藤掛先生による曲目解説のコーナー

いわゆる作曲者記というものです(^o^)

楽譜を藤掛廣幸音楽事務所よりちゃんと購入して、演奏に際してはJASRAC(日本音楽著作権協会)にちゃんと届を出してくださいね。それさえ守っていただけたら以下の文章はご自由にお使いください。

また、曲のスコア(楽譜)や参考演奏CDは藤掛先生のHPにて販売しております。


ここのコーナーは、マンドリン音楽を愛する方へ、曲目解説のお手伝いをしたいという趣旨と、まだ、聞いたことのない曲の解説を読むことによって、新たな興味を持っていただけたらと思い、藤掛先生の許可をいただいてUPするものです。(管理人記)


1.メルヒェンNo.1&2

中川りえこさんという童話作家のおはなしに、「ももいろのきりん」というのがあります。るるこちゃんという女の子が、お母さんにもらった大きな紙でキリンを作り、キリカという名前をつけます。キリカは紙製なので、雨にあたると、ぬれてぐったりしてしまうけれど、お日さまに(せんたくばさみではさんで)ほすと、又元気になるのです。るる子とキリカは、ある時、むこうにみえるきれいな山へでかけます。その山の木には、クレヨンがいっぱいなっており、いろんな動物が住んでいます。るることキリカはみんなと仲良くなりましたが、オレンジグマとうい悪いクマがいてみんなをいじめるので、キリカはクマをやっつけます。クマも改心して、みんなの楽しいクレヨン山になります。帰る時、みんながくれた魔法の画用紙は書いたものはみんなほんものになってしまうのです。るるこがクレヨンで、キリカの大きな家や、いす、ベッド、台所などを書くとみんなほんものになってしまうのです。るるこ、キリカ、そしてクレヨン山の動物たちもみんなもうすでにもも色にそまりかけた夕やけ空の光の中にとけ込んでゆきます。

このような子供の夢の世界のお話をもとに子供達のために作曲したのが、ミュージカル「もも色のキリン」でメルヒェンの原曲です。(原曲は児童合唱、ナレーション、オーケストラ)その中から4曲選んでマンドリンオーケストラのための組曲にアレンジしたのが、このメルヒェンNo.1です。残りの曲の中から5曲選んでメルヒェンNo.2になりました。


3.パストラルファンタジー

この作品は、1975年6月から7月にかけて作曲、8月23日に初演された。
作曲中には、イメージの中に、緑・・・初夏のみずみずしい新緑があった。
曲名の由来は、牧歌的な第一部のテーマがこの曲の抒情の核となっているため。
自由に聞いて下されば良いのだが、興味のある人の為に、全体の構成等を参考までにかかげると、大きくわけて、最初の牧歌的なアンダンテ、フーガに始まる第二部、そしてパストラーレテーマの感動的な再現、そしてコーダ。(図式参照)

pastral.jpg (13225 バイト)

静かに現れるテーマの、特徴的な2度の下行音形。(E→D)これが、細胞分裂して、体が作られていくように、この曲全体の最も大切な構成要素となっている。
最初にも述べたように、これらはあくまで裏話であって、この曲は、そんなことには関係なく、聴く人の自由なファンタジーをふくらませてゆけばよいのであって、欲を言えば、何らか、精神的に豊かなものを、聞く人にもたらすようなことがあれば、作曲者にとって最大の喜びである。


4.じょんがら

以前から、マンドリンの“トレモロによって、うたを歌う”ということに、少なからぬ抵抗感があり、マンドリンという楽器本来の機能に基づいた曲を書いてみたいと思っていました。そんな折、高橋竹山の津軽三味線の演奏に接し、昔からのスタイルの単なる保存などというものではなく、まぎれもなく、現代に生きている音楽、脈々と流れる血をもった音楽を感じて、とても感激しました。三味線そのものとマンドリンとは、全然別のものだけれど、打楽器的な発音原理に共通点を見い出して、ジャズに於けるアドリブの要素を加味して、出来上がったのがこの曲である。もちろん、これは三味線でもなく、ジャズでもなく、明らかに“マンドリンオーケストラの為の曲”である。

ここで、“伝統”というものに対して一言……、伝統とか伝統芸能とかいうものは、大切に保存するべき“骨とう品”というような類いのものでは決してなく、現代の我々の生活の中に力強く生き続けている“血”……。それは、いわゆる伝統芸能を生み出し、様々な文化を続けている原動力、それこそまぎれもない我々の財産たるべき“伝統”ではなかろうか。

音楽や絵画、建築それに文字に至るまで、昔から日本人は様々なものを貪欲に吸収して、今日の文化を築き上げてきた。音楽の分野だけを見ても、ジャズやロック、ポピュラーもクラシックもすべて受け入れて生活している現代の我々は、それらの中からより力強い“生きた、血のかよった”音楽文化を生み出していくべきではなかろうか……。それが本当の意味で、伝統を継承していくことになるのではないか……、そんな風に感じる今日この頃である。


5.スタバートマーテル

“スタバート・マーテル”とは悲しみの聖母という意味で、イエス・キリストを失った聖母マリアの悲しみを歌った曲であり、昔からこの題材に基づいて書かれた曲は沢山あります。しかし、私は、たしかに、“スタバート・マーテル”ではあるが、断じて悲しみは歌わないようにしよう……清らかな天国的な愛のうたのみを歌おう……と、強く思いました。

表面的なことでは、マンドリンオーケストラとしての最も、美しい音色を、最大限にいかすこと、また、エレクトーンやグロッケンを入れることによって、ハーモニー、響きの充実をはかっています。


6.詩的二章

T.Andantino espressivo
U.Allegro con anima

この曲は、中条雅二氏の詩による“うた”が基になっている。詩の持つ、優しいメルヒェンの世界をふくらませていったもので、二楽章よりなっている。
第1章は、たっぷりとマンドリンオーケストラの美しい音色を聞かせ、第2章は対称的に、マンドリン・ギター等の打楽器的要素も加味され、リズミックなお祭りの楽しい雰囲気が作られている。
尚、この曲は、マンドリン協奏曲という形でも、またうたの入った形でも、演奏できるように書かれている。

T 波と貝殻

ひぐれの浜の  砂山は
だれがこさえて  いったでしょう
こんもり盛って  ありました

捨てたお菓子の  銀紙が
その砂山に  ありました
キラッと光って  おりました

波がみつけて  よってきて
ちゃぶちゃぶ  さわって見てました

一つの波が  いいました
  ――お星のように  きれいだね
一つの波が  いいました
  ――みやげにもらって  いきたいね
一つの波が  いいました
  ――お礼になにを  あげようね
 

ざぶんとしぶきが   とび散って
波のはなしは  それっきり
砂のお山も  銀紙も
どこへいったか  それっきり

静かになった  その跡に
お星のような  貝殻が
キラッと光って  ありました

U 捨てた種

泥に汚れた  さくらんぼの種を
蟻の子どもが  かついでる

泥に汚れた  さくらんぼの種を
さっきあの子が  捨てた種

そんな種でも  汚れていても
蟻の子どもは  嬉しいみこし
みんなでわっしょい  祭りのみこし

泥に汚れた  さくらんぼの種を
蟻の子どもが? かついでる

(中条雅二童話集「舗道のボタン」より)


7.夜明けの讃歌

夜明け……さわやかな朝の光のイメージの中に、誰もが願っているはずの“平和への祈り”の気持ちを込めて作曲しました。

世界で唯一の被爆国である日本の広島と長崎……その尊い貴重な体験を通じて生れる“平和への想い”を作品を通じて全世界に訴えていかなければ……常々、それが、作曲家としての使命であるように感じていた僕は、この曲が、生命を得て一人歩きをし、より多くの人々の中に平和の輪を作り上げていく為に、役立ってくれることを願ってやみません。


8.「荒城の月」変奏曲

日本の代表的な歌曲「荒城の月」をもとにした新曲を作曲して欲しい……という伊東尚生先生からの依頼により1983年に作曲、岐阜マンドリンオーケストラにより初演されたこの曲は、だれもが知っているメロディを生かしながら全曲を劇的な構成にする為に「Variation」のスタイルを使って書かれています。後半にはオーケストラのメンバー全員で、楽器を弾きながら歌うようになっていますが、「楽器と声とをブレンドして雄大な音色を生み出す」という意図と共に「形にとらわれずに音楽を楽しんで欲しい」という意図も含まれています。会場の人達も一緒に大きな声で歌っていただけたら、こんな嬉しいことはありません。


9.「おばば」変奏曲

岐阜に伝わる民謡「おばば」を使って曲を書いて欲しい・・・という岐阜マンドリンオーケストラの伊東尚生先生からの依頼によってこの曲は書かれました。

民謡原曲のメロディーやリズムを即物的にモティーフ(動機)に分解して、変奏曲の作曲技術をかなり自由に使いながら、演奏効果が上がるように構成されています。


10.生命の詩(いのちうた)

私が最も尊敬する人の一人である広島の外科医師、原田東岷先生(1999年没)が詞を書いて下さり、混声合唱とパンフルート、及びシンセサイザーオーケストラにより、広島の「海島博覧会」の会場で初演したのが、この曲の初稿です。

その後、広島の合唱団の海外公演のレパートリー(ピアノ伴奏)として度々演奏されたり、広島交響楽団によりオーケストラ版が演奏、CD化されたりしてきましたが、より多くの人々に知って頂きたいと思いマンドリンオーケストラの為にも書き直しました。

広島での悲惨な原爆の体験から、一生を平和の為に捧げて、「広島チルドレン」を初めとするバラを生み出して世界に広めたり、音楽をとても愛していらっしゃった原田先生。この曲を聴く度に、いつも先生の目にきらりと光っていた涙を私は一生忘れることはないでしょう。


11.Tre‐Pick Prelude   トレピックプレリュード

1990年夏、NHKホールで行われたジュネスミュジカル.マンドリンオーケストラ.コンサートの為に作曲、初演されました。
この曲の作曲に際して最も気をつけたのは
「マンドリンオーケストラの機能、可能性を最大限に生かす」という事でした。
タイトルの「Tre‐Pick」はトレモロ及びピッキングというマンドリンオーケストラ独特の奏法を活かすという意図を明確にする為に作曲者によって考えられた造語です。
マンドリンオーケストラ6パートのみで充分効果が出るように作曲されていますが、初演時に演奏者達から要望があり打楽器パートも書き加えられました。
又、曲の最後には、演奏しながら歌を歌い声と楽器の音を融合させて、より豊かな音色を生み出すように工夫されています。


12.ヴィヴァ!マンドリン

1994年は、マンドリンが日本に持ち込まれてからちょうど100年になるそうです。これを記念する曲を作曲して欲しい……と、日本マンドリン連盟会長の伊東尚生先生から依頼を受けて作曲、岐阜マンドリンオーケストラによって初演されました。

イタリアが母国であるマンドリンを祝福する為にも、タイトルは
『ヴィヴァ!マンドリン』とすることに決定してから作曲に取りかかりました。

ピッキングとトレモロというマンドリン独特の奏法による美しい音色を最大限に生かすように心がけましたが、演奏する皆さんのいきいきとした心が楽器に乗り移り、素晴らしく感動的な音楽を生み出して下さることを願っております。


13.グランドシャコンヌ

シャコンヌ曲解.jpg (30781 バイト)

これは、神戸大マンドリンクラブが初演する時に、先生よりいただいた自筆の曲目解説です。(管理人記)


14.ミューズ・コンチェルト

この曲は、明治学院大学マンドリンオーケストラの委嘱により1995年春に作曲されました。

合奏協奏曲のスタイルを現代に生かすという意図で作曲されており、独自の旋法による美しい響きと現代感覚に溢れたリズムが特徴となっています。

MUSEとは、音楽や詩をつかさどるギリシャ神話の神の名前ですが、この曲の意図と内容を端的に表現する為に、ミューズ・コンチェルトと命名しました。


15.星空のコンチェルト 

夜空に輝く無数の星たちを見ていると様々なイメージが浮かび上がってきます。

「アーベントムジーク」より作曲の依頼を受けたものの、一向に筆は進まず困っていましたが、「夕べの音楽」という意味のドイツ語から連想を広げてマンドリンの繊細な音色と、きらめく星たちとの関連に思い至った時に、一気に楽想が沸き上がり増殖を始めました。

「コンチェルト」というタイトルを選んだのは、「音」そのものの美しさを追究したいという思いに基づき、バロック音楽の「合奏協奏曲」を現代に蘇らせたい、という意図があったからです。


16.ファンタジア九州

この曲は福岡マンドリンオーケストラからの「九州に因んだ曲を……」という依頼によって作曲されました。

私の大好きな「五木の子守歌」と「ひえつき節」という、二つの九州民謡をテーマにして、ヴァリエーションや交響的な手法を使いながらも自由な幻想を羽ばたかせて出来上がったのがこの曲です。

通常のマンドリン・オーケストラにフルート、クラリネット、打楽器、そして私のマンドリン作品では、今回初めてホルンを加えることにより豊かな響きを作り上げるように試みられています。

曲想がどんどん湧いてきて、とても楽しく作曲できました。


17.八つのバラード

詩人の中条雅二先生といろいろお話して、一諸に作品を作っていこうという話になり、最初に手がけたのが、この作品です。詩集「舗道のボタン」の中より、八つのバラード詩を選んで、組み合わせ、かなり自由な扱い方で、全体をまとめました。童詩と名付けられた、それぞれの詩は、とても楽しいメルヒェンの世界を形作っており、自由な夢のある、おはなしの世界へ我々を導びいてくれます。この童詩の世界にとても心ひかれ楽しい作品を進めることができました。

1.青いへちま

青いへちまは
ぶらりとしてさ
とてものん気さ  長い顔してさ
   ぶうらりぶうらり  ぶうらりこ

青いへちまは
ぶらりとしてさ
いつもひる寝さ  ひる寝の夢さ
   ぶうらりぶうらり  ぶうらりこ

青いへちまは
ぶらりとしてさ
アブがきてもさ  知らん顔してさ
   ぶうらりぶうらり  ぶうらりこ

2.蛙と望遠鏡

蛙が望遠鏡をひろったと
これはなんじゃと覗いたと
とたんに
のけぞって  ゲ  ゲ  ゲ
それもそのはず  目のさきに
かま首もたげた青大将
ぎょろりとぐろを巻いてたと

目の玉こすった蛙がさ
も一度ためしに覗いたと
とたんに
たまげて  ゲ  ゲ  ゲ
それもそのはず  田の畦に
しっぽもとれない倅めが
親よりでっかい顔していたと

3.木  馬

こわれた木馬は 庭のすみ
ころんところげて泥まみれ

空にあんよを向けたきり
ぽとぽと雨にぬれている

こわれた木馬は 庭のすみ
こわれたまんまほかられて

泥にお顔を埋めたきり
空にあんよを向けたき

4.固いくるみ

森の小道のくるみの木から
固いくるみがぽとんと落ちた
落ちてはずんで森のみち
   からんころん   ころっころっ
   からんころん   ころっころっ

そこへ子りすがちょろりと通る
くるみ拾ってかじってみたが
とても固くて歯がたたぬ
   からんころん   ぎりっぎりっ
   からんころん   ぎりっぎりっ

子りす困って木づちでたたく
だけどくるみはどうにもならぬ
はねるばかりで割れやせぬ
   からんころん   かちっかちっ
   からんころん   かちっかちっ

汗はでてくる木づちは重い
子りすとうとうあきらめちゃって
もとの小道にぽいと投げた
   からんころん   ころっころっ
   からんころん   ころっころっ

5.か ら す

お山のからすは喰いしんぼう
背戸の渋柿  つっついて
渋くて渋くて  ペッペッ  ペッ
生つば  吐き吐き
      カア   カア   カア    カア

お山のからすは喰いしんぼう
山のいが栗  つっついて
痛くて痛くて  ペッペッ  ペッ
なみだ  ぽろぽろ
     カア   カア   カア   カア

お山のからすは喰いしんぼう
畠の唐辛子  つっついて
辛くて辛くて  ペッペッ  ペッ
声まで  ひりひり
     カア   カア   カア   カア

6.星のこども

夜露はどこからくるのでしょう
ちらちら光る  あの空の
お星の家からくるのでしょう

赤い色やら  むらさきの
やさしい匂いにさそわれて
空からおりてくるのでしょう

お花や葉っぱにとまっても
お星のこどもは  きらきらと
きれいなおめめが光ります

ふんわりお花にくるまって
お星のこどもの見る夢は
どんなにたのしい夢でしょう

7.寝呆け狐

明るい晩にサ  月夜にサ
狐が寝呆けて起きたとサ
コン  コーン
ねぼけまなこで  ひょいと見たら
お化けみたよな  コンコーン
影法師  影法師

静かな秋にサ  月夜にサ
狐はたまげて逃げたとサ
コン  コーン
あれは何じゃろ  ありゃ何じゃ
わしによう似た  コンコーン
顔してる  顔してる

寝呆けた狐サ  月夜にサ
自分の影とは知らずにサ
コン  コーン
ここまで逃げれば大丈夫
うしろひょいとみて  コンコーン
声あげた  声あげた

8.いねむり和尚さん

いねむり和尚さん  いねむりこっくり
木魚でポクポク  こっくりこっくり
そのうち柱で  おでこをコーン
和尚さんアチチチ  アッ  アチチ
   それそれ  あわてて  ナンマイダ
   ハ  ポクポクポクポク  ナンマイダ

いねむり和尚さん  いねむりこっくり
お経もよまずに  こっくりこっくり
ちょろちょろ鼠が  おひざにチュッ
和尚さんびっくり  シッ  シシシ
   それそれ  あわてて  ナンマイダ
   ハ  ポクポクポクポク  ナンマイダ

いねむり和尚さん  いねむりこっくり
小坊主さん呼んでも  こっくりこっくり
しめしめ紙撚を  お鼻へスーッ
和尚さんウッフフ  ハッ  ハクション
   それそれ  あわてて  ナンマイダ
   ハ  ポクポクポクポク  ナンマイダ


18.バラード第一組曲

19.バラード第二組曲


20.郡上挽歌

岐阜県の郡上という所は「郡上踊り」で全国的に有名ですが、この踊りや歌の裏には、苦しさに耐え兼ねて蜂起した農民一揆の悲しい歴史が秘められています。郡上民謡の中でも最も有名な「郡上のナー八幡出て行く時は(アソンレセ)雨も降らぬに袖しぼる」と始まる「かわさき」は、藤掛廣幸オペラ「紙すきのうた」の中でも効果的に使われましたが、「郡上民謡を使ったマンドリン曲を・・・」という岐阜マンドリンオーケストラの伊東尚生先生の依頼で書かれたのがこの曲です。


21.セレナーデNo.1

奥深い山々に囲まれた岐阜県の徳山村は、日本最大のダムを建設する為に取り壊されてしまいましたが、昔ながらの暖かい人情に溢れ、素晴らしい数々の民謡も残されていました。この徳山村の生活を、消え去ってしまう前に映像で保存しておこうという運動の中から、いくつもの映画やテレビ番組が作られ私もその音楽を担当しました。その時に書いた音楽を基にして演奏会用に作曲し直したのがセレナーデNo.1です。奥深い山里の美しい情景や生活の中から生れてきた民謡のメロディー等が渾然一体となって、この曲を構成しています。1979年九州大学マンドリンオーケストラの依頼で作曲、同大学によって初演されました。


22.セレナーデNo.2

広島修道大学マンドリン部により、1979年委嘱、初演されました。
セレナーデはもともと「恋人の窓辺で歌う愛の歌」のことですが、このセレナーデシリーズはモーツアルトやチャイコフスキーのセレナーデのように気楽な場で演奏される音楽作品を目指したものです。
テレビや映画等の為に作曲した沢山の音楽の中から、作曲者のとても気に入ったメロディーを即物的に選び出して映像やシーンと関係なく独立したマンドリンオーケストラの為の音楽として楽しめるように新たに作曲し直したものです。
交響曲のような緻密、有機的な構成ではありませんが、モティーフの変奏により全体が統一されています。


23.セレナーデNo.3

この曲は、全部で4曲あるセレナーデシリーズの第三番目にあたります。初演は富山大学ギターマンドリンクラブによって行われました。

「セレナーデ」とは、恋人の窓べで、ギターを弾きながらうたう「愛の歌」
のことですが、この曲は、モーツァルトやチャイコフスキーのセレナーデのように、あまり肩のこらない場で演奏される音楽を目ざしたものです。

交響曲のような有機的な構成ではありませんが、モティーフの変奏により全体の統一が計られ、一つの「夢の世界」を形作るように作曲されています。


24.セレナーデNo.4

>岐阜大学マンドリンクラブにより委嘱、初演されました。
セレナーデはもともと「恋人の窓辺で歌う愛の歌」のことですが、このセレナーデシリーズはモーツアルトやチャイコフスキーのセレナーデのように気楽な場で演奏される音楽作品を目指したものです。

映画やテレビ等の為に作曲した沢山の音楽の中から、作曲者のとても気に入ったメロディーを即物的に選び出して映像やシーンと関係なく独立したマンドリンオーケストラの為の音楽として楽しめるように新たに作曲し直したものです。
交響曲のような緻密、有機的な構成ではありませんが、モティーフの変奏により全体が統一されています。


25.黙示録

「黙示録」とはキリスト教の聖書の中にでてくる言葉ですが、特定の宗教的な内容を表現するというのではなく、この現代社会において特に切実な、平和への祈りの気持ちを込めて作曲しました。“偉大なる印が天上に現れた”というヨハネ伝による黙示録の中の冒頭の部分のみをラテン語のまま使っておりますが、あとは特定の言葉は使われておりません。

核兵器などという人類、生物すべてを滅亡に導くような恐ろしい道具を作り出してしまった人間にとって平和を作り上げていくのは又、我々人間の手によってしかありえないのであり、この点をすべての人が自覚して、よりすばらしい未来の実現に向かって人類が歩んでゆくことを願わずにはいられません。


26.春の讃歌

今までのマンドリンオーケストラの為の作品とは違って、この曲においては、いくつかの漸新な試みがなされている。和声の自由な扱い方、演奏者の自由にまかせられる部分の導入、テープによる水の音を作品の中に取り入れたこと、などである。

大自然の素晴らしさ、とりわけすべての生命の萌え出づる春に対する作曲者の共感は、この作品を構成している時点から、どんどんふくれ上がってゆき、このような形に結実したものである。

心のこもった演奏により、この作品がより大きな生命を得て、春の讃歌を高らかにうたってくれることを見守っていたいと思う。


27.「妖精の森」組曲

フルーティストのジェームス・ゴールウェイと共にレコーディングした最初のアルバムが“The Enchanted Forest”「妖精の森」です。
このアルバムはアメリカのビルボード.クラシカル.クロスオーヴァー部門にベストテン入りしてアメリカだけで50万枚以上売れました。
このアルバムの中より3曲を選びマンドリンオーケストラの為のコンサート組曲にアレンジしたものです。


28.日本民謡集

フルーティストのジェームス・ゴールウェイと共にレコーディングした最初のアルバム“The Enchanted Forest”「妖精の森」の中には日本民謡を何曲か入れました。
それらの民謡をマンドリンオーケストラの機能を生かすようにアレンジ、コンサート用に新たに書き直したものがこの作品です。


29.日本の歌三章

イ・ムジチ合奏団とオーボエの名手、ハインツ・ホリガーの演奏によるアルバムのために、フィリップスの依頼で12曲の歌をアレンジ、スイスのラショードフォンでレコーディングしたのは、 1985年の夏のことです。
このアルバム「日本の四季」に含まれた三曲を、中央大学マンドリンオーケストラの委嘱により新たにマンドリン合奏にアレンジし直したのがこの「日本の歌三章」です。

マンドリン系の楽器は、ピッキングとトレモロという独特の奏法によって生み出される音が大きな特徴になっており、ヴァイオリン系の楽器とは、音域等に共通点があるものの、まったく違った観点から取り組むことによってこそ、その魅力を引き出す事が出来ると思います。

従って、このアレン ジにおいてはマンドリンのふくらみのあるトレモロと、ピッキングによって醸し出される澄んだ音色を使い分けて、全体として豊かで暖かみのある美しい音色が響きわたるように工夫したつもりです。

往年の日本の歌には、その生活テンポの速さと共に現代においては忘れ去られてしまった暖かい情感に溢れたものが多く、人々の心に潤いを与えてくれることも多いと思いますが、美しいマンドリン合奏の音色も又、その情感に通じる部分を持っており、これら日本の歌とマンドリン合奏はとても相性がよいといえるかもしれません。

日本の歌3章

早春賦         作詞:吉丸一昌/作曲:中田    章

1. 春は名のみの   風の寒さや 
谷の鶯   歌は思えど
時にあらずと   声も立てず
時にあらずと   声も立てず
2. 氷解け去り   葦は角ぐむ
さては時ぞと   思うあやにく
今日もきのうも   雪の空
今日もきのうも   雪の空
3. 春と聞かねば   知らでありしを
聞けば急かるる   胸の思いを
いかにせよとの   この頃か
いかにせよとの   この頃か

椰子の実         作詞:島崎藤村/作曲:大中寅二

名も知らぬ遠き島より
流れ寄る椰子の実ひとつ
故郷の岸を離れて
汝はそも波に幾月
旧の樹は生いや茂れる
枝はなお影をやなせる
われもまた渚を枕
孤身の浮寝の旅ぞ
実をとりて胸にあつれば
新なり流離の憂
海の日の沈むを見れば
激り落つ異郷の涙
思いやる八重の汐々
いずれの日にか国に帰らん

浜辺の歌         作詞:林   古渓/作曲:成田為三

1. あした浜辺を   さまよえば
昔のことぞ      忍ばるる
風の音よ         雲のさまよ
よする波も      貝の色も
2. ゆうべ浜辺を   もとおれば
昔の人ぞ         忍ばるる
寄する波よ      かえす波よ
月の色も          星の影も

30.エンジェル・コーラス

この曲は、宇宙の空間から美しい天使の歌声がきこえてくる……というイメージで作曲しました。

だれでも演奏しやすいように、曲はハ長調の7つの音のみで、作曲されており、♯も♭も1つも使われておりません。

美しい天使達の歌声を、お楽しみ下さい。


31.ふるさと紀行第一組曲

32.ふるさと紀行第二組曲

33.ふるさと紀行第三組曲

34.名曲アルバム第1集

35.名曲アルバム第2集

36.名曲アルバム第3集

37.名曲アルバム第4集

38.パストラル

39.ポルナレフ集

40.ペッティーネ*アンダンテ


41.大地の呼び声

モザールマンドリンオーケストラの20周年記念演奏会の為に作曲、初演された。

この大地の恵みに支えられて生きてきた人間達。しかし人間の欲望や権力欲が元になった愚かな戦争等によって苦しみや悲しみを作り出し、多くの愛を葬むり去って来たことも事実である。この大地の中から多くの民人(たみびと)達の呼び声が聞こえてくる。「苦しみや悲しみではなく、この大地の恵みに感謝して....生命を、生きる喜びを次の世代へと、いつまでも力強く伝えてゆこう!!」

この交響詩は、壬申の乱に巻き込まれた民衆を描いた藤掛廣幸作曲のグランドオペラ「かかみ野の空」のテーマを母体として生まれた作品であり、マンドリンオーケストラの機能を生かすように意図されている。尚、管楽器のパートは省略して演奏することも可能である。

「大地の呼び声」作曲ノート

モザールマンドリンオーケストラから20周年記念の曲ということで依頼を受けたのですが、150人ものメンバーを擁する大きな合奏団という以上の知識は持ち合せていなくて、当初は通常の合奏曲を発展させたものを想定していました。しかし、熱気に溢れたスケールの大きなコンサートの録画ビデオをみせていただき、このマンドリンオーケストラにコンサートの最後の曲目として初演していただくならば、かなり心してとりかからねば、とプレッシャーを感じると共に意欲が沸き上って来ました。通常の編成に管楽器や打楽器を加えた交響詩にしよう、とその時決心しました。このようにして「大地の呼び声」は生れました。モザールマンドリンオーケストラの皆様の熱い心がこの曲に命を吹き込み素晴らしいコンサートになりますよう願っています。


42.ロックンマーチ

原曲は全日本吹奏楽連盟の依頼で、全国コンクールの課題曲として作曲されました。
一応マーチという名前にはなっていますが、いわゆる普通の軍隊調のマーチには絶対したくない――もっと楽しいワクワクするようなアフロ・ロックのようなリズム感の音楽にしたい、という発想で書かれたのが、このロックン・マーチです。
タイトルの由来もそこにあります。

この原曲をARSNOVAマンドリンオーケストラの依頼でマンドリンオーケストラの為に書き直したのが本曲で、1999年カザルスホールに於けるARSNOVA東京公演で初演されました。


43.森と水のシンフォニー

この曲は1999年度、岐阜大学マンドリンオーケストラ定期演奏会の為に1999年春から夏にかけて作曲されました。
長良川と金華山という、美しい景観に恵まれた岐阜という地は、私も金華山のふもとに10年間住んでいたこともあり、とても愛着があります。長良川の豊富な水も上流まで辿ると森に囲まれた小さなせせらぎや小川がいくつも合流しながら、だんだんと川幅を大きくしているのがわかります。

人間を含む全ての生命達が生きていくのにかかせない美しい水。
「美しい森と水をいつまでも大切にして欲しい」という願いを、交響曲の各楽章をひとつの曲に集約した作品の中に表現してみたい、という意図でこの曲の作曲に取り組みました。
タイトルの「森と水のシンフォニー」はそんな作曲者の想いを端的に表現したものです。

岐阜大学マンドリンオーケストラの初演により「命」を吹き込まれたこの作品が、これを契機に大きく育っていってくれることを願っています。


44.マンドリンオーケストラの為のシンフォニエッタ Aqua Rhythm

湧水、谷川、小川、滝、大河、、水の流れを見ながら流れる水が作り出す様々なリズムを聞いていると飽きることがありません。
「行く川の水は絶えずして、しかも元の水にあらず」……  流れる水を通して、生命の歴史や大自然の営みにも想いは拡がっていきます。
この曲の構想を練っている時に私は丁度、岐阜県を流れる長良川の上流に滞在していました。

人間のみでなく全ての生き物にとって欠かす事の出来ない水、生命の水。

広島修道大学マンドリンオーケストラの定期演奏会の為に「水のリズム」をテーマに してこの曲は生まれました。
Allegro/5拍子の第一部とAdagioのテーマがどんどんヴァリエーションされていく第二部から構成されています。タイトルの「アクア.リズム」 は文字通り「水のリズム」です。

「美しい水がいつまでも変わり無く人々に潤いを与え続けてくれるように」という祈りと共に、初演を契機に多くの皆様に愛されて何度も演奏されるような作品に育っていって欲しいと願っています。


45.Aqua Rhythm for Plectrum Quartett

T Allegretto con moto
U Theme and Variations

この曲の初演は、マンドリンオーケストラの為のシンフォニエッタ“アクアリズム”として「広島修道大学マンドリンオーケストラ」の為に、1999年春に作曲。1999年12月4日、第35回定期演奏会に於いて初演されました。

流れる水の動きからインスピレーションを得たこの曲は高度な技術が必要で素晴らしいテクニシャン揃いのARSNOVAクァルテットのアンサンブル演奏で是非聴いてみたいと思い、プレクトラム四重奏の形に書き直したものです。どんな音符を書いても、いとも軽々と演奏してしまうだろうARSNOVAのメンバー1人1人の顔を想像しながらの作業はとても楽しいものでした。


46.Asian Wind

 この曲は福岡マンドリンオーケストラの創立40周年を記念して作曲されました。
 30周年には、九州をテーマにした「ファンタジア九州」を初演して頂きましたが、いつの間にか10年が経ち、今回は「アジアをテーマにした新曲を」という依頼でした。現代は「人口の増加」「地球温暖化」「エネルギー問題」等どれをとってみても、各地の独自の素晴らしい文化を尊重しながらも、地球規模で物事を考えていかなければならない時代になってきています。そんな観点からアジアを眺めてみると、不幸な争い等もあったとはいえ、力強く大自然と協調しながら、たくましく生き抜いてきたアジアの人々の姿が見えてきます。

     風は海を渡ってきた
       歌は風に乗ってやってきた
           愛は歌に乗ってアジアを一つにつなぐ

 こんな理想を込めて、この作曲に取り組みました。

(福岡マンドリンオーケストラ第40回定期演奏会「出逢いと夢」プログラムの解説を一部変更しています)


47.マンドリンオーケストラの為の海のファンタジー  藤掛廣幸作詞・作曲

いのちが生まれたふるさとは 藍い海 その大きな愛
すべての生命に生きている ふるさとの海 その愛の思い出
今呼び覚まそう はるか昔の記憶 青く深い海の愛の思い出
今呼び起こそう 魂の奥に住む 命のふるさとの記憶を... Ah−


原曲は、150人を擁する松阪商業高校ギタークラブの為に作曲したものです。
このクラブはギターをひきながら歌を歌うのを得意にしているので、三パートに分かれた合唱も入るように作詞・作曲しました。この原曲をマンドリンオーケストラのみで演奏できるように書き直したものが本曲です。


48.さくら奇想曲

松阪商業高校ギター部のギターオーケストラの為に書かれた原曲をマンドリンオーケストラ用に新たに書き直した作品です。日本古謡「さくら」をテーマにしたヴァリエーションで曲が構成されています。


49.交響詩「山河緑照」

原曲は、1999年岐阜県で行われた「国民文化祭/邦楽の祭典」の為に、琴、尺八、三味線、十七絃による計100名の邦楽合奏の為に作曲、作曲者の指揮により初演されました。
山々の緑が川の水面に美しく照り映える……というイメージのタイトルが、まず最初に出来上がりメインテーマが湧き上がってくると、作曲はスムーズにはかどっていきました。
大好評だったこの原曲をもとにマンドリンオーケストラの機能にマッチするように書き直したものが、この作品です。


50.祝典序曲「春」

51.二度とない人生だから


52.Spring  Sprung (For Mandolin and Guitar)

1999年「マンドリン室内楽 in Tokyo」で素晴らしい演奏をしたグループの為に作曲をする・・・という企画の中から生れた曲です。

緑の萌え出る春。新しい命が生れる春。この曲は水上勉原作の物語による生きることの素晴らしさを歌ったミュージカル「ブンナよ木から下りてこい」の為に作曲した1時間半の音楽の中から、4曲を選んでマンドリンとギターの為に新たに書き直したものです。CO Duoのお二人の素晴らしい音色と表現を生かすように心がけました。

[Spring=春/Sprung=飛び跳ねる、芽が出る、生じる等の過去形]


53.Spring Sprung(4重奏)

54.Spring Sprung(合奏)

55.アルハンブラ幻想曲


56.組曲「紙すきの歌」

 2000年3月の第2回マンドリン室内楽 in TOKYO で素晴らしい演奏を聞かせてくれた「プロベル立川」の皆さんのために作曲したものです。
 小編成のマンドリンアンサンブルによる無理のない美しい響きを作るためには、どうしたらよいかという点に留意しながら完成しました。
 この曲の元になっているメロディーは、藤掛廣幸のオペラ「紙すきの歌」から引用されています。美濃和紙の里でユキという女性が苦労を重ねて「天狗上紙」という美しい紙を漉きあげるまでを、愛や死を交えて描いた2時間30分のオペラで、1999年に初演され、2000年、2001年にも再演されています。

(第3回マンドリン室内楽 in TOKYO プログラムより)


57.キラキラ星 トレピック・ヴァリエーション

58.竜宮ファンタジー


59.樹魂の歌

 この曲は岐阜シティマンドリン合奏団の創立15周年を記念して作曲されました。
 オリジナルは、樹齢1500年の淡墨桜をテーマに、1988年岐阜で行われた未来博に於いて、大合唱とシンセサイザーによって演奏するために作曲、未来博特別ステージで初演されました。
 その後、何度か演奏されてきましたが、今回はマンドリンオーケストラで演奏する為に、構成や細部も新たに書き直して、マンドリンオーケストラの機能を最大限生かせるように工夫してあります。 オリジナルの合唱のための詩は、名古屋にお住まいの詩人「中条雅二」先生にお願いしました。


60.SPECTRUM(スペクトラム)

光をプリズムに当てると美しいSPECTRUMを見ることができる。
この作品は、マンドリンオーケストラの音色の美しさと、楽器としての機能を最大限に引き出すべく 意図されており、作曲の方法としては即物的な美しさ(音色、和声、構成)を最も大切な要素としている。
4人の打楽器奏者が加えられているが、マンドリンオーケストラと対比させることによって、より特色を強調するよう計られている。
指揮者、演奏者の自由にまかされている部分、又は、全員が各自自由なテンポで演奏する縦線の無い メロディー、それらがカノン的につみ重なって作り出す音色の霧、等、さまざまなスペクトルが現出し、作品を形造っている。
又、オーケストラは、左右対称になるよう配置され、ステレオ的な拡がりのある響きを作り出すよう、配置されている。


61.「Life Beat」生命の鼓動

この曲は、千葉東高校マンドリン部40回演奏会の為に作曲したもので、高校生によって委嘱初演された初めてのマンドリン・オーケストラ作品です。

マンドリン.オーケストラの各楽器の機能と魅力を最大限に引き出して、生命力に溢れた”躍動感”を生み出す事に重点を於いて作曲しました。日本太鼓を含む打楽器やフルートもその効果をより高める為に使われています。タイトルもそのような意図に由来します。
この曲の主要テーマ.メロディは、200人の混声大合唱、ピアノ、打楽器、シンセサイザーによって初演された私の作品、「土器」の中から引用されています。
中条雅二先生の詩による「土器」は、10曲から成り、太古の人間の生命力を力強く歌った演奏時間30分を超すエネルギッシュな大曲ですが、この中から3つのメロディ(1曲目-あらえ!日の神や!/6曲目-歌垣/10曲目-陽ば昇れ!)を抽出して、土器以外のメロディと融合させる事により、新たな命を吹き込まれた「Life Beat」が誕生しました。変拍子も自然な鼓動として違和感なく音楽の流れに溶け込んでいて、現代の我々の中にも力強く息づく、太古から脈々と続いてきた生命の躍動感の表現に役立っています。

(藤掛廣幸 記/2002年6月)


62.Legend(4重奏)

 この作品は第3回「マンドリン室内楽 in Tokyo」で素晴らしい演奏を聞かせてくれたパロール・クァルテットのために作曲・献呈いたしました。2本のマンドリン、マンドラ、マンドロンチェロという、トレモロとピッキング奏法で音を作り出す4本の楽器による、アンサンブルの機能と効果を最大限に引き出せるように配慮して作曲したつもりです。
 「Legend」というタイトルは、中国に古くから伝わる伝説をもとに藤掛廣幸が作曲、日中合同制作により発表された2時間のオペラ「消えた太陽」の中から主要なメロディを抽出して作曲したためです。争いの絶えないこの世から消えてしまった太陽を、シャオリー、ユーランという2人の子供達が中心になって命をかけて太陽を取り戻すという壮大なオペラは、中国、日本双方に絶大な感動をもたらしました。
 この「Legend」作曲にあたっては、オペラのストーリーは全く無視して、プレクトラム楽器に合う可能性のあるメロディのみを抜き出して、編曲でなく、四重奏の響きを効果的に生かせるように再作曲しました。

(第13回関東マンドリン・フェスティバル プログラムより)


62.Legend(合奏)


63.悠久の翔

 この曲は、東京銀座4丁目交差点の新名所、カラクリモニュメントの為の音楽です。
 シルクロードを通って日本に伝わってきた楽器や文化のルーツに思いを巡らせる中から、悠久の歴史へのイメージがふくらみ、翔を羽ばたかせて飛び回りはじめました。


64.ネコふんじゃった変奏曲


65.シンフォニア・パルナソス

姫路パルナソス・マンドリン・オーケストラの為に書かれたこの作品は、最初に「シンフォニア・パルナソス」というタイトルが決定してから一気に作曲がはかどりました。

依願を受けて、まず最初に「姫路城」がイメージに浮かんできましたが「パルナソス」というギリシャ神話に出てくる名前が頭から離れません。

アポロンとミューズ達が住んでいたという山パルナソス、詩や音楽の神ミューズのイメージがどんどん大きくなり、ついに「シンフォニア・パルナソス」というタイトルが浮かび上がって釆ました。

Sinfoniaというのはギリシャ語を語源とするイタリア語ですが「音が一緒に美しく鳴り響く」という意味を本来持っています。「マンドリン合奏の本来の美しさ、そして音楽の本来の美しきに率直に感動する所から作曲を始めよう」と思った瞬問から自然にメロディやハーモニーが沸き上がって来ました。

マンドリン・オーケストラの各楽器を、出来るだけ自然に鳴り響かせ、美しく豊かな音で音楽を歌い上げる事が出来るように留意して作曲しました。

ミューズの神々達がホール一杯に舞い踊ってくれる事を願っています。


長良川幻想曲

「また難問をかかえ込んでしまった……」というのが、伊東尚生先生より、この曲の作曲を依頼された時の第一印象です。

「岐阜に関係のある有名な演歌を基にして、マンドリン・オーケストラのための曲を……」というのが今回のご依頼の内容だったのですが、「さて現代のオーケストラ作品として、演歌をどのように料理しようか?……」というのが最大の問題点でした。

心を込めて歌われる演歌の中には人生の奥深い本質さえ見えかくれする気がしますし、思わず感涙にむせぶような曲もあります。

その演歌をつかって、作曲をするに際して「演歌の語法を抽出して作曲する」というのも上辺だけになってしまうし、ましてや、メロディーをそのままアレンジしても、ただ単に茶番になるだけだし……と、なかなか作曲の筆が進みませんでした。いっそのこと、一旦、演歌とは離れて「長良川の幻想」というイメージで作曲しようとした思った時、一気に曲想が浮かんできました。

一粒の水滴が川の始まり……水滴が集まり、少しずつ流れを形造る……小川になり、谷川になり、雄大な長良川へと成長する……夜景の美しい長良川では、鵜飼いのかがり火が水面に映える……河は、時に大水と共に荒れ狂いはげしい一面をのぞかせる……嵐が去った静けさの中から演歌のメロディーが流れてくる……そしてまた、川は太古の昔からそうであったように、今日も流れる。


日本抒情歌曲

「ジュネスのコンサートで、マンドリンオーケストラと合唱団が共演する為に日本の歌を混声四部合唱とマンドリンオーケストラの為にアレンジして欲しい」という依頼に答えて書かれたもので、数曲の日本の歌を組曲として演奏できるように構成してあります。NHKホールに於いて初演されました。……


(ごう)

ドイツの作曲家、ジークフリート、ベーレントが日本に来た時に日本太鼓の演奏を聞いて、とても感動したことを知った伊東尚生先生から、マンドリンオーケストラと日本太鼓の為の曲を書いて欲しいと頼まれました。

初演は岐阜マンドリンオーケストラと阿岐太鼓により岐阜市民会館で行われましたが、その後ベーレントが、ドイツでも演奏して、楽譜も出版されました。

マンドリンオーケストラと日本太鼓という全く異質な形体を組み合わせるにあたり、それぞれの特質を生かしながら新しい世界を築き上げるということに留意しました。タイトルの『逅』は「二つの異質なものの出会いの場」という意味を込めて名付けました。
太鼓もマンドリンオーケストラも、演奏においての自発性を大切にするため、アドリブの要素を取り入れてあります。
演奏者全員の生き生きとした生命力がぶつかりあい、力強い音楽が生まれてくることを、作曲者として願っています。