音楽史研究会ホームページ


音楽史研究会について


1986年10月以来、定期的に研究発表・読書会、シンポジウムなどを中心に活動している「音楽史研究会」は、今谷和徳氏をアドバイザーとして様々な領域の若手の研究者・学生が参集しています。この「様々な領域」という点がこの研究会の大きな特色のひとつです。

発足した当初は、基礎的な文献である『新グローブ音楽事典』の講読会を基礎に置き、地力の貯えに努めてきました。が、参集する研究者・学生の関心が従来の「音楽史」研究に拘泥しない、新たな、また多様な面に及び、参集者の多彩な発表と討議という刺激的な形をとるようになりました。つまり、美学的作品解釈・作曲家論といった従来の音楽学や音楽史学の枠組みを超えた関心のもとに、しかしそれらの従来の学の領域は十分対象として、方法論や研究の着眼点、さらには研究のスタンスの問題意識をもって刺激し合うことがこの研究会の特色となっています。その視座は、7世紀から20世紀までのヨーロッパを中心とした音楽と社会、人間の音楽への接し方を扱うことであり、社会史的なアプローチはもとより様々な関連諸研究を援用しながら、互いに刺激し合っていくことが研究会の目的でもあります。

今日までの活動では、「新しい音楽家像 ― 中・近世ヨーロッパにおける都市と楽師、ドイツとフランスを中心に」をテーマとして1989年に第1回シンポジウムを開催。概要は、基調報告に「〈音楽家〉再考 ― 中世から近代ヨーロッパを中心に」(今谷和徳氏)、研究発表に「14世紀パリの楽師組合」(岩谷なつ子氏)、「〈王〉か〈伯〉か ― 都市の楽師支配体制としてのシュピールグラーフ、楽師王、楽師の団体」(上尾信也)、「都市楽師の研究 ― 17〜18世紀北ドイツにおける彼らの音楽活動とその社会的地位について」(栗原かおり氏)、その後、金澤正剛氏をチェアマンに〈楽師の社会史的研究に関する問題提起〉の討議が行われました。従来の研究領域を超えたテーマであるだけに、様々な分野の碩学から若手までの研究者の参集をみ、コミュニケーションと研究の拡大継承の端緒となったように思えます。

後、1991年頃より例会としての活動が整い、同年に第2回シンポジウム「〈音楽〉に関する〈史料〉とは何か? ― 西洋音楽史における〈踊りと歌〉の諸相をめぐって」を開催。これは、「踊りと歌」という共通の素材への様々な方法論・分野からのアプローチを通して、音楽史研究にとっての史料の問題を議論するという内容で、「〈踊りと歌〉の研究史 ― 音楽辞典上の扱われ方」(吉村恒氏)、歴史資料との接点としての「舞踏条例をめぐって ― 中近世の歴史文書から見た音楽史と史料分類」(上尾)、文学作品との接点としての「音楽と文学」(戸口幸策氏)、「音楽周辺史料の問題」(西原稔氏)、「楽譜再考 ― 楽譜の史料性」(高野紀子氏)、「もうひとつの音楽資料としての『音楽理論書』」(今谷氏)といった各分野からの報告、〈踊りと歌をめぐる史料性の問題〉についての活発な議論と問題提起が金澤氏の司会で行われました。

(以上、上尾信也「研究ネットワーク」1993年、柏書房リーフレットより)

最近の活動内容は別項をご覧いただきたいと思いますが、「発表する」という行為の重要性を意識した、若手の研究者や学生の自由闊達な研究議論の場となっています。共通の刺激・意識に関心のある方につねに音楽史研究会は開かれています。ぜひご参加をお願いします。


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