02-楽器収蔵庫


ツガルジョッパリダイコ 津軽情っ張り大太鼓 / 日本 青森県 弘前市   楽器の音 = Sound
Tsugaru-joppari-taiko / Japan file:016


2003年01月25日
陸奥を彩る名高い祭の一つ、弘前のねぷたまつりの先導役をつとめる巨大な太鼓、津軽情っ張り大太鼓(つがるじょっぱりおおだいこ)。直径10尺(3.3メートル)、長さ12尺(3.64メートル)、重さ500貫余(2トン)もある。太鼓の胴は一本の秋田杉をくりぬいたもの。樹齢数百年の樹だったのだろう。牛の一枚皮が張られ、皮の端を紐で引張る締め太鼓だ。太鼓の内側には金の板が取り付けてあるので、独特の豪快な音が持ち味となっている。太鼓は台車の上に乗せて、移動しながら11人が一つの太鼓を叩く。太鼓の上の前と後ろに3人ずつ乗って下に向かって打ち、下からは5人で打つほどおおきな太鼓だ。江戸時代、津軽藩主の信義公が年賀に登城したとき、控えの間で太鼓談義に「加賀百万石の城内にある6尺太鼓が日本一大きいであろう」という話がでた。負けず嫌いの信義公は、「6尺太鼓などは子どもの遊び道具にすぎない。当方の城には櫓太鼓で10尺のものがある」 と言ってしまった。そのような大太鼓があるわけもなく、武士に二言なしを守るために大太鼓を作るようにと、急ぎ国表弘前に早馬を飛ばして出来たのが、このじょっぱり太鼓だ。「じょっぱり」とは強情張るという意味で、じょっぱり太鼓の名の由来はこの話から出たと言われている。弘前藩で作られたこの太鼓は後の藩主信政公が江戸に運び、その音は江戸八百八町に轟いて名物になったと伝えられている。写真のじょっぱり太鼓は昭和45年に模作復元したもので、当時は日本一の大太鼓だったが、現在では更にもう一回り大きい直径13尺(4メートル)の「津軽剛情張大太鼓」(つがるごうじょっぱりおおだいこ)がある。
楽器分類:津軽情っ張り大太鼓 / 膜鳴楽器 / 桶胴型、締め太鼓 / 両面
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ハルダンゲル・フィドル / ノルウェー ファイル017  楽器の音 = Sound
Hardanger fiddle / Norway file:017


2003年02月01日
ノルウェー独特のバイオリン。16世紀、中欧からバイオリンの原型であるフィドルがノルウェーに伝えられ、西南部のハルダンゲル・フィヨルドの周辺地域で独特の進化をしたバイオリンだ。4弦のうち2本はガット弦で、あとの2本はスチール弦が使われている。一般のバイオリンと機能的に異なるところは、主弦の4弦の下に4本か5本のスチールの復弦があること。復弦は、通常弦を押さえる桿の中を通っている。また、ブリッジが比較的平らに作られているので、一つの弦を飛び越して弓をあてることも可能だ。また20種以上の調弦ができる。こうした独特の機能によってバイオリンとは異なった独特の音色を持っている。現代のクラシックの音楽家にも注目を浴びているいるようだ。このフィドルには美しい模様や貝の象嵌などさまざまな装飾がなされているのも一つの特徴だ。また、桿のヘッドの部分には、当時北海を荒し回ったバイキング船の舳先と同じ龍の形を彫刻してあり、この地域の歴史を物語っている。ハルダンゲル・フィドルはノルウェーだけでなくスウェーデンでも用いられている。このフィドルは、その昔結婚式の荘厳な雰囲気を醸し出したり、式が終わった後に食事をしたり、酒を飲んだり、歌ったり、踊ったりするのに、なくてはならない存在だったそうだ。フィドル奏者がいなければ結婚式が成り立たなかったと言われているくらい大事なものだったらしい。今日、ノルウェーでハルダンゲル・フィドルの勝れた若手の演奏者として民族音楽の伝統が色濃く残るスンモールの出身アンビョルグ・リーエ ンの名があげられる。
楽器分類:ハルダンゲル・フィドル / 弦鳴楽器 / リュート族
検索語:ハルディング・フェーラ、hardingfela、ハルダンガー・フィドル、ヴァイオリン、ハルダンゲル・フェレ、hardangerfele、ハリングフレーレ、ハルディングフレーレ、hardingflele、ハーディングフェーレ


ファグファグ=鼻笛 / フィジー   楽器の音 = Sound
Fagfagu / Fiji Islands file:018


2003年02月08日
南太平洋の島々には歌や踊りのためのリズム楽器は多いけれど、旋律楽器となると数が少ない。ウ・テテという椰子の葉を使った一種の口琴や音程の異なる複数のホラ貝をグループで吹くものがあるくらいだ。数少ないメロディーの楽器、フィジーの鼻笛・ファグファは竹製で30センチから40センチほどの長さの呼び子笛系の笛だ。南太平洋に広く分布している。穴は筒の基部から先まで等間隔に5つ。中央の指穴の両側に2センチほど間をあけて2個の穴があり合計7個あるが、筒の端にある穴は鼻に当てる吹き口なので指穴は6個。鼻の穴は通常二つあるので吹くとき片方が開いていていると具合が悪い。片方の鼻の穴を左の親指で押さえるのがフィジーのやり方だ。他の地域では人差し指で押さえたり、笛そのもので一方の鼻穴を押さえることもある。鼻笛というと奇妙な楽器に思えるけれど、鼻の息は魔力をもっていると昔から信じられていたようだ。鼻笛は鼻の息で吹くのだから鼻息の荒い人でないと吹けないかというとそうではなくて、口で吹く強い音よりも、穏やかで優しい小さい音を出すが大事なことらしい。奏者から少し離れるともう聴こえないくらい小さい音だ。フィリピンのルソン島の山地の民族も同じようなトンガリという鼻笛をもっている。彼らの言葉によれば「恋人や死者を想って、自分自身のために鼻笛を吹く。他の人に聴かせるためでなく、自分の心のなかの気持ちを特定の人に向かって吹くのだ」。勝手な推測だが、フィジーの鼻笛も同じオセアニア地域のものだ。共通の意識があるように思える。
楽器分類:ファグファグ=鼻笛  / 氣鳴楽器 / 呼子笛状吹口
検索語:


ガドゥルカ / ブルガリア 
Gadulka / Bulgaria file:019


2003年02月15日
ブルアリアに伝わるリュート族の弓奏楽器。胴は楓や桑、胡桃の木を梨型にくりぬき、表面に薄い板が張ってある。そして短い棹がついている。フレットはない。主弦は羊の腸などで作ったガットが使われている。弦の数は地方によって違いがあるが、通常は主弦が3本あり、その他にたくさんの金属の共鳴弦をもっているのが特徴だ。その数は10本から15本にもなる。共鳴弦とは一定の振動音に共鳴する弦のことで、一般に装飾音と呼ばれるものだ。演奏は、腰掛けているときは左足の上に縦にして乗せるか、立っているときは輪にした帯を首にかけて楽器の端を引っ掛けて、やはり縦にして奏する。左手の指先か爪を弦の横から押しつけるのが特徴だ。踊りの伴奏や合奏に用いられることが多い。写真はブルガリア南部のバラの谷、カザンラック村のバラ祭りで。農村の人たちが土がしみこんだ太い指で、弦を押さえ、ガドゥルカ(バグパイプ)のチャンター管の指穴を押さえる。生活のなかで生きている音楽そのものがあった。
楽器分類:ガドゥルカ / 弦鳴楽器 / リュート族 / 擦弦楽器
(検索語:ガドルカ)


チャウタイコゥ (杵太鼓) / 台湾 
Chautaikou / Taiwan file:020


2003年02月22日
台湾のファーレン市(花蓮市)の収穫祭で見かけたスリットドラム。木のブロックの中をくりぬき、割れ目を作って、中を空洞にしてある。棒で叩いたり、棒の先で突いたりして音を出す楽器だ。主としてリズムを刻む。熱帯を中心に世界中に広く分布している打楽器だ。アフリカのスリットドラムのなかには10メートルを越すような大きなものもある。拍子をとるために人間が最初に行ったのは手拍子や足拍子、かけ声、そしてものを打つこと。やがて森でうつろになった風倒木を叩くと効果的な音がでることから、スリットドラムに発展していったと考えられている。八月、台湾の東部の町、花蓮市(ファーレン市)で。写真は台湾の先住少数民族・阿美(アミ)族の農作の収穫を祝う祭で。男も女も赤や黄、青などの色彩豊かな民族衣装を着て、自分で作ったツォーラ帽をかぶり、種蒔き、雨ごい、収穫、米つきの歌と踊りがチャウタイコウの伴奏で披露されている。
楽器分類:杵太鼓(チャウタイコゥ) / 体鳴楽器 / 打つ
検索語:割れ目太鼓、スリットドラム


ドムラ / ロシア   楽器の音 = Sound
Domra / Russia file:021


2003年03月01日
バラライカの前身ともいえる楽器。16、7世紀にスコモローヒと呼ばれる「放浪芸人」が使っていたものだ。当時の教会とロマノフ王朝は邪教の源になるものだということで、この楽器を徹底的に排斥して、楽器を焼いたり製作することを禁じたといわれている。その結果、当時のドムラは完全に姿を消してしまったという。信じられないことだが本当のことらしい。形として残ったのは不鮮明な版画だけ。約200年の空白を経て19世紀末にロシアの民族音楽オーケストラの主・アンドローエフが版画の絵を基に新たに制作したのが今日のドムラだ。ドムラはマンドリンのように胴が丸くふくらんでいて、短めの棹にはフレットがついている。大きさによって4種のドムラがある。独奏に使われる3弦と4弦のドムラ・マーラヤ(小)、ルトーバヤ(中)、バソーバヤ(大)。3弦のドムラはE、A、Dに調弦する。もともとは3弦の楽
器だったが、今日では改良型の4弦のドムラもさかんに用いられている。マンドリンと同じく小さな爪状のピックを使ってトレモロを多用して演奏する。丸みをおびて優美な形のドムラは女性に人気のある楽器で、学校でもドムラを習う女生徒が多いらしい。ドムラの名演奏家にはアレクサンドル・アンドレービッチ・ツィガンコフの名があげられる。ソ連時代には功労芸術家の称号の所有者だった演奏家だ。1993年、ボルガ河を航行する客船のサロンで40人ほどの聴衆に混じって氏の独奏を聴いたことがある。一曲演奏が終わった時のこと。普段ならすぐ拍手がおこる筈なのに、だれも拍手をしなかった。と、しばらくの間があってのち一人が手を叩き始めると耳が痛くなる程の感動の拍手が起こった。ボルガ河を行く船の上だったからこその名演奏だったのだろう。魔の時間だった。
楽器分類:ドムラ / 弦鳴楽器 / リュート族 撥弦楽器
(検索語:)


アイリッシュ・ハープ / アイルランド   楽器の音 = Sound
Irish harp / Ireland file:022


2003年03月08日
アイリッシュ・ミュージックを構成する楽器群の一つ。ホイッスル(縦笛)やバイオリン、イレンパイプ(バッグパイプ)、バウロン(太鼓)などの楽器と合奏するなかで、紅一点ともいえそうな感情こまやかでやさしい響きを持った楽器だ。ハープには、クラシック音楽で用いられる半音を操作するための複数のペダルのあるものと、ベダルのないものとがあるが、アイリッシュハープはペダルのないものに属する。ペダルのかわりに半音の上げ下げはそれぞれの弦の上の部分にあるフックで行うようになっている。通常、弦はナイロンやガット、真鍮弦が用いられている。弦の数は34本だ。胴は胡桃、桜の木でできている。アイルランドのハープの歴史は1000年以上になる。現在残っているもっとも古いハープは14世紀ころのもので、ダブリンのトリニティ・カレッジに保存されている。19世紀ころまでは伝統が引き継がれていたが、1800年後半から一世紀の間に消滅しかけていたらしい。伝統を復活しようという運動があって、1950年ころから再び製造されるようになり、演奏されるようになった。伝統はあるものの、復活してからまだ50年ほどの新興の楽器ともいええそうだ。アイルランドの都市や地方の町のどこにでもあるパブで、その地域の人たちがそれぞれ楽器を持ち寄って自分たちの楽しみのために演奏する音楽がアリリッシュ・ミュージックだ。音楽の魅力的なありようだと思う。
楽器分類:アイリッシュ・ハープ / 弦鳴楽器 / ハープ族 撥弦楽器
検索語:


サズ / トルコ   楽器の音 = Sound
 Saz / Turkey File:023


2003年03月15日
アナトリア地方で使われてきたリュート族の民族楽器。金属弦で一般的には複弦3コース。EDAあるいはGDAに調弦して、樹皮のピックで第一弦と第二弦をドローンとして使い、第三弦でメロディーを演奏する。ダイナミックで生き生きした音色が特徴だ。楽器の大きさによって名前が変わる。小さいものをジュラ、中くらいのものをバーラマ、大きいものをディワン・サズと呼んでいて、写真のサズは中くらいのバーラマである。フレットは16個が一般的だが、この写真の楽器の場合は23個ある。サズはペルシャ(現在のイラン)の弦楽器・セタールを直接の起源としている。日本の三味線は沖縄の三線(さんしん)、三線は中国の三弦に遡り、三弦はペルシャのセタールなど西アジアの楽器からヒントを得て作られたものだといわれている。とすればセタールを親としてサズは三味線の兄弟分になる。サズはトルコの民謡の伴奏にいつも使われているがトルコの民謡には2種類あって、一つはしっかりした拍子を持つクルク・ハワ(切れた歌の意)と、もう一つは長く伸ばした歌、ウズン・ハワ(長い歌の意)がある。前者は日本の八木節に相当し、後者は馬子歌ということになろうか。地声で歌うこと。歌う時の楽器とのからみが日本の民謡と三味線の関係にとてもよく似ている。いずれにしてもサズはトルコの民謡の伴奏には欠かせない楽器だ。
楽器分類:サズ / 弦鳴楽器 / リュート族 撥弦楽器
(検索語:)


サンポーニャ / ペルー   楽器の音 = Sound
Zanpogna / Peru File:024


2003年03月22日
アンデス系のフォルクローレに使われているパンパイプで、もともとは先住民の伝統楽器。「コンドルは飛んでいく」の曲にあらわれる、かすれて哀愁をおびた音色でよく知られている楽器だ。カーニャと呼ばれている葦の上端の吹き口を揃えて、音階順に並べ束ねてある。音が出るしかけは、ビール瓶の口を斜めから吹くとブォーと鳴る原理を応用したものだ。したがって葦の管は底はふさがっている。ルーマニアのナイや日本の正倉院に朽ちて保存されている簫などの仲間になる。スペイン語のサンポーニャは一般によく知られた名前だが、チチカカ湖の地域では、現地のアイマラ語ではシークと言い、またアンタラ、ロンダドールとも呼ばれている。シクはパイプが二列に並んだもの。アンタラは一列。ロンダドールはもっと南の地域で用いられ、パイプが横にたくさん並んでいるもの。農村部の各家庭で素朴に演奏を楽しむ楽器であるのはもちろんだが、フォルクローレ音楽として都会的演奏者が増えてきて、サンポーニャの種類も多様になってきた。すべての調に対応したものや重低音のでるものなどが開発されているようだ。
楽器:サンポーニャ / 氣鳴楽器 / 吹き穴(フルート族) / パンの笛
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カルクバ / モロッコ   楽器の音 = Sound
Karkba / Kingdom of Morocco File:025


2003年03月29日
鉄アレーを縦半分に切ったような形で、厚さ3ミリほどの鉄板を打ち出したリズム楽器。丸くなった部分の内側がへこんでいて、両手に二ずつ持って打ち合わせる。フラメンコ舞踊のカスタネットのように踊りながら打ち鳴らすことが多い。カルクバ(Karkba)はこもった金属音が特徴。たくさんのリズムを打ちわけるが、いったん演奏がはじまると同じリズムを長い時間繰り返す。このくりかえしが音楽を妙に刺激的にする。モロッコだけでなく、北アフリカ、西アフリカで広く使われている楽器だ。モロッコの民衆が使う楽器は、この他にベンディル(タンブリン)、ダルブッカ(壷片面太鼓)、タバル(両面太鼓)、カマンジュ(吟遊詩人の使う弓奏2弦楽器)、リタ(ショーム)などがあげられる。アラブ圏の西の端にあるモロッコ南部、マラケシにあるジャマ・エル・フナの広場は、大道芸人が何十組も演技演奏を繰り広げていることで知られているが、そこはまさに民族楽器の生きた博物館だといって言いすぎではない。3日も滞在すればカルクバをはじめ、上記の楽器の演奏をすべて聴くことが出来きる。カマンジュを弾き語りする年老いた皺の深い吟遊詩人の歌を聴いたときのこと。写真と音をとらせてもらったお礼に喜捨をすると「お前の名前は?」と聴かれたらしい。アラビア語など分かるわけもなく戸惑っていると、一緒に聴いていたアラブ人が訳してくれた。自分の名を告げると、なにやら私のメイジの名前をまじえて弾き語っている。「この歌がメイジ、あなたに幸いをもたらすように」と歌ったのだった。喜捨のお返しだった。
楽器分類:カルクバ / 体鳴楽器 / 打ち合わせる
(検索語:)


パッタラー / ビルマ   楽器の音 = Sound
Pattala / Burma (Myanmar) Fail:026


2003年04月05日
ビルマの代表的な打楽器・パッタラー(Pattala)は竹製の木琴。竹の細長い板を音階順に並べてそれを紐でつなげ釣り橋のように両側からぶら下げ、下に共鳴箱をつけたものだ。17本から24本の竹板を並べてあり、細かい調律は裏に鉛を付けたワックスを塗っておこなう。パッタラーはビルマの宮廷で用いられた楽器で、共鳴箱の側面には必ず彫刻が施してあるのが特徴だ。ビルマの音楽は西洋音楽に似て7つの音階を持っているが、ファが少し高めでシが低めになっている。ファをファのシャープにすることもあり、シをシのフラットに使うこともある。こうした微妙な音のズレがビルマの音楽の特徴になっていて、およそ3つの調を演奏することができる。どのような楽器でも音に狂いがこないように、材料を何年も乾燥させて安定してから楽器の製作をするのが楽器作りの基本だ。パッタラーの竹の場合はその方法が少し違う。2年も3年も土の中に埋めておくのだそうだ。そうすることによって特別な土の成分が竹の材質をかえて、より堅くなり、色は茶色になり、虫が食うこともなくなるという。もちろん現在では行われていないやり方だ。
楽器分類:パッタラー / 体鳴楽器 / 打つ / 木琴
検索語:


ハイランド・パイプ = バッグパイプ / イギリス  楽器の音 = Sound
Bag pipe / United Kingdom File:027


2003年04月12日
1853年にイギリスの軍楽隊に採用された楽器。バッグパイプはイギリスだけでなく、欧州各地で使われていることは知られているが、さらに北アフリカ、中東、インドまで広く分布している。ルーツはメソポタミアや南インド、古代ギリシャという説があるがどれも定かではない。ともかく長い歴史をもった楽器だ。バッグパイプは地域によって形や演奏技巧、音楽的特徴にさまざまな違いがあるが、共通の構造は羊の革袋に複簧(ふくこう)のリードつきドローン管(写真の右の3本)とチャンター管というメロディ管(写真の左端)、そして空気を吹き込む吹き管がついている。空気を吹きこんで革袋をふくらませ、袋を肘で押さえてたまった空気をチャンター管に送りこみ音をだす。音が途切れないのが特徴だ。スコットランドの軍楽隊のハイランド・パイプ(Highland Pipe)はドローン管が3本あり、長い一本は低音、他の二本はテナー・ドローン。メロディのチャンター管は細い円錐形になっていて、指穴が6穴から8穴ある。映画やTVで、敵の弾が飛んでくる中を恐れず一糸乱れずハイランド・パイプを吹きながら行進する画面をすぐ思い出すが、実際に目の前で演奏行進をみると、いかにも勇壮だ。キルトを美しく着飾った軍楽隊の人たちの背は大きくがっしりしていて、パイプの音はそばに寄ると驚くように大きい。遠くまで響きわたる。味方の戦意を鼓舞する音楽そのものだ。近代戦ではもはや使われることはあり得ないが・・・
注:ドローン=同じ音を出し続けること。
楽器分類:ハイランド・パイプ / 氣鳴楽器 / 複簧
検索語:バグパイプ、ハイランドパイプ


マトブッチ = ミズウィッジ  / イラク    楽器の音  = Sound
Matbudj / Iraq File:028


2003年04月19日
イラクはチグリスユーフラテス河流域に興ったメソポタミア文明の国だ。この歴史のなかで、二重の笛・マトブッチは民衆に長く親しまれてきた。ミズウィッジとも呼ばれている。葦で作られた原始的なクラリネットだ。音色はもちろんだが、形も美しい。葦の管の上の方に切り込みを入れ、その部分を舌と呼ばれるリードにして残してある。口で吹くとそのリードが振動して音がでる仕組みになっている。指穴は一本の管に6個あって、それを二本束ねてある。一本でも同じようなものだが、二本にすることによって音色が複雑で豊かになっている。その二本を一緒に口にくわえて演奏するのだが右手の指と左手の指はそれぞれ異なった位置を行き来して中東独特の旋律を作り出している。
同類の笛では、ユーゴの二重笛ドボイニスやスロバキアのドボヤチュカ、実物を見たことはないがチベットの三重笛グリング・ブーなどがある。
楽器分類:マトブッチ / 気鳴楽器
検索語:


デフィ = タンブリン / コソボ自治州 セルビア・モンテネグロ  
Defi / Serbia and Montenegro File:029


2003年04月26日
タンブリンの歴史は古代ギリシャ、エジプトの時代にさかのぼるとされている。25センチから40センチほどの木の枠に羊や牛の皮を片面に張り、枠にジングルと呼ばれる小さな金属の円盤が取り付けてある太鼓。小さなものは踊り手が踊りながら振り打ち鳴らし、大きなものは演奏者が使うことが多い。また、ジングルがたくさんあるほど賑やかな音がでる。数は8個から20個とさまざま。欧州、中東、東アジア、アフリカと広く使われている楽器だ。
コソボで用いられているデフィ(Defi)はかなり大きく、踊りの伴奏音楽としてリズムを陽気で賑やかにするために演奏者が使っている。演奏では一般的に数種の方法があって、大きく分けるとヒット、ナックル、ジングルズ、サム、シェイクス・ロールの5種類がある。ヒットは楽器を左手にもって右の手の平で皮面を打つ。ナックルは右の手指の関節で打つ。ジングルズは皮面を叩かず枠を打ってジングルの音だけを出す。サムは右手の親指で皮面の縁を擦ることでジングルの微妙な音を出す。シェイクス・ロールは左手にもって細かくふるわせてジングルズの繊細な響きを効果的にする。など単純な楽器のようだが奏法はさまざまに工夫されている。写真は1996年フランスのガナ市の招待で民族、宗教の紛争のまっ最中のコソボから踊りと演奏にやってきた人たち。
楽器分類:デフィ = タンバリン / 膜鳴楽器 & 体鳴楽器
検索語:


ガルベ&タンブラン / フランス プロバンス地方  楽器の音 = Sound
Galoubet et tambourin / France File:030


2003年05月03日
ガルベは笛、タンブランは太鼓。二つの楽器は一人の演奏者が同時に演奏することで知られている。南フランスのプロバンス地方の独特の民族楽器で、いかにも南仏を思わせる軽快な歯切れのいい音色である。この地方に伝わる民族舞踊のファンファドールを踊るときには、なくてはならない伴奏音楽になっている。ファランドールは6/8拍子の早いテンポの踊りで、数百人の男女が長く連なって踊る。また、お祭りやイベントの時にかならず先頭にたって演奏され、行事をにぎやかに景気つけをする役目をしている。細長い長胴のタンブールの両側につけた紐を左腕に通して抱え、その左手指でガルベを吹く。右手はバチで太鼓をたたくことになる。写真の楽器・ガルベは左端が吹口。右端が指穴。上側に2個、下側に1個ある。左手の小指と薬指とくわえた口で笛をささえ、親指と人差し指、中指の3指で穴を押さえて演奏する。写真は南仏カマルグ地域のサントマリードラメールの闘牛場で。闘牛の前座に子どもたちの民族舞踊の伴奏にガルベとタンブラン。
楽器分類:ガルベ / 氣鳴楽器 呼子笛系
楽器分類:タンブラン / 膜鳴楽器 太鼓
検索語:

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