jon irabagon

「INACTION IS AN ACTION」(IRABBAGAST RECORDS 005)
JOHN IRABAGON

 ジョン・イラバゴンの作品をそうたいして聴いているわけではないのだが、今のところ本作がベストだと思う。ディスクユニオンの紹介文には「テナーサックスソロ」となっていたので購入したのだが、開けてびっくり、なんと全編ソプラニーノソロではないか。しかも、ジャケットにソプラニーノが静物画として大きく描かれているほどニーノにこだわった作品なのだ。うーん、どうしようかな(つまり一瞬返品を考えた)と思ったが、まあ、聴いてみようとCDプレイヤーに入れてスタートボタンを押すと……うぎゃああ、これは凄いやんけ! と呆然としたのであった。まともなソロなんかほとんどなく、マウスピースだけとか、ネックに唇をつけて震わせたりとか、ハーモニクスだかグロウルだかなんだかわからん変なマルチフォニックスとか、どこでどう出してるのかわからんノイズとか……はっきり言ってめちゃくちゃである。たまーにまともな音の出し方の箇所があると、ぎょっとしてしまう……というぐらい全編ほぼほぼわけのわからん奏法の嵐だった。しかも、そのちょこっと出てくるまともな部分がやたらと上手いので、また感動なのである。ずるいよなー、こういうやり方は。ソプラニーノは、本当に演奏するのがむずかしい楽器で、音程とりにくいし、楽器を鳴らすこと自体もむずかしく、プロでもしっかり音程よく朗々と吹けているひとはなかなかいないと思うが、イラバゴンにはそういう意味での根本的な基礎を感じるし、そのうえでここまでめちゃくちゃできるというのはそうとうな曲者だ。イラバゴンはめちゃめちゃ普通の演奏も多く、その上手さがどういう風に出るかは聴いてみなければわからないのだが、本作はまさに私好みの方に出てくれた作品であった。傑作。