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『ウォー・オブ・ザ・リング』
 War of the Ring




かっこよくて簡潔なミニチュア・ウォーゲームだが、混乱していたり不明瞭だったりする2、3のルールのおかげで台無しになっている面もある。



外見:4(いい仕事してます)
内容:4(充実)

出版社 :ゲームズ・ワークショップ社(Games Workshop)
系列  :ロード・オブ・ザ・リング・ストラテジー・バトル・ゲーム
著者  :マテュー・ワード(Matthew Ward)、ジェレミィ・ヴェトック(Jeremy Vetock)
カテゴリ:ボード/戦術ゲーム
価格  :57.75ドル
ページ数:328ページ
出版  :2009年
ISBN:978-1-84154-922-4

2009年07月08日
寸評:Dドッグウッド(DDogwood)

2010年02月20日
翻訳:北原 (sxrth465*at*ybb.ne.jp)
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はじめに

 ゲームズワークショップ社が、かなりワクワクさせられる最新のウォーゲームを作り上げた。それが『ウォー・オブ・ザ・リング』である。ファンタジー・フライト・ゲームズ社のボードゲームと同じ名前なので混乱するが、こちらの『ウォー・オブ・ザ・リング』は、GW社の『ロード・オブ・ザ・リング・ストラテジー・バトル・ゲーム』と同一のミニチュアを使用する、集団戦闘のルールブックだ。

見た目

 『ウォー・オブ・ザ・リング』は、ミニチュアバトルのきれいなフルカラー写真やニュー・ライン・シネマの映画のスチール写真で埋められた、分厚い光沢紙のハードカバー本として入手可能だ。それは典型的な高品質のゲームズワークショップ製品であることを示している。表紙はがっしりしており、装丁は仕上がりも良いようだ。少なくともGW社のゲームにおいて、1つの目立った特徴は本の完成度である

 本書は、ゲームにおける全てのルールや、プレーヤーが今までGW社の『ロード・オブ・ザ・リング』製品でリリースしてきたほぼ全てのミニチュアを使うことの出来る完全なアーミーリスト、そしてとても強力なホビーセクションとシナリオセクションとを含んでいる。本書はまた、実際にどういうゲームプレイになるか感覚的によく判るように、数多くのバトル・レポートを掲載している。

セクション1:ルール

 本書のおよそ1/4を占める第1セクションは、ゲームのルールに費やされている。基本ゲームは、『ロード・オブ・ザ・リング・ストラテジー・バトル・ゲーム』と『ウォーマスター』(GW社の10mmミニチュアを使ったバトル・ゲーム)の中間物のようにも見える。一方がターン全てを行動した後にもう一方がターンを行うという、GW社の他のゲームにおける、より伝統的なターン・システムの代わりに、『ウォー・オブ・ザ・リング』では、『ストラテジー・バトル・ゲーム』と同様の、分割ターン・シークエンスを使う。

 ゲームは4つのフェイズに分かれている。移動フェイズ、射撃フェイズ、突撃フェイズ、戦闘フェイズである。各ターンの最初に、プレーヤーはターンの優先権を決めるためにサイコロを振る。優先権を得たプレーヤーは、そのターンの全てのフェイズで最初に動くか最後に動くかを好きなように選ぶ。これはおもしろい戦術的な意志決定の始まりである。最初に動いて、敵にあなたのアクションに反応することを強いるのがいいか、それとも最後に動いて(おそらく混乱している)敵のアクションへ対応するチャンスを得るのがいいのか。どちらの選択も、何が起こるか次第で、ゲームを通して様々な展開を生み出すことだろう。

 ゲームにおける基本単位は、1つ以上のトループの「カンパニー」から構成される「フォーメーション」である。一般的に言うと、1つのカンパニーは、8個のミニチュア(歩兵の場合)または2個のミニチュア(騎兵の場合)のどちらかで構成される、1つのムーヴメント・トレイに乗った集団である。

 ウォーマシンや、旅の仲間や、白の議会のような、いくつかの特殊なフォーメーションでは、上記とはミニチュアの数が異なっている。そして特別なサイズのトレイを使う。一方、ケイヴ・トロウルやエントのようなモンスターは、独立したミニチュアとして扱う。フォーメーションは最低1個のカンパニーより成り、トループのタイプによって最大9個カンパニーまでになる。

 どのようにしてカンパニー同士がフォーメーションを構成するかについて、いくつかのかなり簡単なルールがある。プレーヤーはいつでも距離を測ることが出来る。この事実は、多くのミニチュア・ゲームにおける“距離を推測するゲーム”が好きじゃないプレーヤーをもワクワクさせる。『ウォー・オブ・ザ・リング』には、後に触れるが、ゲームが機械的な展開をしないようにする、いくつかのルールがある。カンパニーは、『ロード・オブ・ザ・リング・ストラテジー・バトル・ゲーム』にかなり似た能力値を使う。

 移動フェイズは、ウォーゲームとしては驚くほどシンプルでエレガントである。プレーヤーはフォーメーションを選び、それぞれのカンパニーを手にとって、動かしたいところに動かす。カンパニーのどれも移動力(一般的には歩兵で6インチ、騎兵で10〜12インチ)を超えて移動することは出来ない。ちなみに「ミュージシャン」はフォーメーション内の全てのカンパニーに追加の移動力を与える、価値あるグレードアップオプションとなっている。

 1つのフォーメーション内の全てのカンパニーは、別のフォーメーションを動かす前に動かさなければならず、またフォーメーション内のカンパニーはお互いに通過出来る。ただし、別のフォーメーションは通過出来ない。このシステムは、旋回や方向転換や再編成等々によって発生する奇妙な距離の測り方を巧みに打ち消している。移動困難な地形や移動の開始時に6インチ内にいる敵は、フォーメーションの移動力を半分に減らす。また他に、飛行や、非統制状態フォーメーション等の特殊ルールが2、3ある。

 移動フェイズの間、フォーメーションは他のフォーメーションと接触してはならない。それは、後で述べるが、突撃フェイズで発生する。本書で解答の出ていない、ルール上の1つの小さな問題は、カンパニーが自由にその正面方向を反転できるかどうかである。あるプレーヤーは移動ルールでカンパニーは自由に180度Uターンできると解釈しているが、別のプレイヤーは前方左の角から後方右の角へ移動しなければなら ないので、移動力のうち4インチくらいかかると信じている等々。双方のプレーヤーが同じ解釈で遊ぶ限りゲームはうまくいくが、ルールが疑問に対する解答を出していないというのはストレスが溜まる。

 射撃フェイズの間、プレーヤーは遠距離攻撃を行うフォーメーションを選び、目標となるフォーメーションを選び、視線が通っているかどうかを決定し、攻撃するカンパニーそれぞれの距離を測り、命中のためのサイコロを振る。以前のフェイズで移動力の半分を超えて移動していた場合、カンパニーは通常、射撃出来ない。本ゲームの素晴らしい特徴の1つは、命中、負傷、そして鎧による防護を、攻撃側の攻撃力と目標の防御力を比較して、全て1回のサイコロで解決することである。これは多くのGW社ゲームのビョーキとなっている「バケツいっぱいのサイコロを振る」シンドロームを減らしはするが、無くしはしない。

 各カンパニーは一般的にカンパニー内のモデル数(歩兵で8、騎兵で2)に等しい数の攻撃を行う。それに射撃力によるボーナスが加わる。「支援」カンパニー、すなわち目標までの視線が通らないフォーメーションにいるカンパニーは、フォーメーションの合計攻撃回数に追加のサイコロをそれぞれ加える。これは正面にいる戦列の頭越しに射撃する兵士達を表現している。

 悩ましいことに、1つのカンパニーが直接いくつの追加攻撃を得られるのか、射撃値は教えてくれない。(5−射撃値)に等しい攻撃回数を保証しているだけである。これはマイナスにも成り得るのに。なぜシンプルに射撃値がカンパニーの受け取れる追加射撃サイコロ数にしなかったのか、また、なぜ戦闘能力における攻撃回数のようにできなかったのかと思う。実際、このゲームにおいて射撃回数を扱う能力値は全く無い。これは『ストラテジー・バトル・ゲーム』と一線を画するためになされたものだと推測するが、そもそもルールが基本的に違うため、これにどういう価値があるのか悩む。

 それはさておき、古典的なGW社の「ダメージロール表」にかなり似た表を使うことで、全ての射撃攻撃は潜在的に“命中”を引き起こす可能性を持つ。カンパニーは、殺すまでにいくつの命中が必要かを決める「損害耐久力」と呼ばれる能力値を持っている。これは一般に歩兵で1、騎兵で2である。もしも歩兵や騎兵のフォーメーションが射撃に十分なモデルを失ったら、少し後退する。モンスターも後退するが、他の種類のカンパニーとは異なる損害に悩まされる。モンスターが損害耐久度まで命中を受ける度に、負傷カウンター(表の上で将来サイコロの目に加えるモノ)をモンスターに蓄積するか、すっぱりモンスターを殺してしまうかのどちらかの結果となる、「まだ死なねぇ表」でサイコロを振る。これは、続くターンでそれらのモンスターはより多くの傷に耐えることが出来るという、通常の兵士達よりもモンスターをタフにする素敵な方法である。

 いくつかのモンスターは他のものよりもさらに殺しにくく、「まだまだ死なねぇ表」、「とんでもなく死なねぇ表」、「ばかげているくらい死なねぇ表」を使う。これらは「まだ死なねぇ表」でサイコロにペナルティを加えるか、別の表を使うか、どちらかで表現される。

 繰り返しになるが、ここで出てくる2つのルールについてはいくつか疑問がある。例を挙げると、射撃によってフォーメーションは防御地形から追い払われるのかどうか、ルールでは明確にしていない。出来ないように思われるが、ルールでは完全に明確に記述されてないのだ。また、何人かのヒーローは、敵の損害耐久度を無視して、全ての命中が損害になるようになっているが、これは明らかに、ある種のモンスターを殺すのか、「まだ死なねぇ表」でもっとサイコロを振るだけなのかという口論が発生することを想定しているのかどうか分からない。大きなルール上の問題は無いが、ごく簡単に1つか2つの文で簡単に明確に規定できたはずだし、またそれらの問題がテストプレイ中に全く出てこなかったという事実はオドロキである。

 突撃フェイズはフォーメーションが接敵するときである。また繰り返すが、プレーヤーは1つのフォーメーションを指定し、フォーメーションから“一番槍”カンパニーを選び、フォーメーションが目標に突撃できるかどうかを決定する。前のフェイズで射撃したフォーメーションは通常、突撃できない。突撃距離はd6サイコロを振り、次の数字を加えて決定する。歩兵2インチ、モンスター4インチ、騎兵6インチ、空飛ぶモンスター8インチ。サイコロで1の目が出たら突撃は失敗で、6の目が出たら突撃しているフォーメーションに攻撃回数の追加ボーナスが与えられる。変化する突撃距離は、いつでも自由に距離を測れるようにしたゲームで、注意深く距離を測っても、フォーメーションが突撃に成功するかどうかを保証しないための1つの方法である。

 ユニットの軍旗は、ほとんどのフォーメーションにおいてかなり価値のあるもので、フォーメーションに突撃サイコロの振り直しを可能にする。突撃のルールは全ての起こりうるシチュエーションをカバーしていない(将来的にもしないだろう)し、突撃の際、プレーヤーは基本的に強情だったり、ルール固執タイプであるべきではないと説明している「ゲームの精神」のサイドバーがあり、また1つのフォーメーションにカンパニーをどのようにして組み込むかを決めるための2、3のルールが併記されている。

 戦闘フェイズでは近接戦闘を解決する。優先権をもつプレーヤーが戦闘を解決する順番を決定する。カンパニーはタイプによって決められた順番で攻撃する。モンスターは最初に攻撃し、次に騎兵、最後に歩兵が攻撃する。他にルール上での困惑する点は、戦闘セクションには攻撃順序の重要性を説明するのに十分な例が無い点である。最初に攻撃する主な利点は支援カンパニーを使い果たすことにあるようだが、幾人かのプレーヤーは、これらの攻撃はベースを接触させているカンパニーによってなされる攻撃の回数を減らすものだと信じている。これは『ウォーハンマー・ファンタジー・バトル』の戦闘方法を基にした誤解のようだが、ルールブックにおける例はどちらの解釈についても明確なサポートを提供していない。これはかなり大きなルールの問題であり、明らかにモンスター、騎兵、そして歩兵の相対的な価値にインパクトを与える。FAQにおいて早急に問題が解決されることを望むものである。

 命中と負傷は基本的に射撃フェイズにおけるものと同じやり方で扱われる。突撃しているカンパニーはタイプを基本にして攻撃回数のボーナスを受け取る。とりわけ、騎兵は突撃されるときよりも突撃する方がかなり強力である。敵よりも高い戦闘値をもつカンパニーもまた攻撃回数にボーナスを得るし、側面や背面から攻撃されているカンパニーは攻撃回数へのペナルティに悩むことになる。

 それぞれの戦闘の勝利者は『ウォーハンマー・ファンタジー・バトル』とほぼ同じやり方で決まる。最も損害を与えた方が勝利し、敗者はパニック・テストを行わねばならない。モンスターはそれぞれがたったの1損害としかカウントしないし、しかもカウントされるのは実際に殺された場合だけである。つまりモンスターは、仲間の歩兵や騎兵が同じ戦闘に参加していない限り、実際パニック・テストをすることは決して無い。敗北した側のフォーメーションそれぞれが1個サイコロを振る。一般的に、フォーメーションは非統制状態、すなわち戦闘で役に立たなくなり、機動でとれるオプションが少なくなり、潜在的に追加打撃を受ける状態になる。

 フォーメーションは、非統制状態から回復するために、次の移動アクションの開始時に勇気テストを行わなければならない。いくつかのケースでは、フォーメーションは戦闘から逃走する代わりにその場に留まって戦闘に敗北した追加ペナルティを受けないかもしれない。いくつかの兵士は、よりその場に留まり易くなる特別ルールを持っている。

 戦闘フェイズの終わりに全てのフォーメーションはお互いわずかに離れているので、Pウォー・オブ・ザ・リング』では、他のゲームで発生する複数ラウンドにわたる戦闘は決して発生しない。プレイヤーは時々、磨り減ったフォーメーションを戦闘から離脱させたり、援軍を持ってきたり、あるいは無慈悲にも非統制状態のフォーメーションに突撃して虐殺したりする機会を得るだろう。

 ルール・セクションの最後に、『ウォー・オブ・ザ・リング』は武器や盾やヒーローについての特別ルールを載せている。装備はイイ仕事をしており、かなりシンプルなルールで信じるに足る効果を発揮する。例えば、盾は正面からの攻撃に対してフォーメーションの防御値へボーナスを与えるし、歩兵に対して騎兵よりもかなり大きなボーナスを与える。両手持ちの武器は命中にボーナスを与える(より損害を与え易くする)が、戦闘値にペナルティを受ける(ボーナス攻撃回数を減らしたり、より熟練した敵に追加攻撃回数ボーナスを与える)。パイクはカンパニーの戦闘値にボーナスを与え、敵の攻撃回数を減らすかパイク兵に追加攻撃回数を与え、パイク兵と正面から突撃してきた者の両方から突撃時のボーナスを取り除く。これは、複雑な特殊ルールを使うこと無しに、パイクを歩兵、騎兵、そしてモンスターに対して有効な武器にしている。

 同様に、さまざまなフォーメーションで使われる特殊ルールがあるが、これらの大半は全くの新しい能力値を加える代わりに、単に基本ルールを修正するだけである。例えば、「馬の匠」ルールは、射撃武器で武装した騎兵は全移動力を使って移動した場合でも射撃でき、また射撃したのと同じターンに突撃出来るというルールである。「道案内」のルールは、ある種の移動困難な地形を移動の間平地として扱うことが出来るルールである。

 ヒーローや伝説の英雄はゲームに奥深い効果を与える。最も顕著なものは勇気ポイントを使ったときの能力である。ヒーローは、1かそれ以上の勇気ポイントを持ち、それはヒーローまたはヒーローのいるフォーメーションで行われるあらゆるサイコロの目を1勇気ポイントを消費するごとに±1修正するために使われる。例えば、もしもフォーメーションが突撃時に1の目を出してしまったら、ヒーローは勇気ポイントを1ポイント支払って、これを2に修正できるので、フォーメーションは自動的に突撃に失敗することは無くなる。

 勇気ポイントは「ヒロイック・アクション」を行ったり、それぞれが持っている「伝説の英雄」アクションのために使うことも出来る。「ヒロイック・アクション」には1勇気ポイントがかかり、優先権を持っているかどうかに関わり無く、通常、あるフェイズでヒーローのフォーメーションが一番最初に行動出来る。ヒーローはまた、敵のヒーローと直接戦闘する、英雄的な一騎討ちを宣言出来るため、残りの戦闘が解決される前に敵のヒーローを倒すことが可能である。「伝説の英雄」アクションには、フォーメーションの攻撃力を増やしたり、ボーナス攻撃回数を与えたりというような、もっとすごい効果がある。

 ヒーローや伝説の英雄はまた、リーダーシップの技量を表現するために、合流しているカンパニーは彼らの戦闘値や勇気値を使える。ヒーローの悩ましい特徴として、彼らの多くが決して使うことの出来ない特別ルールを持っているということがある。というのも、ヒーローの特殊ルールは決して彼のカンパニーやフォーメーションに与えられないからだ。例えば、ラーツは「道案内」ルールを持っているが、ルールに書いてあるように、かれは実際にはこのルールを使うことは決してない。なんであれ、彼はユニットと同じ方法で動くからである。

 『ウォー・オブ・ザ・リング』において、ヒーローはかなり重要であると幾人かのプレーヤーは感じているが、私は、それらの能力は、『ウォーハンマー・ファンタジー・バトル』や『ウォーハンマー40K』、そして『ロード・オブ・ザ・リング・ストラテジー・バトル・ゲーム』における戦闘モンスターというよりも、一般的に指揮力と統制力に焦点が当てられていると思う。戦闘における偉大な将軍の主な力は個人的な戦闘技能(あるいは彼の個人的なボディガード技能)にあるという考えには全く賛成じゃない。ヒーローは戦闘においてかなりのインパクトがあるが、それを明確に感じられるのが兵士達を率いる能力であるという、『ウォー・オブ・ザ・リング』のようなアプローチが私は好きだ。

 魔法もまた『ウォー・オブ・ザ・リング』において潜在的に強力である。だが同じく、大半の呪文はゲームに直接的なインパクトを持つよりむしろ、対象の能力値を修正するものである。2、3の呪文は直接ダメージを与えるが、それらは一般的に射撃による攻撃として扱われる。これでは、魔法使いキャラクターがファイアボールを撃つことで敵を傷つける(『ホビットの冒険』における)トールキンの1戦闘を思い出すだけで、ちっともドキドキしない。今のところ、ゲームバランスを変えてしまうことが無い程度に呪文の力は制限されている。それが魔法として正しい場所にあるように思える。

 ルール・セクションはバトル用の2、3の基本的な初期配置で終わっている。シナリオは3つある。1つは死ぬまで戦うという古典的なバトルであるが、残りの2つは目標を奪取して確保することに焦点が当てられている。目標の支配をゲームの最後まで争う場合、騎兵はモンスターに勝ち、歩兵はその騎兵に勝つというのは、いい感じである。これは、ルールそのものの難易度を上げること無く、別の戦術的な難易度の層を加えることで、モンスターの優れた戦闘能力を小さくして歩兵に価値を追加するものである。また3つの基本的な初期配置がある。テーブルの長い端寄りの配置、テーブルの短い端寄りの配置、そしてゲームの進行を通して異なるテーブルの端にランダムに到着する配置である。シナリオと初期配置はとりわけ革新的というわけではないが、他のゲームの標準的な配置に比べるといくらか多様性に富んでいる。

中つ国のアーミー

 ルールブックのほぼ半分を占めている第2のセクションは、アーミー・リストから成っている。10種類(後述)の異なるアーミー・リスト(5つが善の軍勢で5つが悪の軍勢)があり、それぞれのアーミーが「一般フォーメーション」、「レア・フォーメーション」、「伝説のフォーメーション」、そして「伝説の英雄」達を含む。アーミー編成ルールはかなりストレートである。それぞれのアーミーは少なくとも1つの一般フォーメーションと少なくとも1つの伝説のフォーメーションか1人の伝説の英雄が無くてはならない。

 アーミーは一般フォーメーションよりも多くのレア・フォーメーションを入れてはならず、一般のカンパニーよりも多くのレアなカンパニーを入れてはならない。アーミーはポイント許容量と同じだけ多くの伝説のフォーメーションと伝説の英雄を入れることが出来るが、それぞれの伝説のフォーメーションや伝説の英雄は“1つだけ”しか入れることは出来ない。

 ある伝説の英雄や伝説のフォーメーションは、お互いに相容れない。例えば、あるアーミーが指輪の仲間を含んでいると、旅の仲間のメンバーのいる伝説のフォーメーションや伝説の英雄を入れることは出来ない。なお、メリーとピピンは奇妙な例外だが、私は見落としだと思う。アーミーはまた、善の軍勢は善のアーミー・リストから、悪の軍勢は悪のアーミー・リストから、合計ポイントの25%を同盟勢力にあるものを加えることが出来る。これらの同盟勢力は残りのアーミーの全ての制限を受ける。つまり、アーミー全体として一般フォーメーションとカンパニーがレアのそれよりも多い限り、同盟勢力の全てをレア・フォーメーションに出来るのである。

 アーミーは幸運ポイントや宿命ポイントも選択できる(善や悪の軍勢それぞれが)。これらは基本的に、ある特定の敵に対してとりわけ効果的な武器を1つのフォーメーションに与えたり、ゲーム中1回だけ相手のサイコロの目を変えたりする、追加特別ルールである。これらについての主な問題は、幸運ポイントの1つである、カウンタースペルポイントが、他よりもポイント・コスト的により一般的で使い勝手いいようであり、善の軍勢にとって使い易い選択となっていることである。幸運ポイントや宿命ポイントは実際にはゲームバランスを変えるようなものではないが、その代わり相手をちょっとビックリさせることが出来る。

 10のアーミーは実際にはたった9つのアーミーである。なぜなら善の軍勢のアーミーの1つである「忘れられた王国」は、同盟勢力としてのみ選べるからだ。だが、アーミーは『ロード・オブ・ザ・リング』のミニチュア製品をとてもよくカバーしている。リストを詳細にわたって検分する時間は無いが、リストについてのいくつかの一般的な考察の後に、極手短に概要を述べるつもりだ。

 第1に、リストは第2紀と第3紀のモデルが混在している。つまりルールでは積極的にアーミーに含まれるモデルを制限していない。言ってみれば、「死者の乗り手」に支援された「ドル・アムロスの騎士」の軍勢をボロミアとイシルドゥアが率いるということもあるわけだ。これはおそらく、トールキン信奉者が“史実と違う”アーミーに遭遇したときにムカっとすることになるだろうが、大半のプレーヤーは、競争主体のプレイを度外視して、かなりテーマ主体の軍勢を維持しようとする傾向にある。

 第2に、善の軍勢は少し不公平な傾向にある。ゴンドールとローハンのリストには魔法やモンスターが1つも無く、一方でドワーフのリストには騎兵や魔法が1つも無い。エルフのリストは騎兵が少し少なく、もっぱら高価なエリート兵から成る。その一方で悪の軍勢は、全て歩兵、騎兵、モンスター、そして魔法使いを、高価なエリート兵と安価な歩兵の両方とも、取り混ぜてバランスよく含んでいる。同盟ルールが善の勢力がゲームプレイ上の広がりという欠点(悪の軍勢は通常単一のリストを使うことでバランスの取れた軍隊を作ることが出来るのに、善の軍勢は軍隊を完成させるのに同盟を必要とするという事実)が実際には問題とならないことを意味しているにもかかわらず、この事実は悪の軍勢のリストをテーマ的な視点からも魅力的なものにしている。

 第3に、ここでより不明瞭な用語によりルールが混乱している。伝説のフォーメーションはコストとして「xポイント+yポイント/カンパニー毎」と表記される。コマンドグループカンパニーという用語は、xポイントはコマンドグループカンパニーを含むことを意味しているが、本書の最初のバトル・レポートでは、xポイントとは1番目のカンパニーを含まないと言っているようだ。その言葉通りに取ると、これは全て少し混乱しているように聞こえる。これは、ゲームをする前に対戦相手と明らかにしておく必要のある、もう1つの重要なルールのポイントである。本書や『ホワイト・ドワーフ誌』のバトル・レポートから、また、伝説のフォーメーションは“無料の”カンパニーを含んでいないことから、かなり明らかになっているようではあるが、犯し易い間違いであり、また本書は物事を明確にする努力を全くしていない。

 アーミー・リストは以下の通りである。

ゴンドールとアルノール
サウロンと同盟していない人間の軍勢大半を含む。例外は・・・。
ローハン王国
ロヒリムの全てを含む。
エルフの王国
裂け谷、ロスロリエン、闇の森のウッド・エルフ、そして古のハイ・エルフの軍勢を含む。
ドワーフの砦
離れ山、モリアのドワーフ砦、そして中つ国に住む悪に染まっていないドワーフの軍勢を含む。
忘れられた王国
ホビット、エント、大鷲、旅の仲間(フォーメーションとして)、白の会議、そして他の善のアーミーにうまく合わないが、明らかに善の側に加担している、様々なヒーローやフォーメーションを含む。
モルドール
指輪の幽鬼、サウロン自身、そしてゴラムと共に、サウロンのために直接戦うオークやトロウルを含む。
アイセンガルド要塞
サルマンのために戦うオークや悪人達を含む。
霧降山脈
霧降山脈のゴブリン、野生のワーグの同盟者、闇の森のクモ、ケイヴ・トロウル、ドラゴンやバルログを含む。
堕落した国々
サウロンのために戦う悪人達全てを含む。
アングマール
奇妙なリストで、幽霊や精神体より成り、オークや蛮族によって支援されており、サウロンと同盟している。


コレクションして、ペイントして、バトルして遊ぶ

 ここはホビー・セクションであり、とても短いペイント・ガイド、ムーヴメント・トレイの作り方についての情報、そしてアーミーをコレクションするための情報を含んでいる。本セクションは地形について触れているが、実際に地形製作に関する情報はほとんど無い。

 このセクションの主要なパートでは、本や映画における様々な戦闘を再現するためのルールが取り上げられている。それぞれの戦闘には、部隊編成についての提案や初期配置、特別ルールや勝利条件が与えられている。大半がテストプレイ結果についての短い概要も含んでいる。デザイナーがゲームを作るとき何を考えていたか、また同様にどんな意図があったか、について多くの洞察があったので、私はこのセクションを本当に楽しく読ませてもらった。『ウォーハンマー・ファンタジー・バトル』や『ウォーハンマー40K』のように、そして『ウォーマシン/ホーズ』や多くの他社のゲームとは違って、『ウォー・オブ・ザ・リング』は明らかに、競技主体のトーナメント用ゲームというよりむしろ、楽しく、ビールとつまみで一杯やりながらやるゲームとしてデザインされている。

 ルールブックのこのセクションは、競技性の高いプレイを望むプレーヤーへのフェアな警告として役に立つ。つまり『ウォー・オブ・ザ・リング』に、GW社の他の“コアな”ゲームの欠点を改良した、完全なバランスのとれたシステムを期待してはならないということである。

まとめ

 結局、『ウォー・オブ・ザ・リング』は中身の詰まったゲームであり、私はそれをプレイするのを楽しみにしている。ルールが若干ぞんざいで、性急な方法で書かれており、いくつかの重要な質問に回答しないままにしているという点が、私の主な批判のポイントである。一連のルールにおいて発生しうる全ての質問に答えることまでは私は期待していないが、いくつかの問題点はかなり目立つものであり、テストプレイを通じて全く浮かび上がってこなかったというのは信じ難い。

 第2に、小さなことだが、本ゲームはアーミーを作るためにミニチュアにかなりの出費を必要とするし、ハーフ・トロウルのような特別なユニットの多くは集めるのにばかばかしいほどお金がかかる。一方、『ロード・オブ・ザ・リング』の素晴らしいプラスチック製品は、かなりの数のコア・ユニットを集めるのはどのアーミーにとってもそう難しいものではないということを意味している。




この記事は米国RPGnetの許可に基づき翻訳されたものです。日本語訳については当サイト管理者ben*at*scoopsrpg.comまたは翻訳者まで。記事の内容については本人へ英語で連絡してください。
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