新曲「森と水のシンフォニー」

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岐阜大学マンドリンクラブ/第36回定期演奏会/1999.12.25(土)/岐阜市民会館/指揮:末武伸彦

写真はその初演の時のものです。photo by 管理人


新曲「森と水のシンフォニー」を振って
 

以下の文章は私達が新曲に取り組んできた内容をつらつらと書いたものです。どのようにして今回の初演がおこなわれたか伝われば嬉しく思います。

1999年12月25日、私たちは一曲の新曲を世に送り出せることができました。けっして、演奏自体は素晴らしいといえなかったけれど、新曲を発表できた喜びは今までの何にも代え難いものでした。最初は何も分からないままのスタートでした。私たちの新曲について話し合いも決してすんなりと話が進んでいった訳ではありません。様々な新曲をやるに当たってのプレッシャーなどを考えれば、反対意見も当然出ました。しかし、それでもやりたいというものの熱意は次第に反対するものを突き動かし、私たちの新曲活動がスタートしたのです。

みんなが楽しく弾ける曲を書いておられる作曲者にお願いしようということから、藤掛先生にお願いすることになりました。先生のスケジュール的偶然も重なり、運良く引受けて頂けることができました。それから約一年の歳月が流れ、曲が完成し、私の手元に届いたのです。誰も聞いたことのない曲が自分の手元にあるという妙な喜びをかみ締めつつ、最初のページを開きました。1ページ、1ページ眺めながら、藤掛作品だなぁと思いながら読み進めました。そこへ現れた5/8と7/8という記号まさかと思いましたが変拍子でした。いままでの藤掛作品には見られなかった変拍子です、これには驚かされました。そして、藤掛作品には欠かせない2ndから始まるフーガ、あった時は妙に嬉しかったのを覚えています。期待以上の作品の完成度に喜びと同時に大きなプレッシャーがかかりました。本当にこれだけの作品を演奏していけるのかかなり不安でした。

練習を重ねる中でだんだんと曲の全体が見えてきました。事前に参考用に先生からシンセ演奏のCDをもらっていたのですが楽器をマンドリンに変えるとまた、がらっと変わった雰囲気になりました。とにかく、1パート1パートそれぞれが目立つ曲だったのでみんな手が抜けませんでした。それでも、仕上がっていかない曲の完成度に苛立ちさえ感じてた頃、先生の指導を仰ぐことができました。非常に丁寧に教えて下さりその後は何とか仕上げていくことができました。

そして本番12月25日。

本番はあっという間に過ぎました。3ステージ目の始まりに、先生に挨拶をいただき、いざ本番。いままで、三曲振ったとはいえ、また違った緊張がそこにはありました。けっして、みんなにプレッシャーをかけないよう、笑顔で舞台に立ち、みんなを落ち着かせ振り始めました。演奏中はもう、無我夢中でした。ただみんなの音を聞き、微妙なバランスを取りながらすすんで行く演奏はさながら、綱渡りでした。冷や汗物の個所を何回も通りながら、何とかこぎつけた最後のアラルガント、みんなの意識が僕に来るのを感じながら曲に力をため、最終コーダへ、力いっぱい最後の音を弾いているみんなを確認し消音。今まで半年の成果が今ここに終結しました。終った時は曲の出来どうこうよりとにかく終れた喜びで一杯でした。「みんな、よくやってくれた、ありがとう」そんな気持ちでいっぱいでした。

全国にも多くの初演指揮者、初演メンバーの方がおられると思います。ぜひ、この文章を読まれた方でそんな方がおられましたら、その時のお話をメールで構いませんのでお教え下さい。
また、私達の定演に来られた方もおられましたら、ぜひその時の感想をお教え下さい。お待ちしています。

末武さん.jpg (24662 バイト) 最後になりましたがすばらしい曲を提供して下さった藤掛先生はじめ、ホームページに私達の演奏会情報を載せていただき、応援して下さいました管理人様、また、インターネットを通して応援して下さいました皆様、そして、貴重な時間を割いて来場してくれた皆様、この場を借りまして、改めてお礼申し上げます。 ありがとうございました。
この曲が、また、たくさん再演されていくことを私は願っています。ぜひ今後、再演される団体の方がおられましたら、その演奏会に私を誘ってください。

(投稿:末武 伸彦さん/2000.2.14)


 岐阜大学マンドリンクラブ 第36回定期演奏会

1999年12月25日(土)/岐阜市民会館

岐阜大パンフ表紙.jpg (7267 バイト) Tstage
序曲「レナータ」 H.Lavitrano 指揮:若尾佳弘
Promenade T 加賀城 浩光 指揮:末武伸彦
Ustage
高丘親王航海記 坂野 嘉彦 指揮:末武伸彦
マンドリンオーケストラのための組曲「河はうたう」 小林 由直 指揮:中谷絋志
Vstage
めぐる季節 高橋 太志 指揮:末武伸彦
森と水のシンフォニー(初演) 藤掛廣幸 指揮:末武伸彦

第36回定演おめでとう  藤掛廣幸

先生挨拶.jpg (12556 バイト)   岐阜大学マンドリンクラブの皆様、定期演奏会おめでとうございます。
   私は作曲家としてマンドリン合奏曲を初めて作曲してから25年もの月日が流れました。その2曲目の記念すべき作品が、この岐阜大学マンドリンクラブにより初演された「パストラル.ファンタジー」です。岐大により初演されてからは、日本全国のみか世界に広がり多くのマンドリンオーケストラによって演奏されるようになりました。
   マンドリンに対して特別興味があった訳でもない私が、こんなにも永くこの世界と関わりを持って来たのは、マンドリン・ギター愛好者の皆さんが音楽を心から楽しんで取り組んでいらっしゃる姿の中に、人生を豊かに生きる人間としての限りない魅力を感じたからです。
   与えられた、たった一度だけの人生を自分の愛する世界を持ち、友と一緒に楽しめるというのは何と素敵なことだろうと思います。特に学生の皆さんは、そんな活動の中から一生の友を得る事も多いでしょう。社会人になってからも好きな世界を多くの友と楽しめるというのはとても幸せなことだと思います。
   この度はそんな岐阜大学マンドリンオーケストラの皆さんに私の新作「森と水のシンフォニー」を初演して頂けますこと、とても嬉しく思っております。
   今後も末永くこのよい伝統が続いていきますよう願うと共に、演奏会の御成功心よりお祈り致します。

(文章は定演パンフの挨拶文より。写真は当日、初演前の藤掛先生の挨拶。photo by 管理人)


曲目解説:森と水のシンフォニー


 本曲は第36回岐阜大学マンドリンクラブ定期演奏会のために私たちが藤掛先生にお
願いし、作っていただきました。この8月に完成しました。(1999年)
 この曲は岐阜の自然、森と水をテーマにしてマンドリンオーケストラの特質を生かすように工夫、シンフォニックな構成を生かしながら1楽章形式のなかに交響曲の各要素が盛り込まれるよう作曲されています。(スコア前文より)
 そして、岐阜の豊かな自然を大切にしていこうというメッセージがこめられています。

 曲は、まず1st、2ndのAllegroの8分の刻みより始まり、ドラのやさしいメロディーが奏されます。そのあと、ベースとチェロにより激しいリズムが刻まれ、そのリズムは他のパートをめぐり、曲を盛り上げていきます。盛り上がったころで高音パートにより再度、メロディーが奏でられます。曲は一度、静かな部分をつなぎ目にして、低音パートによる激しいテーマが奏され、それは他のパートとかけあいながら再度曲を盛り上げていきます。その上にメロディーをかさね、激しく一部が終わります。
 
 二部は一部の速さとはうってかわってAndante Cantabileで奏されます。ギターのきれいなアルペジオのあと、ドラがしっとりとしたメロディーを歌い、それはチェロへと受け継がれます。曲の音量は、だんだんと増し、高音パートにメロディーが受け継がれ、Grandiosoで歌われます。それから、音量を元に戻し、転調して、1stの明るいメロディーと2nd、ドラのアルペジオが奏されます。また再び曲はもりあがり、トレピックの冒頭を思わせるようなファンファーレで二部と三部をつなぎます。
 
 三部はAllegroで5/8と7/8の変拍子により不安定さを感じさせながら進んでいきます。前半出てきた、激しいリズムを変拍子に展開した感じです。激しい流れは一転、
静かになり、ギターのアルペジオから二部の明るいメロディーが7/8に展開されて流
れます。その後、再度激しいリズムに戻り、ファンファーレが鳴り響きます。

 次にフーガとなります。徐々に音が重なり合い曲を盛り上げ、最高潮に達したとき、四部に入り3/2により拡大された二部のドラとチェロのメロディーが壮大に歌われます。やがて、曲はコーダのAllegro molto に入り、速さと、音量を増しながら豪快な終わりへと向かいます。

 以上がわたしの勝手な解釈を織り交ぜた新曲の紹介です。ただ、曲の構成を書き並
べたような、つまらない文章ですが、みなさまがすこしでも、この曲に対して、興味を
もっていただければ、うれしく思います。
 そして、私たちの演奏を聞きに来ていただければ幸いです。

(投稿者:岐阜大学マンドリンクラブ、末武伸彦さん。1999.9.9記)


森と水のシンフォニー          作曲  藤 掛 廣 幸

   この曲は1999年度、岐阜大学マンドリンオーケストラ定期演奏会の為に1999年春から夏にかけて作曲されました。
   長良川と金華山という、美しい景観に恵まれた岐阜という地は、私も金華山のふもとに10年間住んでいたこともあり、とても愛着があります。長良川の豊富な水も上流まで辿ると森に囲まれた小さなせせらぎや小川がいくつも合流しながら、だんだんと川幅を大きくしているのがわかります。
   人間を含む全ての生命達が生きていくのにかかせない美しい水。
   「美しい森と水をいつまでも大切にして欲しい」という願いを、交響曲の各楽章をひとつの曲に集約した作品の中に表現してみたい、という意図でこの曲の作曲に取り組みました。
   タイトルの「森と水のシンフォニー」はそんな作曲者の想いを端的に表現したものです。
   岐阜大学マンドリンオーケストラの初演により「命」を吹き込まれたこの作品が、これを契機に大きく育っていってくれることを願っています。

作曲者プロフィール
作曲家、編曲家、指揮者、シンセサイザープレイヤー。
1949年岐阜県生まれ。
愛知県立芸術大学作曲課程卒業、同大学院修士課程修了。
代表作・・・「パストラルファンタジー」「グランドシャコンヌ」ほか多数のマンドリン曲を作曲

同曲初演の岐阜大学マンドリンクラブ第36回定期演奏会(1999.12.25)パンフレットより/
管理人記1999.12.26


森と水のシンフォニーを聞いて 投稿者:管理人  投稿日:01月19日(水)23時23分00秒

昨年12月、「森と水のシンフォニー」岐阜大学マンドリンクラブさんの初演を聞いた。
情に厚く情にもろいとパンフに紹介された末武くんの指揮だ。
彼はどんな思いで新曲依頼をし、依頼を引き受けて頂いた時、どんな気持ちだっただろうか?
新曲のスコアを初めて手にした時・・・
そして、スコアをめくり譜面を読み頭で描いた時、最後まで見終わった時、
どんな気持ちだっただろうか。

練習を進めていくうちに、曲が実感としてわかってくる。
奏者もドキドキしながらも、だんだん他のパートの音が聞こえ、曲の様子が見えてくる。
これがテーマ、ここはメロディーラインの裏を流れる副旋律。
このリズムはとなりのパートに受け継がれ、だんだん拡大していく。
やっぱりうれしい主題の再現。・・・・うんぬん。
生れて初めて聞く曲を作っている喜びと、これでいいのかという不安。
テンポはこれでよいのか?フレーズはこれでよいのか?ritの掛け具合は?
いろいろ試してみる。一発できまるのもあれば、何遍試してもしっくりこないのもある。
練習が進み、奏者の熱や思いがひしひしと伝わってくる。期待が高まる。しかし・・・
せっかくの曲をつまらないできにはできない!失敗すれば、先生やみんなに・・、焦り。

そして、本番。

「森と水のシンフォニー」いい曲だ。
4拍子の第1テーマと3拍子系の第2テーマ。やっぱり美しい。
それをつなぐリズミックな部分と単音の動き、そしてフーガ。
それをもりあげる、パーカッション達。

末武くんの指揮ダイナミックでかっこいい。
曲のまとめ方、曲の流れ、とてもみごとだ。自然な流れ。
とくに第1主題の2回目の再現の前のアラルガンドが絶妙。
それと第2部や3部に入る前の間が、短すぎず長すぎず、ここちよい。

演奏はほどよい情熱の発露で、中低音がしっかりしており、安定感がある。
緊張する出だしのドラの旋律。落ち着いて歌えている。思わず引き込まれる。
その後のリズミックな部分のセロ、ベース、かっこいい。
つなぎの部分のギターの単音やさしくて美しい。
第1主題をささえるベースのゴッゴッゴッゴッが心にひびく。
2部最初のギターアルペジオとドラ、セロで唄われていく第2主題。
清らかな美しい森に霧雨がけぶる幽玄郷みたいだ。思わず涙が出そうになる。
3部アレグロ。「パストラル」や「グラシャコ」の中間部のようでもあるが速い変拍子だ。
各パートとも音が踊るような変拍子の命ともいえる躍動感がみごとに表現されている。
タンバリンのリズムが心にしみる。
そしてフーガ。3番目?のギターの音色が柔らかいのがちょっぴり残念。
各パートが競い合うようなそれでいて、聞き合っているようなフーガの醍醐味。
そして第2主題の再現!壮大に高らかに歌われる。じーん。
曲は最高潮に達し、コーダへとなだれこむ。

指揮者と奏者が一体となって、藤掛先生の新曲に「魂」を吹き込んでいく。
まったくブラボーだ。岐阜まで聞きにきた甲斐があった。

末武くん、そして演奏メンバーの皆さん、すばらしい演奏をどうも有り難うございました。
スコアみたわけではないので、間違いがあったらおゆるしを。
また、「高丘親王航海記」のできは最高にすばらしく、特に後半は、絶品。
音量、音の切れ、躍動感、美しいメロディーの歌い、どれをとってもグッド!

「森と水のシンフォニー」、「高丘親王航海記」などなど大変すばらしいので
演奏きかれなかった方には、もしCDがでれば、ぜひ、聞いてほしいと思います。


このページの文章・写真の掲載については、藤掛先生と岐阜大学マンドリンクラブ末武さんの許可をいただいております。また、管理人が岐阜大さんを応援したくなった理由は、末武さんからいただいた最初の頃のメールに「成瀬さんがグランドシャコンヌを初演した時はどうだったですか?」と今まで誰にも聞かれなかったうれしい質問があったことに起因しています(^^) (2000.2.22管理人記)


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