平成29年12月15日〜平成30年3月13日は「毒のある植物」展を開催しています。
 
次に紹介するのは展示作品の一例です。

スズラン

 キジカクシ科スズラン属の多年草。ヨーロッパ原産。5月に花盛りとなるため、メイフラワーとも呼ばれる。日本で栽培されているスズランの多くはドイツスズランである。日本に野生するスズランと比べると大型で、花の香りが強い。またスズランの花茎が葉より短いのに比べ、ドイツスズランは花茎が葉と同じ長さかそれ以上に伸びる。花色は白が普通だが桃、紅などもあり、葉に斑(縞)の入った品種もある。

毒の部位:全草、特に根 【猛毒】
毒の成分;強心配糖体のコンバラトキシン 、コンバラマリン 、コンバロシド
症状:吐き気、嘔吐、頭痛、めまい、視覚障害、混乱、血圧低下を起こす。
   そして、血液凝固や心不全に陥り死に至る。
1959年、アメリカの子供がスズランの赤い実を食べて死亡している。
薬効:強心剤、利尿剤

チョウセンアサガオ

 ナス科チョウセンアサガオ属の1年草。熱帯アメリカ原産。
熱帯アジア原産のチョウセンアサガオが江戸時代に薬用のため輸入され栽培されたが、現在はほとんど見られない。現在は近似種のヨウシュチョウセンアサガオが栽培され、荒れ地に野生化している。
茎は高さ1m、よく分枝する。葉は長柄を持ち広卵形で縁は波状。夏から秋にかけ、長さ10〜15cmの漏斗状で先が5裂した白色花を葉腋につける。

毒の部位:全草、特に種子、根 【猛毒】
毒の成分;アトロピン、スコポラミン
症状:散瞳、幻聴、頭痛、めまい。多用量では、意識喪失、呼吸停止によっ   て死に至る。
根をゴボウと間違えたり、種子をゴマと間違えて食べてしまった事故が報告されて   いる。
薬効:麻酔薬、鎮痛、鎮痙、鎮静
花岡青洲が世界で初めて作った麻酔薬「通仙散」の成分の一つとして使われてお    り、1805年に乳がんの摘出手術が行われた。


アンズ(杏)

 バラ科サクラ属の落葉小高木。アフガニスタン、中国を含む中央アジアの山岳地帯原産。
 日本への渡来の時期は明らかでない。一説には奈良時代に渡来したと言われる。平安時代には「唐桃(からもも)」とよばれ、アンズの名で呼ばれるようになったのは江戸時代に入ってからという。
 高さ3〜5m。樹皮は堅く褐色。葉は卵形あるいは広楕円形で先が尖り、基部は丸く葉柄があり互生する。日本での開花は3月中旬から下旬で、モモより早く、ウメの後となる。
 果肉は有機酸や糖質を含み、鉄分などのミネラル分も多い。体を温める性質や緩下作用が知られる。熟す一歩手前のアンズの実を砂糖と共にホワイトリカーに漬けたアンズ酒は、疲労回復に役立つ。

 毒の部位;未熟な実、種子
毒の成分;アミクダリン、遊離シアン
 症状;軽症で頭のふらつき、王と、瞳孔散大。重症になれば、意識障害、痙攣、呼吸障害などが現れて死に至る。
(アンズの種20〜40粒を食べると致死量に達するという計算になる。ただし、中毒がおこるのは、殻をむいて中身を食べたときで、殻を破らずに食べれば中 毒はおこらない。)


スイセン

 ヒガンバナ科スイセン属の多年草。原産地は地中海沿岸。ニホンズイセンはフサザキスイセンの変種である。日本には平安時代に遣唐使が薬草として持ち帰ったとされる。他方、スイセンの自生地が海岸近くに多いことから、中国から海流に乗って漂着したとする説もある。
 花は咲くが実を付けず、地下の鱗茎で増殖している。
 ギリシャ神話では、美少年のナルシスが湖に映った自分の姿に恋いこがれ、それが自分の姿と知った時絶望してその湖に身を投げてしまった。そこからスイセンが生まれた。

毒の部位:全草、特に球根
毒の成分;リコリン 【猛毒】
症状:嘔吐、悪心、下痢、脱水、そして胃腸炎、呼吸不全、昏睡、痙攣、麻痺を起こして   死に至る。
シャンソン歌手の石井好子さんが球根をタマネギと間違えてオムレツにし、中毒を   起こしている。
薬効:去痰、赤痢治療、解熱




キョウチクトウ

 キョウチクトウ科キョウチクトウ属の常緑低木。インドからペルシア地方原産。江戸時代中期に渡来。「夾竹桃」の字を当てるが、葉が竹の葉のように細く、花が桃の花に似ているところから来ている。
 花期は6〜9月と長いが、梅雨時はしぼみ、梅雨が明けたらまた咲き出す。
暑さや乾燥に強いので街路樹として植えるところも多い。
仏典には「歌羅毘羅樹(からびらじゅ)」の名で登場する。インドでは罪人にこの花で作った花輪をかぶせたり、火葬場に送る死者の顔をこの花で覆ったりしたという。イタリアやギリシアでも葬式の花とされている。中国では邪気を払う植物として寺院などに植えられる。

毒の部位:全株、特に葉や枝にある白い汁 【猛毒】
毒の成分;オレアンドリン
症状:下痢、嘔吐、めまい、腹痛、冷や汗。脈拍が乱れ、心臓麻痺で死に至る。
・フランスでキョウチクトウの生枝を串にして肉を焼いて食べたところ  11人中7人が死亡するという中毒事故が報告されている。
・西南戦争の時、官軍の兵隊がこの箸で弁当を食べ、中毒者を出したとい う記録が   ある。
薬効:強心剤、利尿剤