***モグの童話2***

チビクリちゃんが、モグの童話の2作目を作ってくれました。


***モグちゃんからのメール***

 モグちゃんが天国に行ってしまってから、もう何ヶ月かがたちました。
モグちゃんはちかちゃんが大切に飼っていたペットのモルモットです。
ちかちゃんはモグちゃんを本当の弟のようにかわいがっていたので、
モグちゃんがお星様になってしまった時は、本当に悲しくて、悲しくて、仕方ありませんでした。
でも、ちかちゃんはある日、天国のモグちゃんの声を聞いたのです。
「ちかちゃん、ぼく、天国でがんばって幸せになるからね。
 だからもう泣かないで。」
お父さんもお母さんも、気のせいだって言うけれど、ちかちゃんには確かに聞こえたのです。
それからちかちゃんは新しいモルモットを迎えました。
クリ、ムク、と名前を付けた二匹は、どことなくモグちゃんに似て、とてもかわいい子達です。
 でも・・・最近ちかちゃんはちょっと心配しています。『モグは本当に天国で幸せにしているのかなあ』って。
だってそれを確かめ様にも確かめる方法なんてないんですから。
「モグ、ちゃんとごはん食べてるかなあ、
 誰かにいじめられたりしていないかなあ、
 天国にも病気なんてあるのかなあ、、、」
もう、心配しだしたらきりがありません。ちかちゃんは最近ちょっと不安なのです。

 そんなちかちゃんの様子をモグちゃんは、『地上が見える魔法の鏡』で、時々見ていました。
「ちかちゃん、ぼくは幸せにしているよ。
 毎日おいしい野菜をいっぱい食べてるよ。
 天国にはいじめっこなんていないよ。」
モグちゃんは鏡の中のちかちゃんに、何度も話しかけていました。でもちかちゃんには思いは届きません。
モグちゃんの眼から涙がぽろりと落ちました。そんなモグちゃんを小さな三匹の子モル達が心配そうに見ています。
 「パパさん、どうしたの?
 何がそんなに悲しいの?」
そうです、モグちゃんはあれからモモちゃんと結婚し、かわいい三匹の子モルのお父さんになったのです。
 「もう一度、もう一度だけ、大好きなちかちゃんと話しができたらなあ、、、」

 少しだけ元気をなくしているモグちゃんの事、神様はちゃんと見ていました。
 「モグ、これはないしょの話しなんじゃがな、一年に一度だけ、地上と交信のできる日があるんじゃ。」
モグちゃんは眼をまん丸にして、神様の話しを聞きました。
 「クリスマス・イブの日、天国から地上に向かって、一つの流れ星が落ちる。
 いいかい?、その時じゃ、その時、地上の大切な人に向かって、お前の伝えたい事を一生懸命祈るんじゃ。
 そうすればお前の気持ちはきっと伝わるはずじゃ・・・」
神様はそう言って、にこっと笑いました。
今日は二十日。あと四日、四日目の夜の流れ星が落ちる時。
モグちゃんはそれから毎日、ドキドキしながら過ごしました。モグちゃんにとっては、長い、長い、四日間でした。

そして今日はクリスマス・イブ。モグちゃん一家は、たんぽぽといちごのケーキでお祝いをし、三匹の子モル達を早めに寝かしつけ、
モグちゃんはモモちゃんと二人で、真っ暗な空をじっと見つめていました。
その時、遠くの空がキラリと輝き、一つの流れ星が長い尾を引いて、地上にゆっくりと落ちていきました。
「ちかちゃん・・・」
モグちゃんとモモちゃんは、二人で一生懸命お祈りしました。

 次の日、ちかちゃんは何か不思議な夢を見て、眼を覚ましました。
遠くの空から流れ星が落ちて来て、誰かがちかちゃんを呼ぶのです。何かなつかしい声・・・。
でもそれが誰なのか、ちかちゃんにはわかりません。
眠い眼をこすり、下に降りていくと、サンタさんからのプレゼントが届いていました。
 「あの声・・・サンタさんだったのかなあ・・・。」
でも何だか違うような・・・。
 朝ごはんをすませ、ちかちゃんはいつものように、パソコンのスイッチを入れました。毎日友達からのメールをチェックするのです。
「えーっと、これはなっちゃんから・・・
 それからこれは・・・」
マウスを握るちかちゃんの手が、ピタッと止まりました。
 『ちかちゃんへ・・・
 差出人、モグ』
ちかちゃんはびっくりして、パソコンの画面をじっと見つめました。
 「モグ?!、 モグからメール?!
 そんなばっかなあ、いったい誰のいたずら?!」
そう言って、『削除』をクリックしようとした時、ちかちゃんはハッと気付いたのです。
あの声・・・昨日見たあの夢の中の声、あれはモグちゃんがいつもちかちゃんを呼ぶ時の声・・・。
 「モグ、モグなの?」
ちかちゃんはドキドキしながら、メールを開きました。

   『メリー・クリスマス。
   ちかちゃん、ぼくは今、とっても幸せです。』

 そのメールには、一枚の写真が付いていました。モグちゃんと、そのとなりにはモモちゃん、そして三匹のかわいい子モル達。
 「モグ、お父さんになったんだね。」
ちかちゃんは一目でそれがモグちゃんの家族だとわかりました。それから窓を開けて、遠くの空に向かって言いました。
 「メリー・クリスマス、モグ。
 メール、ありがとう。」

モグちゃんからのメールは、青い空に吸い込まれるように消えていきました。