joey defrancesco

「LIVE AT THE 5 SPOT」(SONY RECORDS SRCS6801)
JOEY DEFRANCESCO

 録音当時まだ22歳というデフランセスコがレギュラーバンドのトランペット〜アルト〜ギター〜ドラムスというクインテットに、豪華な(ほんと豪華すぎる)ゲストを加えた、めちゃめちゃハッピーなライヴ。1曲目はそのレギュラーバンドでの演奏で、スティットの循環の曲。トランペットもあるともめちゃくちゃうまい(ラッパはハイノート出まくり。アルトのソロは音が太く、フレーズもテクニックもすばらしい)。ギターソロも、ジャズ的かつブルース的でめちゃうまく、心得てる。この演奏がオープニングというのは、これかベーシックだとすると、これから起こるであろうスペシャルなギグはいったいどれだけ凄いことになるのか、という期待を抱かせるに十分である。2曲目はイリノイ・ジャケーをフィーチュアしたバラード。もちろんサブトーンの押し引きを上手く使い、味わい深く見事なのだが、カデンツァも含めてちょっと弱々しい感じもする。というのはこの時期、ジャケーはまだまだバリバリ吹けるはずなのだ。3曲目はオルガントリオによる軽快な「アイ・リメンバー・エイプリル」。最初の16小節のうち半分だけ残して、前半分をべつのリフに置き換えるという斬新なアレンジもすごく気に入りました。盛り上げまくるギターソロはめちゃかっこいい。オルガンソロもフレーズがしっかり聴こえてくる明解なもので、ほんとにすごい。ドラムソロあり。4曲目はグローバー・ワシントン・ジュニア登場で、「ワークソング」。トランペットと2管で、キャノンボール〜ナットの雰囲気を。グローバーというと、メロウな、美しい音色でのブロウを連想するし、実際、そういう演奏がほとんどだが、このライヴでは、太い音でかなり強引なブロウを展開していて、めちゃくちゃかっこいい。つまり、このひとはフュージョンのころはサブトーンでどんなときも演奏していたわけですね(音色を変えたり、音をか細くしたりしてるわけではなく、高音でもサブトーンで音程正しく吹けるテクニックがあるということではないかと思う)。昔の、ファンキージャズ時代のやつを聞いても、ここまで普通の音で吹いてるやつはあんまりないのでは。ギターソロもえぐくて良かった。そのあとのジョーイ・デフランセスコのバップスキャット的ボーカルは右手のフレーズと完璧にユニゾンなのだが、即興なのか事前に練習してるのかわからない。このひとぐらいになると、完璧に弾きながらそれを歌うこともできるだろうし。そのあとのオルガンソロは凄まじいですね。5曲目はヒューストン・パーソン登場で、またしてもバラード。めちゃめちゃうまいし、ブルージーなフレージング、速吹き、ダイナミクス、スケベなベンド、バラードと思えないような盛り上げなどあらゆる点がかっちょいいのだが、やはり1曲だけならバラードではなくミディアム以上の曲にしてほしかったなあ、と思いながら聴いた。でも、そういった思いを払拭できるほどすばらしい黒いバラードになっており、たぶん何トラックかあったパーソン主役の演奏からこの演奏を収録した気持ちもわかる。見事の一言なのでありますよ。エンディングもいい。6曲目はカーク・ウェイラム登場で、なぜか「インプレッションズ」。がんばっている感じは伝わってくるが、たぶんこのひとには合っていない。つづくギターソロも、グラント・グリーンかウエスのような、マイナーブルース的解釈。もっとむちゃくちゃしてもいいのに。オルガンソロはさすがにアグレッシヴでモーダルなフレーズを駆使したものだった。ドラムソロあり。7曲目はまたジャケー登場。二回出てくるのはこのひとだけでさすだ大物スターはちがう。さっきのバラードとちがい、力強く、ノリもばっちりで、ジャケー健在を感じさせる演奏。ジャケー特有の、四角い8分音符のノリも(まあまあ)しっかりしているし、おなじみのフレーズや引用ネタも連発、太い音色もたっぷり聴けるし、ダーティートーンも交えての熱演で、スタンダードを歌い上げる。オルガンソロは切れ味鋭く、しゃれっ気もあり、ダイナミクスもメリハリも十分。こういうベタだけど洒落てるユーモアセンスは最近ではなかなか聴けません。ラストにまたジャケーが出てきてエンディングになり、デフランセスコが思い入れたっぷりに「イリノイ・ジャケー!」と紹介するところが泣ける。ラストは、なんとジャック・マクダフとのバトル。でも、実際は和気藹々の演奏。先発のマクダフは貫録がありすぎて、さらっと終わってしまうのがものたりないぐらいの余裕の演奏。デフランセスコも楽しんで弾いている感じ。そのあとふたりのチェイスになるのだが、これも戯れて感じのノリノリのもので、師弟の激しいバトルとはまるでちがう、微笑ましい雰囲気に終始する。というわけで、いわゆる豪華ゲストを並べたけど、ただのジャムセッションで終わりました、というような安直なものとはまったくちがう、内容の濃いライヴアルバムでした。