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『エイジ・オヴ・スチーム』
 Age of Steam




本当に素晴らしいゲームだ。それはアメリカ中部を横断する鉄道路線を建設する、奥が深くて、ハマるゲームである。マーティン・ウォレス最高のゲームであり、重病ゲーマーのコレクションに入れておくべき一品。



外見:5(たいへんよくできました!)
内容:5(たいへんよくできました!)

出版社 :ウォーフロッグ社(Warfrog)、ウィンサム・ゲームズ(Winsome Games)
著者  :マーティン・ウォレス(Martin Wallace)
カテゴリ:ボード/作戦級ゲーム

2004年12月08日
プレイテストレビュー:トム・ヴェーゼル(Tom Vasel)

2009年09月27日
翻訳:北原 (sxrth465*at*ybb.ne.jp)
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はじめに

 近日中にマーティン・ウォレスが新しいゲームをデザインするならば、私は確かめもせず、何の疑問も不安もなく、そのゲームを即買うだろう。彼の作るゲーム(『ローズ・オヴ・クリエイション』、『エレクションUSA』)が全て私の好みにあっているだけでなく、戦略面で怖ろしいほど素晴らしいゲームであるという点で、そのほとんどが真の勝利者だからである。

 私をウォレス狂信者へと変えた1つのゲームが『エイジ・オヴ・スチーム』(ウィンサム・ゲームズ&ウォーフロッグ社、2001年、マーティン・ウォレス作)である。私が初めてその箱を手に取って裏を見たとき、ゲーム盤が単調で、つまらなさそうだと思ってプレイするのを後回しにした。

 はじめてセットアップしたとき、テーブル中に散らばった木片を見て打ちのめされた。私の最初のプレイは、私が破産して再スタートとなった後、かなり楽しいものとなり、以来ずっとプレイし続けている。人によって意見は割れるだろうが、3人から6人のプレーヤーで面白くプレイできる、あまり重くないゲームの1つである。

 確かにゲームに習熟している方が強いというのはある。だが一度最初のゲームを経験してしまえば、次から新しい戦略を試そうという魅惑が呼び起こされる。『エイジ・オヴ・スチーム』のゲームで勝利したとき、それは完璧なものとなる。その勝利得点が良い戦略と戦術両方に対する報酬となるように。

 『エイジ・オヴ・スチーム』は私のベストテンに入った。追加の地図が出版され続けていることで、おそらく長い間その地位にとどまることになるだろう。


ゲームの概要

 『エイジ・オヴ・スチーム』の基本ゲームでは、五大湖地域の描かれたアメリカの部分的な地図を使う。地図はヘックスで分割されていて、12の都市と14の町が様々な場所にある。12の都市は、ゲーム盤の西半分と東半分という2つのグループに分割されており、各都市には1から6までの番号が振られ、紫、青、赤、黄のうちのどれか一色である。

 各プレーヤーは自分の選んだ色の円盤を一山取り、2枚のプレイヤー補助用盤の上に配置する。1つのトークンは収入トラックの“0”の欄に置き、別のを発行株式トラックの“2”の欄に置く。さらに別のトークンをエンジン・トラックの“1”の欄に置き、また1つをアクション選択チャートの上側におく。最後の1つはプレイ順トラックにランダムに置いて、第1ターンの始まりの順番を決定する。

 続いてお金トークンをゲーム盤の近くに置き、各プレーヤーは10ドルを受け取る。六角形の線路タイルを箱の縁に置き、それから商品キューブを置く。5つの異なる色(紫、青、赤、黄、黒)(*1)の96個の商品キューブをカップまたは袋に入れ、各都市に2つずつ(ピッツバーグとフィーリングには3つ)ランダムに置いていく。各都市にはプレーヤー補助盤に対応した、3つのスペースを持つ欄(商品展示場)があるが、これらのスペースそれぞれに商品キューブを置く。

 “A”から“H”までの記号のついた10枚の新しい都市タイル(全部で5色)をゲーム盤の近くに置く。これらの都市にもまた、プレーヤー補助盤に対応する2つのスペースを持つ欄があり、そこにランダムに商品キューブを置く。そしてターンマーカーをスタート位置に置き、こうして第1ターンを始める準備が完了する。

 全てのプレーヤーが参加する各ターンには10のフェイズがある。第1のフェイズは「株式発行フェイズ」である。ここでプレーヤーは、ターン順に、もっと株式を発行するかどうかを決める。プレーヤーが発行する各株式につき、銀行から5ドルを受け取り、株式発行トラックのトークンを1つ進める。

 それからプレーヤーは競りシークエンスでプレイ順を決める。最初のプレーヤーは1ドル入札するか、ターン順番トラックの最後のスペースに自分のトークンを動かすか選ばなければならない。続くプレーヤーそれぞれが、競り値を増やすか、トークンをトラック上のその時点での一番後ろに動かすかを選択する。前のターンに「ターン順パス」アクションを選んだプレーヤーは、プレーヤー順番トラックにトークンを置くことはしないで、オークションを1回パスできる。上位2名の入札者は、最終的に競った金額全てを銀行に支払わなければならない。最も競り値が低かった入札者は何も支払わなくて良い。そして他の入札者は銀行に競り値の半分を支払う。

 それからプレーヤーは、ターン順にしたがって、7つの異なるアクションから1つを選択する。選べるアクションとは、「第1移動」、「第1建設」、「技師」、「蒸気機関」、「都市化」、「生産」、そして「ターン順パス」である。「蒸気機関」アクション(プレーヤーはエンジントラックのトークンを1つ即座に進める)を除く、これらのアクションそれぞれは、特定のフェイズで実行される。

 第4のフェイズは「建設フェイズ」である。ここでプレーヤーは路線タイルをゲーム盤上に建設する。「第1建設」アクションを選んだプレーヤーが最初に実行する。そうでなければ、全てのプレーヤーがターン順に従って建設する。各プレーヤーはゲーム盤上に最大3つの路線タイルを置くことが出来る。例外は「技師」アクションを選んだプレーヤーで、4つの路線タイルを置くことが許されている。「都市化」アクションを選んだプレーヤーは、使われていない都市タイルを選択し、ゲーム盤上のあらゆる町の場所にそれを置いて、町を都市にアップグレードし、その場所にある路線タイルを置き換えることが出来る。

 路線タイルを建設するには以下に示すいくつかのルールがある。

 次のフェイズは「商品移動フェイズ」である。「第1移動」アクションを選んだプレーヤーからスタートし(どのフェイズでもそうする)、それからターン順に、各プレーヤーは1つの商品キューブを動かすか、エンジン・トラックで最大移動力を1上げるか、どちらかを選ぶ。商品は同じ色の都市にのみ運搬できる。都市または町に接続している路線それぞれを1リンクと数え、プレーヤーはエンジン・トラックでトークンの置かれた数に等しいリンク数分、商品キューブを動かすことができる。

 商品キューブが通過した自分の色のリンク毎に、プレーヤーは収入トラックを1つ動かす。もし商品キューブが他のプレーヤーの路線を通過したら、それらの収入もまた通過したリンク毎に1増える。一度全てのプレーヤーが商品を運搬するか、エンジン・トラックを上昇させるか、パスしたら、もう1回同じことを繰り返す。

 次の2つのフェイズ、「収入フェイズ」と「支出フェイズ」は、同時に実行することが出来る。各プレーヤーは収入トラックに等しい額のお金を受け取る。だがしかし、発行株式とエンジン・トラック上にあるトークンのリンク数の合計に等しい額のお金を銀行に支払わなければならない。プレーヤーが銀行に支払うための十分なお金を持っていなければ、1ドルにつき収入トラックのマーカーを1減らさなければならない。収入トラックが0ドルを下回れば破産となり、プレーヤーはゲームから脱落する。

 「収入減少フェイズ」では、もし収入が11以上あれば、収入トラック上にあるトークンを一定数後ろに戻す。後ろに戻す数は、トークンがトラック上でどの位置にあるかによって決定される。それから「商品増加フェイズ」である。「生産」アクションを選んだプレーヤーは、2つの商品キューブをランダムに引き、商品展示場の空のボックスのいずれかにそれらを置くことが出来る。西部都市のために4つのサイコロを、それから東部都市のために4つのサイコロを振る。サイコロの出目と一致した各都市は、都市の商品展示場にある列の先頭にある商品を都市の上に置く。同じ都市の上に複数の商品キューブが置かれるかもしれない。また商品展示場に商品キューブが無い都市はサイコロの結果を無視する。新しい都市の列はいくつかの数字に関して一列に並んでおり、その数字が出れば商品キューブをそれらの都市にも置くことになる。

 最後のフェイズは「ターンマーカー移動フェイズ」で、ターンマーカーを誰の目にも明らかなように1スペース動かす。もし事前に決められたゲーム終了のスペース(プレーヤー人数によって異なる)に到達したら、ゲームは次のターンの後に終了する。

 ゲームが終了したら、プレーヤーは獲得した勝利ポイントを合計する。

もっとも獲得ポイントの高いプレーヤーが勝利者だ!


コメント

 ゲームについていくつかコメントを。

コンポーネント

 はじめに、ゲーム盤に感動することはほとんどなかった、と書いた。だがゲームをプレイした後で見ると、それが路線タイルを置き、その状態を簡単に見ることが出来るほど単純化されているという事実を嬉しく感じた。そしてまた、一度全ての路線タイルが商品キューブやサイコロとともにゲーム盤上に置かれたとき、実際かっこよく見えるのだ。五大湖地方の地図はとてもよく出来ており、あなたのよく知っている都市を結ぶのは楽しい。なお、アメリカ以外に住んでいる人々のために、多くの他国版の地図が提供されている。

 路線タイルは丁度良い厚さで、ゲーム盤上で見るのにとても簡潔である。お金はおはじき玉とは異なるサイズ(多くのゲームでは一般的なようだ)であり、トークンや商品キューブは丁度良いサイズで扱い易い。ゲームには多くの部品があるが、箱に入れたときに全てがきっちりと収まる。さらにエキスパンション用のゲーム盤もまた箱に収めることが出来た。プレーヤー補助部品は印象的で、秩序ある格好で情報の価値を保持するのに一役買っている。ウォーフロッグ社はコンポーネントについて目立つ仕事をしており、確かにゲームの価格に見合うものとなっている。

ちょっとした問題点

 ウォーフロッグ社はゲームの間違いで知られている。実際には極めて少ないのだが、なぜか人々はよくそう言うのだ。『エイジ・オヴ・スチーム』における問題は、デトロイトが正確に番号付けされてないことである。これは、無視したり修正したりするのは至極簡単である。ウォーフロッグ社は問題を解決するためにステッカーを出した。これはインターネットからダウンロードすることも出来る。

 また、商品と都市の色がプレーヤーの色と同じである。経験を積んだプレーヤーならこれはそんなに大きな問題ではないが、初心者は混乱するかもしれない(とは言え11もの異なる色を作るにはコストがかかり過ぎる)。これらの小さな問題を踏まえた上でも、私は本ゲームに、これらの問題がいかに些細であるかを示すべく、あえて満点の評価を与える。

ルール

 私はいつもならルールのフォーマットでウォーフロッグ社を批判するだろうが、何しろ『エイジ・オヴ・スチーム』のルールは同社における最高傑作である。イラストと多くの例が載ったうまくフォーマットされている7ページのルールブックには、全てが詳細にレイアウトされており、だれでも簡単にゲームを理解出来るようになっている。ゲームそのものについて学ぶ事は一仕事であり、しばしば教える人がどのくらいうまいかにかかっている。だが、一度理解すれば、全てはかなりスムーズに進むのだ。

習熟度による差

 新しいプレーヤーは、初めてのゲームで決定的に不利になる。より経験豊かなプレーヤーが、何が良い決断であるかを理解するのを助けるべく助言したとしても、初めてのゲームで新しいプレーヤーが勝利するのを見るた経験はほとんど無い。同時に、「富める者はより富む」問題を止める素晴らしい工夫(すなわち「収入減少フェイズ」)があるため、ゲームはたいてい接戦となる。負けた者でさえ楽しく時を過ごし、負けたことを気に病むことも無く。

 私はいつも新しいプレーヤーに、破産について注意を促す(私自身がやってしまったので神経質になっている)が、私は今まで見てきたうちで、プレーヤーが「財政が火の車である」と理解している限り、そうした事態はほとんど起こらない。

財政

 私が本ゲームを愛するひとつの理由は、最初に資金繰りが厳しいところである。もしあるプレーヤーが最初の2ターンで採算が取れるようになれば、普通うっとりしてしまう。自分が成功したと判るからだ。ゲーム終盤に近付いたときにのみプレーヤーは多くの現金を手にすることが出来る。どれだけ多くの株式を発行するか、そしていつそれらを発行するのかを知ることは重要である。負債を低く抑えている限り、ゲームの序盤にごくわずかのお金しかないプレーヤーであってもまだ成功するチャンスは残されている。

戦略

 ゲームにおける戦略について書かれた記事はいろいろある。だが、私はそのほとんどを読んでない。ゲームにおける私自身の戦略を組み立てるのが好きだから。だが『エイジ・オヴ・スチーム』(私が高い確率で勝利できる数少ないゲームの1つ)は、どのようにしてあなたの戦略を実現するか正確に把握することが出来るくらいによくデザインされている。もちろん、戦略は何人のプレーヤーでプレイするかによってかなり変化する。最適なプレーヤー数は4人であると思うのだが、何人のプレーヤーでプレイしようと私はこのゲームが好きだ。なお、2人プレーヤーのバリアントルールがあると聞いたことがあるが、私はそれに興味を持たない。私はマルチプレーヤーゲームとして本作が好きなのである。

オモシロ要素と相互作用

 このゲームは、時々頭をかきむしるほど戦略的になることもあるが、一陣の清風である。これには、プレーヤーの相互作用が果たす役割が大きい。かなり緊迫するオークションから始まり、スペシャルアクションの選択(「やりやがったな! あんたは先に都市化アクションを選んだが、オレの戦略はまさにそれを前提にしてたんだぞ」)や、あなたの路線で他のプレーヤーを邪魔したり、他のプレーヤーの路線を使って自分の商品を運んだり、他のプレーヤーの前に商品キューブを運んだり、かなりの量の相互作用が本ゲームには含まれており、損をしないためには、他の全てのプレーヤーの動向にいつも注意していなければならない。

 私は、ほんの数ポイント差で勝ったり負けたりした、いくつかのゲームをプレイしてきて思うのだが、1つの些細なミスのために、後で大きなツケを支払う羽目になるだろう。勝つ楽しみと負ける楽しみ(負ける楽しみがあるゲームは面白い)の両方が、このゲームに私を惹きつけるのである。

拡張

 ウィンサム社とウォーフロッグ社の両方からいくつかの拡張版の地図が出ており、非公式の地図もオンラインで見つけることが出来る。異なるレイアウトと特別ルールを持つこれらの地図は、ゲームに大きな多様性を与える。私はオリジナルゲームに入っている地図で満足しているが、追加の地図はゲームをより楽しいものにしている。現在、私のお気に入りは朝鮮半島である。


まとめ

 これはとてもとても素晴らしいゲームであり、可能なら手に入れるのを躊躇すべきではない。確かにお手軽なゲームではないし、全てのプレーヤーが機知と戦術のバランスを取るよう心掛けるべきである一品だが、それは楽しくてお互いの交流を促進するものである。ゲーム盤上に置かれたあなたの路線を目にする体験は誰にもすごい満足感を与えるし、テーマは実際にゲームシステムによく合致している。

 私は『エイジ・オヴ・スチーム』をプレイするまで、いわゆる線路引きゲームを面白いと思ったことがない。しかし、このゲームはもっとプレイしたいという私の熱望を実際にかき立てたし、未だにこのゲームと同じくらい面白くプレイしたものは無い。このゲームはマーティン・ウォレスの傑作であり、確かにここ10年で最高のゲームの1つである。もしあなたが良い戦略ゲームを好むなら、この一品は買いである。ガッカリすることはないだろう!


トム・ヴェーゼル

本物の漢は、ボードゲームをプレイする
http://www.thedicetower.com



注釈

*1:5つの異なる色
 原文では5色と書きながら4色しか実例が書いてなかったので書き足しました。

*2:自分のディスク
 翻訳者がプレイしたゲームで所有を示すために線路に置くのは、ディスクではなく、機関車のミニチュアでした。


この記事は米国RPGnetの許可に基づき翻訳されたものです。日本語訳については当サイト管理者ben*at*scoopsrpg.comまたは翻訳者まで。記事の内容については本人へ英語で連絡してください。
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