larry young

「LARRY YOUNG IN PARIS/THE ORTF RECORDINGS」(RESONANCE RECORDS HCD−2022)
LARRY YOUNG

 フランスの放送局に残っていた音源2枚組。若干19歳のウディ・ショウを擁したグループの演奏だが、1枚目はラリー・ヤング・カルテット(ウディ・ショウとネイサン・デイヴィスがフロント)のものと、ジャック・ディエヴァルというピアニストのオールスターズ(トランペットはウディ・ショウとソニー・グレイ、テナーはネイサン・デイヴィスとジーン・クロード・フォーレンバッハというひと)のものと、ラリー・ヤング・トリオ(コンガが入ってる)の3種類のセッションで構成されている。基本的にベースはいない。メンバーはなかなかすごいが、なにしろウディ・ショウもラリー・ヤングもめちゃ若い。あまり期待せずにさらっと聴こう……そう思って聴いてみたのだが、やはり相手がわが永遠のアイドル(のひとり)ウディ・ショウなので、どうしても力が入る。1曲目はラリー・ヤング・カルテットで、ウディ・ショウは若くても切れ味のあるフレーズを連発し、もうすでにスタイルが(未完成かもしれないが)できあがっていてすごい。ネイサン・デイヴィスというひとは私は昔からあまりピンとこないのだが、ここでも「真面目に吹いてるなあ」という感じ。なにがやりたいのか今一つわからん。2曲目はオールスターズで、ウディ・ショウが先発でそのあとソニー・グレイのトランペットソロ、ネイサン・デイヴィスのテナーソロ、フォーレンバッハのテナーソロ、リーダーであるディエヴァルのピアノソロ、ヤングのオルガンソロ……というあまり工夫のない構成。グレイ(ひたすらおんなじフレーズを連発)もフォーレンバッハもかなり上手いのだが、ソリスト多すぎる感は否めない。ヤングのオルガンソロはすばらしいと思う。3曲目はラリー・ヤング・トリオで、これはめちゃくちゃいい。4曲目はオールスターズで、ブルースでのソロ回し。先発のヤングのソロが超かっこいいので、もうそれで十分なのだがそのあとのテナーソロ(たぶんネイサン・デイヴィス)は、うーん……という感じ。そして、そのあとに出てくるウディ・ショウは(まあ好みもあるでしょうが)私の心を揺さぶるラインである。そのあとのテナーソロは(たぶんフォーレンバッハ)超上手いけどハードバップしかできまへんという感じ。最後のソニー・グレイはもっとスタイルが古いかも。ここでかなりダレます。いろんなフレーズを多彩に繰り出すのだが、それが一続きになっていないようだ。バップもむずかしい。1枚目ラストもオールスターズで、またまたブルース(スローブルース)でのソロ回し(なぜか「ディスコティーク」というタイトル)。もうええっちゅうねん。ラリー・ヤング→テナー(たぶんネイザン・デイヴィス)→ウディ・ショウ(さーすが!のソロ)→テナー(たぶんフォーレンバッハ。上手いけどなあ)→ソニー・グレイ→ピアノ。これもややダレます。
 2枚目はラリー・ヤング・トリオとネイサン・デイヴィス・カルテットで構成されている(ライヴである。音はまあまあ)。1曲目はヤング・トリオ(コンガ入り)で変なテーマがかっこいいです(ソロは比較的普通)。2曲目から4曲目まではネイサン・デイヴィス・カルテットだが、選曲がすごくて、あの「ユニティ」でやってる「ゾルタン」や「ビヨンド・オール・リミッツ」、そしてなんとウェイン・ショーターのおなじみ「ブラック・ナイル」というラインナップ。これは聴きたくなるよ。で2曲目「ビヨンド・オール・リミッツ」はリーダーのネイサン・デイヴィスが先発ソロだが、やっぱりなにをやりたいのかいまひとつわからん、不完全燃焼というか、ハードバップをちょっとだけ進めたようなプレイで、とてもウディ・ショウやラリー・ヤングの前進性には追いついていないと思う。日本語ライナーで原田和典氏が2枚目の演奏は一枚目に比べて「余計なピアニストやスカスカのテナーサックス奏者が入っていないだけに演奏の密度は濃厚、方向性をひとつにしたメンバーのハイレベルなプレイにはまさしく一丸という言葉がふさわしい」と書いておられるが、たしかにフォーレンバッハというテナーはスタイルはハードバップかもしれないが「スカスカ」とは思わないし、超上手いからなあ。あと、私はネイサン・デイヴィスがどうもいまひとつなので、その彼がリーダーをしているという時点で2枚目の演奏も「一丸」とはあんまり思えない。正直、ネイサン・デイヴィス・カルテット名義だが選曲とかみても実質ウディ・ショウ〜ラリー・ヤング・カルテットなのではないか。3曲目はいよいよ「ブラック・ナイル」だが、わはははは……アレンジもショーターのやつの丸パクリですなー。ウディ・ショウはがんばっているが、やや悪戦苦闘か。でも、個性はモロに出ています。ネイサン・デイヴィスはおんなじフレーズをひたすら吹いており、ショウ以上に相当悪戦苦闘していると思う。ハッタリをきかせてのりきろうとしている感じ。ヤングはちょっと狂気を感じるほどののめり込みぶりでなかなか凄いです。その後の4バースでも、ネイサン・デイヴィスはおんなじことばっかり吹いてるので、かなりドン引きした。4バースで走ったのか、ラストテーマはめちゃくちゃテンポが速くなっている。4曲目は「ユニティ」でも強烈な印象を残した「ゾルタン」だが、なんと21分もある。この曲でのネイサン・デイヴィスのソロはすごく好き。結局、ハードバッパーなのだなあ、このひと。ウディ・ショウは、作曲者だけあって見事に吹きこなしている。このソロなど聴くと、19歳って信じられんなー。後年のウディ・ショウと比べてもまるで遜色ない。天才やな。ラリー・ヤングもすばらしいソロをしている。ラストはラリー・ヤング・トリオだが、ヤングはピアノを弾いており、そのせいでこの曲だけベース奏者が入っている。というわけで、ウディ・ショウとラリー・ヤングは立派。このふたりに焦点をしぼって聞けばよいが、このふたりのよほどのファン以外はどうかな……というアルバムだが、60ページ以上ある超豪華なブックレットがついている。