自分のせいできょうだいが病気になったと思い込んでいる子どもには繰り返しそうではないことを正しい情報も一緒に
伝えることが必要
複雑な罪悪感についても、受け止め、話をきくことで少しは改善するのでは

C 孤立
「弟の病気のことは聞いてはいけないことだから」
「私は透明人間なの」

悩みや疑問、不安がいつまでも解決されず、自分だけ仲間はずれだと感じる
その気持ちは親から疎外されているという気持ちに
気を使って親には不安や不満を話さない子どもも
周囲の人の目が病気の子どもに集中すると、きょうだいは一人きりで、誰にも相談できなくなっていく
→ きょうだいにも仲間と出会える場所、安心して何でも話せる場所が必要

D 正確な情報の欠如
「お姉ちゃんはマニキュアを塗ったからがんになった」
「私が悪い子だから弟に会わせてもらえない」

大人が当然分かると思っていることでも、子どもはわかっていないことがある
→ いつでも質問を歓迎しているし、どんなことでもきちんと説明してあげる、という気持ちを子どもが感じられるように
準備をしておくことは重要
E 将来に対する不安

とても難しい問題だが、慢性疾患や、病児が介助が必要な場合、遺伝や介護、結婚などの問題がどうしても出る
 → 将来設計について話し合う機会をもち、見通しを立ててあげることが有効だと言われています。
F 憤り・恨み
「妹がママを独り占めしてずるい」
「僕はいつも一人だった」
「弟ばかり甘やかして!」

病気のきょうだいに対して恨みの感情を持つ自分を許せずに罪悪感につながる危険性も
身体的、精神的に問題が生じることもよくあり、あかちゃん返りしてしまったり、鬱になる子どもも
→ 「それもありだよ」と言ってくれる人が周りにいると感情のコントロールをしやすくなる
時々「きょうだいの日」を作って、きょうだいも大切だというメッセージを伝えるのも一つの解決策

G 介護の問題
「私はお兄ちゃんのママじゃない」

病気の子どもに介助が必要な場合、きょうだいの学業不振、不安の増大、ストレスが心配される
きょうだいに関する調査結果からは、きょうだいが長女のとき特にこの問題が顕著に表れると言われ ている

H 完璧にやりとげなければならないというプレッシャー
「私にはしてはいけないことがいっぱいあるの」
「僕がいい子でいなくちゃ!」

親は全然プレッシャーを与えてなくても、子ども自身が自分で自分に課すことがよくある
家族が混乱している時にきょうだいがいい子でいられるのは不自然→いい子ほど要注意

  2.Sibshop(シブショップ)

・悩みはできるだけ少なく、「きょうだいでよかった」と思える経験はできるだけ多くするには?
→ その方法の一つとして、アメリカの「シブショップ」と呼ばれるきょうだいのためのワークショップ
┌シブ = きょうだいと言う意味の「シブリング」の略
└ワークショップ = 参加体験型グループ学習
対象年齢 ― 8から13才
内容 ― ウォーミングアップ
     多少の運動を伴う活動   運動にはストレスを発散させる効果や、
     激しい運動を伴う活動    他の子どもと早くうちとける効果
     話し合い活動
     情報に関する活動 ― 病気やきょうだいの気持ち、社会資源などの知識を得られる
                プログラム
     食べ物に関わる活動 ― みんなで何か作ったりしながら仲良くなる
                                  などさまざま
◎「楽しい」ということが第一条件!

3. 実際に試してみましょう

・「グループジャグリング」
  数人で輪になって、順番にお手玉や人形を投げ渡す。
ルール:受け取る人と渡す人が決まっていること、思い切り投げつけないこと
コツ:自分に投げてくれる人から目を離さないこと、投げるときに相手の名前を呼ぶこと
→こうしてきょうだいたちが仲良くなるきっかけを作る

・「ブラッビーおばさんへ」
ブラッビーおばさんは新聞の人生相談にのるおばさん
ブラッビーおばさんへの相談の手紙にみんなで答えるという形で、誰かの名前を使いながら、話しやすくして、
きょうだいがもちやすい悩みについて子どもたちで話し合うよう促す
大人はどの発言も否定せず、ゆっくり耳を傾ける

  4.きょうだいサポートあれこれ

・小児病棟に入れない子どものためのプレイルーム
小児病棟はたいてい中学生以下の子どもは感染予防のために病棟に入れない
→ 面会時間の間中廊下で一人ゲームボーイをしたり、宿題をしたり、ごはんを食べながら待っている
ずっと泣いている小さいきょうだいも
             ↓
病棟の近くにプレイルームがあって、保育ボランティアがいたらどうか
東京の病院には実際にプレイルームとボランティアが活動している

・きょうだいの子どもの病院内でのグループワーク
   病気の子どもが今何をされているのか、まったくわかっていないきょうだいも
→ 優しい看護婦さんのイメージが強い子なら、「ママにも看護婦さんにも優しくされてずるい」
病院にこわいイメージがある子どもだと「ものすごくこわいことをされているに違いない」
                   ↓
アメリカでは、きょうだいを連れて病院を見学するツアーをしているところがある

・きょうだいを亡くした子どものグループワーク

5.最後に

・親御さんや病児自身の負担も軽くしたい
きょうだいをサポートしたいという話をすると、病児自身や親御さんで自責の念をもたれる方がいらっしゃるのですが、
私自身は弟も両親も本当に大好きで、病気や医療を通してこういう大好きな気持ちが見えなくなってしまうことが
一番こわいことだと思っていますので、きょうだいをサポートすることで、きょうだいの不安や不満が少しでも受け止められる
場所ができて、それで家族も一緒に楽になれたらいいなあと思っています。
責められてると感じさせてしまうとすごく凹むので、誤解のないように、どうぞお願いします。

・きょうだいとしての私

私の弟の病気がわかったのは私が中学2年生のときでした。おばあちゃんに会うたびに、「あなたが元気に生まれたのは弟の面倒を
みるためなんよ」とずっと言われていて、私自身「私は私の人生をまっとうするために生まれたのに」なんて思ったことは一度もなく、
「そんなことわかってるのに」といつも思ってました。
私は弟の話を人にすることはほとんどなかったのですが、一度だけ友達に話そうとおもったことがあります。私の弟は心臓が悪くて、
私の高校入試の二日前に心停止で倒れて、救急車で運ばれたことがあったんですが、そのときの経験がものすごく強烈で、
救急車の音にすごく敏感だったんです。この話を友達に思い切ってしてみた時に、「ふーん。私にはわからん感覚やね」の
一言で片付けられてしまって、きょうだいの気持ちなんて誰にもわからないし、言ってはいけないことなんだ、私って変わってるんや、と
思いました。この気持ちは最近同じ立場のきょうだいに出会うまでずっと続いてました。

きょうだいの問題は本当に複雑で、これといった解決策や、ここにいけばなんとかなる、みたいな場所がなかったり、
本当にどうしようもないこともいっぱいあって、毎日悩みながら進むしかないという感じなのですが、みなさまが少しでも
きょうだいの心に寄り添いたいと頭の片隅で結構ですので、思ってくださったらとても嬉しいです。

その後、参加者の方から自己紹介と感想などをいただき、ご参加いただいた経緯や今までの活動を話して下さった方もいらっしゃいました。
様々な気づきを話して下さった方もいらっしゃいました。
病気をもっておられる方や病気の経験がある方からは、きょうだいに迷惑をかけた、きょうだいはつらかったみたい、という声や、
きょうだいや親のことは気が回らなかったり、気がつかなかったという声もあり、きょうだいも別に普通にしていて自分の病気は
心配いらないんだと安心したというお話もありました。
また、入院時にはつらい思いをしたので今入院している子どもにはそういう思いをしてほしくないという声もありました。
親御さんからは、命に関わることであるため、どうしても病児中心となり、きょうだいに目がいかなかったという悩みや、
そこに罪悪感を感じないのはむずかしいということ、後悔されている気持ちを話して下さった方もありました。
きょうだいが今もいい子にしていたり、「どこにも連れて行ってもらえなかった」と言われるというお話もありました。
医師や看護師を目指しておられたり、看護婦をしておられる方からは、きょうだいへのサポートの大切さの指摘や、
わかっていてもなかなか手が回らない難しさなどの悩み、これからはきょうだいや親もみていければ、という声もありました。
ボランティア活動などをなさっている方からは、やはり病気の子どもが主役できょうだいは後回しになってしまいがちになっている現状や、
きょうだいが主役になれる場所の必要性などへの指摘がありました。
また、自閉症の子どものキャンプの際、一緒に来ていたきょうだいが全然笑っていなかった、きょうだいの問題をお母さんに伝えたら
その時は傷ついてしまったが後で気づいてくれたというエピソードや、患者会の資料を送る時にきょうだいにも気を回してあげて下さいと
いう手紙を入れて下さっているというお話もありました。
今回の話を聞いてきょうだいの問題がよくわかった、気づいたという声や、きょうだいのサポートは必要、がんばってほしい、と
いうような声、病気の子どものサポートと連携して草の根的に活動していくことや外国の事例も参考にするなどの提案もいただき、
有意義な講座になりました。



<参考文献>
・「きょうだい支援プロジェクト 配布冊子」
・「特別なニーズのある子どものきょうだい 特有の悩みと得がたい経験」
・「きょうだい支援グループのためのハンドブック」
※上記2冊は、アメリカできょうだい支援プロジェクトのディレクターをしている
ドナルド・マイヤー(Donald Meyer)氏の冊子、ハンドブックは
グレーター・ボストン知的障害者協会の冊子で、東京の「きょうだい支援の会」と
金子久子さんが翻訳したものです。
原題は「The Sibling Support Project Handouts Packet」
「BROTHERS AND SISTERS OF CHILDREN WITH SPECIAL NEEDS:
UNUSUAL CONCERNS;UNUSUAL OPPORTUNITIES」
「THE SIBLING SUPPORT GROUP HANDBOOK」



おまけ。
ジャグリングで投げられたかわいそうなあみぐるみトリオです(^^;
講座終了後も可愛がってもらってました(笑)。
みなさまありがとうございましたm(_ _)m



「あそぼっくる」って?