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『3:16皆殺しの星々』
 3:16 Carnage Amongst The Stars




グレゴール・ハットンの珠玉の名作ゲームは、驚くほど奥が深くて楽しいロールプレイングゲーム体験を包み込んだ、砂を噛むような撃ち合いゲームである。降下船からフル装備の兵士として強襲降下! 君は歴史にその名を刻みたくはないか?



外見:4(お洒落でよく出来ている)
内容:4(充実)

出版社 :ボックスニンジャ(BoxNinja)
系列  :ファー・フューチャー(Far Future)
著者  :グレゴール・ハットン(Gregor Hutton)
価格  :本文参照
ページ数:96ページ
出版  :2008年
SKU :0316
ISBN:978-0-9559945-0-0

2008年10月06日
寸評:ジミー・バイズ,Jr(Jimmie Bise, Jr)

2009年10月26日
翻訳:北原 (sxrth465*at*ybb.ne.jp)
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    おぉ、歩兵に栄光の時は無く
    おぉ、騒がしい賞賛の歌に用は無い
    だが全ての兵士の心にその栄光ある歩兵の名前を輝かせる
    栄光あるロジャー・ヤングの名前を

      ----ロジャー・ヤングのバラードより。作詞フランク・レッサー。


 グレコール・ハットンの『3:16皆殺しの星々』が、いくらかのロールプレイング・ゲーム的要素をうまく取り入れた手早く出来る面白い戦術級ボードゲームなのか、それとも強烈に戦術級ボードゲームの要素を持ったかなりお手軽なロールプレイング・ゲームであるのかを決めるのが困難だったという事実を認めよう。

 ルールを読むたびに(そして、それはかなり短い時間で読める。ほんの96ページだし、ときおり著者によるオリジナル・イラストが、がっちりした文章を断ち切るからだ)、簡潔であること、そして潜在的な汎用性が高いことの両方に私は感心してしまった。だが、後にそれ以上のものであると判った。まず、基本的な概略から始めよう。

 あなたは1兵士をプレイする。あなたはエイリアンを殺す。あなたはそれを行い、生きて惑星から脱出しようとする。これは必ずしも簡単な任務ではない。というのは様々なエイリアンがあなたを殺そうとするだけではなく、手榴弾の誤爆や惑星破壊ミサイルによって戦友の1人があなたを殺すかもしれないという機会が実にリアルに有り得るからだ。

 そう、読んで字の如く、ミサイルだ。それは惑星を破壊する。破壊対象の惑星にいるなら、あなたも含めてだ。それは悪いニュースだ。いいニュースは、もしもキャラクターがそれをやってのけたら、彼は笑えるくらいの(勲章、昇進、そしてあらゆる種類の賞賛を得られるくらいの)大量死をもたらす、という事実だ。それは全て死後の名誉となるだろうが、それはそれで素晴らしい。彼について勇ましい歌が書かれ、彼の名を取って次に建造される船に名前がつけられる限り、栄光がそのゲームの名前となるのだ。

 だがそれは結果である。最初は、惑星ごとに、ライフル、ナイフ、深刻な傷から1つ(そう、1つ)を防護するマンデルブライト・アーマーで武装した使い捨て兵隊としての命から始まるのである。あ、そうだ、手榴弾もあるよ。

    オレの名は、砲術軍曹ハートマンだ!

 『3:16皆殺しの星々』の背後にあるシステムはそれ自体簡潔なものである。10面体ダイスをあなたのスキル値を目標値にして振るだけだ。もしサイコロの目がスキル値よりも低ければ成功である。もしそうでなければ、失敗である。

 このシンプルなシステムをさらにシンプルにしているのは、たった2つのスキルしか無いことである。戦闘能力(FA)と、非戦闘能力(NFA)だ。戦闘に関連するあらゆるものが最初の技能を使い、それ以外のもの全てが2番目の技能を使う。

 これはかなり気前がいいようにみえるかもしれないが、あなたのキャラクターは激しい戦闘地域に投げ込まれ続けるのだということを憶えておいて欲しい。ゲーム・プレイのスピードは極めて重要である。キャラクター作成も同様に。2つの技能で制限されることによって、現在の任務に適用すべき正しい技能はどれか悩むことなく、自由にゲームをプレイできるのだ。

 キャラクター作成は同様に簡単である。スキルとスタート時の殺害数、あなたのランク付け、これで全部だ。スキル能力値によって特定されるテンプレートが、あなたが持っている装備は何か、ランクによって与えられる特殊能力は何か、そして武器の能力値(それぞれが発揮する潜在的殺害能力はどのくらいかを含む)を教えてくれる。

 殺害数は昇進できるかどうかを決めるので重要である。昇進は、うろこのあるエイリアンの脅威を片付けるためのさらなるスキルと、より多くの火力の獲得につながる。

 脅威について言っておくと、それは「脅威度トークン」の形で表現される。それぞれのトークンは、“殺される”まで確定しないエイリアンの数を表す。それは、プレーヤーがどれだけ殺したかを決定するときにスコアとしてカウントされる。

 それぞれの遭遇でトークンが無くなったら、戦闘は終了する。各惑星にはある有限の数のトークンがあり、GMはそれらが無くなるまで遭遇ごとに分配する。その上、最後のトークンを殺した兵士には特別な報酬がある。ちょっとした工夫で追加のお楽しみを盛り込むものになるその仕掛けに私は感心した。

 ゲームはあらゆるミッションにおいて全てのプレーヤーが最大限参加することを奨励している。他の兵が仕事をやっている背後で、数名の兵士達がぶらぶら遊んでいるようなミッションは全く無い。全ての兵士が何かしら専念している。たとえそれが薄汚れた死であっても。

 脅威度トークンシステムはシンプルなように見えるが、満足のいく複雑さである。エイリアンは脅威度トークンを支払うごとに、特殊能力を持つことが出来る。本書のサンプルシナリオでは、不意打ち(プレーヤー達が自らの戦術について再考するように仕向けるには十分に凶悪な)の特殊能力を使用出来る。ヴェロキラプトルの特殊能力は、少なくとも私にとっては、いつも恐ろしいモンスターを作り出す。知能が高く、毒を吐き、非常に鋭い羽を撃ち、木に登り、歴戦の特殊部隊のように共同して働く捕食恐竜に対しては、常に「何てこった! 撃て! 撃て!」という反応しか出来ないだろう。私はそいつが一頭だけではないことに勘づいている。そう、もっとヴェロキラプトルを。

 脅威度トークンの真髄は、敵の能力値が惑星ごとに変化することだろう。そしてGMはプレーヤーにどんな驚きを感じさせるか、そしていつ驚かせるかということに関して、幅広い自由を手にする。その多様性はプレーヤー達の「あぁ、やれやれ、また虫の惑星か」といった倦怠感を治すに違いないし、それは『3:16皆殺しの星々』に多くのリプレイ性を与える。一度本書にあるリストを使い尽くすと、賢いGMはプレーヤー達をより意地悪な驚きで跳び上がらせるため、オリジナルの特殊能力を用意することも出来る。

 ルールは、疑問がほとんど生じないくらい、非常に判りやすいステップ・バイ・ステップ形式で、とてもよくアレンジされている。ゲームの全てのフェイズについて、各ポイントで簡潔だが判りやすい説明がついた、簡単掲示書式のレイアウトとなっている。これは、あなたが一読で簡単に理解でき、“お手軽ゲーム”として楽しくプレイできるゲームである。

 だが、それは『3:16皆殺しの星々』がお手軽ゲームであるということを意味しない。2つのとても賢明な妙案により、このゲームはシンプルな殺しまくり机上戦術演習を超えて、満足のいくロールプレイング・ゲームへと昇華されている。

    重要事項だ。今や我々に必要なのは1組のカード・デッキだけである。

 第一の妙案は、フラッシュバックの使用である。遭遇中いかなるポイントでも、あなたはフラッシュバックを要求できる。そうすることによってその場の遭遇は即停止状態となり、フラッシュバックと叫んだプレーヤーに物語を手渡す。

 プレーヤーが物語を扱うということは、彼らの薄汚れた小さな手にそれを渡すことになり、弱くなるか強くなるかはフラッシュバック次第である。ある人はプレーヤーが決めたとおりに負けるがままにさせるが、一方で別の人はその遭遇でヒーローとなり全ての利益を刈り取るがままにさせる。

 プレーヤー達はそんなに多くのフラッシュバックの機会がないので、ドラマ的に最適な瞬間でそれを使うよう奨励される。突然キャラクターの押し潰されたピンク色の胴体断面を突き抜けて、恐怖の胎児を産み出すよだれを垂らした獣の産卵管が飛び出してくるときとか。船は混乱し非常食を食い潰してしまったときとか。それは全くもって「ドラマ的に最適な場面」はいつかというプレーヤーの判断次第となるだろう。

 フラッシュバックの目的は、ドラマを台無しにするような悪い展開を心配すること無く、プレーヤーにキャラクターの運命を導かせることである。プレーヤーが彼らの物語を紡ぎ、遭遇において明確な効果で終える一方で、フラッシュバックは効果的に時を止めるのが私は好きだ。プレーヤーには、フラッシュバックの使用が奨励されるが、使い過ぎないこともまた奨励される。キャラクターの命あたり非常に限られた回数しか使えないからである。

 ロールプレイングの第二の妙案は、ミッションの間を描くことである。優れた(そして稀に幸運な)兵士達が昇進したり降格したり、勲章が授けられたり、他の兵士が惑星上の最後のエイリアンをまさに駆逐せんとするときに、手榴弾の狙いも怪しい、功績を横取りせんとする卑劣漢に対する怒りが発展したりする。

 勲章を受勲したり、新しい装備を手に入れたり、同じ釜の飯を食う戦友と語り合ったりというような、戦闘以外のロールプレイングの機会がたくさんある。虫狩り任務が、虫が増えてハンターから獲物へと立場が変わるときに、キャラクターを置き換えるための素早くかつ簡単なルールもある。

 私にとってすぐに当たり前となったゲームについての最後のポイントは、『終わりなき戦い』の渦中にいる宇宙歩兵やエイリアンをプレイする必要は必ずしもないということである。このゲームは、1つのグループがもう1つのグループを圧倒するような、あらゆる戦争を扱うことが出来る。

 例えば、武器の描写を変えて、ズールー戦争におけるイギリス軍兵士(ロルクズ・ドリフトの戦いの誰かか?)や、第2次世界大戦期、太平洋で飛び石作戦に参加する連合軍兵士をプレイすることで、『3:16皆殺しの星々』を“シリアスにやる”ことが可能だ。

 ある世界から別の世界にオークやゴブリンが送り込まれてくる多重次元世界の脅威にプレーヤー達が直面するといった、異世界ファンタジー・ゲームをでっち上げることだって可能だ。最小限の手間で、キャラクターたちがテルモピュライの300人となる一発ネタでさえ、このゲームはうまく機能するだろう。

 やるべきだというつもりはないが、出来るということを知っておくのは良い。

    帰投

 私は『3:16皆殺しの星々』を高く推薦するつもりだ。グレゴール・ハットンはとても素晴らしい小さなゲームを組み立てた。それはとても多くの複雑さを提供する。私は「シンプル」という言葉をかなり使ってきたが、実際にはそれを表現するのにはあまりいい言葉ではないと思う。

 『3:16皆殺しの星々』は、あなたを素早くアクションに投入して、息継ぎする準備が出来るまでそこに留めておく、よく出来たマシンである。それは素早い1回限りのゲームとして働き、延々と続くキャンペーンのためのプラットフォームとしても光り輝く潜在力を実際に持っている。ルールは簡単に把握でき、私が読む限りにおいて指摘出来る大きな欠陥はない。

 価格もお手軽だ。あなたはそれを、様々な売り手から、PDF形式だと10ドルで、印刷されたバージョンだと20ドルで、印刷きPDFの抱き合わせだと25ドルで手に入れることが出来る。

 手短に言って、買いである。私はあなたがこのゲームを好きになるだろうと思う。





この記事は米国RPGnetの許可に基づき翻訳されたものです。日本語訳については当サイト管理者ben*at*scoopsrpg.comまたは翻訳者まで。記事の内容については本人へ英語で連絡してください。
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