「これって推理小説なの?」
うん??
……裏表紙そばの「From Editors」に
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作品そのものは、'97年3月には一応完成されており、その時点で、某社のミステリー小説賞に応募したところ、一次予選さえ通過しなかった、と聞きました。
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とあるし、また謎だらけだし、きっとミステリだろう。
映画CMでは「殺し」の要素に焦点が当てられ過ぎていたが、実は非常に正統派なエンタテインメント小説である。比較しても空しくなるだけだが敢えてやってみると、本書の数文字は角川スニーカとか電撃とかの実に数億冊分に匹敵する(と思う)。味も密度も薄くて飲みやすければそれで良い、ってもんでは全然ないのである。傾向としてはビールもそうだと思うが、小説も濃ければ濃いぃ方がおいしいと思う。
流される血の量は、慥かに半端ではない。スプラッタホラー系の小説が苦にならない人なら読めるかな、と思うくらいに流れる。だから無理には薦めない。
しかし、上級のエスプリが随所で効きまくっている。また、表現も適度にねちっとしている。そして、作者は一切笑いながら書いていない(逆に照れまくってる)。筆はまったく滑っていない。落とすところは確実に落としている。……殺しの要素は単なる人寄せだろう。
大きな音や静寂や、淡い恋や濃いぃ恋、とおりいっぺんの友情や堅い友情、ココロの葛藤や遮断、経験や思い、昨日とか今日とか明日とか、笑みとか涙とか、……そういうのが実によく描かれている。
わたしが特に気に入ったのは、ときおり圧倒的な範囲で響きわたる静寂である。これはちょっと予想できなかったな。
殺戮の舞台では担任の先生が変更になる。その名前が「坂持金発」(裏表紙に書いてあるし、謎解きにもなってないよね?)。わたしあの有名なドラマを一回も見たことなくて、「肩口まで、まっすぐ髪を伸ばしている」という記述を見ても、顔がずっと映画CMに出てる北野武でした。
そういうぼーっとした読み方でも大丈夫、全然楽しめます。
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