出版に至るまで   値段    装幀


出版に至るまで

私にとって最初の著作「潜水医学入門−安全に潜るために」はお陰様をもって好評で、予想以上にたくさんの方から購入していただきました。あとで出版社の方が言われるには、初版が完売されるとは思ってもみなかったそうです(もっとも、扱う分野が分野ですから、販売実数はごく少ない数です)。

ところが、これはたしかにたいへんありがたいことで、不満を漏らす筋では全くないのですが、率直に言って、その後何となく吹っ切れないものが残っているのを感じるようになりました。と言うのは、所詮潜水医学などというものはマイナーなもので、潜水そのものの発展や知識の普及にはほとんど寄与していないことを、折に触れ思い知らされてきたからです。

そのようなところから、もう一度本を書くチャンスがあれば、今度は潜水そのものについて記してみたい、と思うようになりました。当初は潜水を専門としない人にも理解できるようにと、簡単な新書版のようなものを考えていたのですが、簡潔に書くことがいかに困難なことであるか、執筆を始めてみてあらためて自覚させられるようになってしまいました。そこで、この際、開き直って、簡潔に書くことはあきらめ、知っていることをダラダラと記してみようと思い、そうして出来上がったのが本書です。

もっとも、当方は本当にまぬけで、本来ならば夏場以前に出版した方がいいに決まっているのに、ちょっとここでは言えないことも含め、諸般の事情から、月遅れの十日の菊、秋風吹く頃の出版になってしまいました。出版社の方の渋面が目に浮かぶようです。

ところで、知っていることを書く、と言いましたが、いざ書き始めてみると、逆に知らないことが多いことを知るようになり、泥縄式で多くの方々にご協力をお願いすることになってしまいました。しかし、今になって振り返ってみると、せっかく貴重な情報をご提供して下さったのにも拘わらず、十分には活かしきっていないのではないか、間違って記述しているところもあるのではないか、と疑心暗鬼になっている部分があることも事実です。もし、お気づきの点がございましたら、どうかご遠慮なくご指摘の程、お願い申し上げます。

値段

自分の著書の値段について記すなど、はしたない、と思われるかも知れませんが、そう決めつけないでちょっと読んで下さい。

当然のことながら、値段は著者が決めるわけではありません。もちろん、出版社からこのくらいでどうでしょうか、という打診はありますが、こちらからこのくらい、というように言うことはありません。常識的に、出版社の方が赤字にならない範囲でできるだけ安価な本が望ましいわけです。

今回の場合、私の知る範囲では最初は2700円位じゃないかと言われていたのですが、ふたを開けてみると、2300円でした。これには驚きました。私自身も少しですが出版関係の方とおつきあいがあります。その方たちの常識では、2700円でも安い、と感じられていたようです。ある大手出版社出身の方によれば、カラー写真を含む多数の図表を巧みに配置した本の体裁や分野の特殊性を考慮すれば3000円を超えても少しも不思議はない、むしろ普通は3000円以上の定価をつける、とのことでした。それが、当初の2700円からさらに400円も安い2300円で販売する事になりました。皆様ご自身でも、もし手にすることがあれば、他の書籍と比べてみて下さい。いかに安価であるか、実感できると思います。

戦後最大と言われる出版不況下のいまどき、読者の便を図って、けた外れに廉価な本を出版する会社が現に存在することを知り、本当に感銘を受けました。その出版社の名前は、前著と同じく、大修館書店です。やや大げさで僭越な言い方になりますが、出版という行為の持つ意義を日頃からよく認識しておられる賜でしょう。

装幀

今度の本もたいへん丁寧な装幀をして下さって、有り難いこと、と感謝しております。

特に今回は同じ出版社からの2作目、ということで、当方にもそれなりのゆとりがあり、また前回と異なり関東在住ということで、結構深く編集や装幀に関与させていただくことができました。特に表紙の画像などは自分で探し出し、交渉して得たものであるだけに、感慨深いものがあります。

また、デザインそのものもたいへん素晴らしいものを作っていただいた、と思っています。表紙カバーも素敵ですが、その下の、写真を組み合わせて作成したブルー系の単色で幻想的な本体のデザインも落ち着いていてかつモダンです。ここまで凝っている一般出版の書籍はそうはないでしょう。

大修館書店の平井啓允さまをはじめ、関係の方々に深く感謝いたします。

と、ここまで書いてきて、本の実物を見てがっくり。ブルー系だと思っていた本体の色が黄土色!まいっちゃったな。もっとも海にふさわしくない色。もし重版が可能なら、何としても訂正してもらおう。ブルー系だと思ったのは、青焼きだったからだって。

ホームに戻る。
書籍案内に戻る。