お年寄りの方々の死生観に対する考え方
       敬老の日に超高齢者以外の皆様に告ぐ   
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 10年以上にわたって在宅医療を行っていますが、在宅医療で医者である小生が1番つらい思いをするのは皆さんなんだと思いますか、診断治療の難しさでしょうか?そうではありません。もはや治ることのないまたは見込みのないご老人を診ていることでしょうか?いえいえそうではありません。ご老人の知的肉体的衰えの哀れさを感じてのことでしょうか?そんなことでは勿論ありません。
 それでは何でしょうか。それはご老人たちの「生きる気力の喪失したときがわかった時です」。何で生きているのだろう。いつまで生きているのだろう。早く死にたい。すぐ死ねる薬が欲しい。こういう言葉が、家族のいないとき、またはいっしょに在宅医療を行っている看護婦に密やかに告白されたときです。
当然医療関係者ならこれは鬱状態ではないか、抗うつ剤の適用ではないかと考えでしょうが、本人および家人のお話からこの病気に該当しない方々です。老人性うつ病は専門家に相談して当然対応可能です。
 そうでなくて上記のような発言をする方が問題なのです。
医者には生命の維持を求めて、または寝たきりであっても、より良き療養をするがために、医療を求めているのだろうと当然考えているわけですが、必ずしもそうではないと言うことが分かったときが一番小生にこたえます。
 最初の頃は死にたいのならなぜ医者を呼ぶのだろうか。世間体が悪いので呼ぶのだろうか。本人、家族は一体何を考えているのだろうか。年寄りを本当に思って医者を呼んだのだろうか。家族の年寄りに対する心のケアーが無いのではないか。
いろいろ考えました。
 某国、某県では生きる喜び、生きがい、を持とう。生涯学習、生涯運動、生涯現役、
80才になっても自分の身の回りは自分で出来るようになろう等々と、言っています。素晴らしい?スローガンですが、なんと空しい言葉でしょう。誰もそんなことは出来はしないと思っているのに。そうゆうことが出来る人は素晴らしい人たちであると思います。それはそれでめでたしめでたしで良いのです。
 しかしそうでない人たちの一部に上記のような現実があることは事実なのです。
何で生きているのだろう。いつまで生きているのだろう。早く死にたい。すぐ死ねる薬が欲しいと言っているひとに対して、小生は今までこう答えていました。まず、寿命と言うものがあって、神様か仏様か知らないけれどあの世にゆく時期を決めているので、神様がいらっしゃいというまではこの世にいるほかはないこと、いつあの世に行けるかは、医者も知らないことであること。もし自分で自分の命を縮めるようなことをすれば、家名(この言葉に意外と老人は納得することが多い)に傷が付くことになるので自殺は決してしてはいけないこと(老人の自殺は意外と多い。表面上は病死扱いとなることが多いので、目立たないと思っています)。毎日明るく生きて楽しい気分でいれば、ころっと逝けること。宗教的考えも必要なこと。生老病死の人生観、達観、死生命なりの潔さを、ときどき言っています。早く死ねる薬は安楽死になるのでそのような処方をしたら、あなたが黙っていても必ず悪事が露見して、小生豚箱行きで新聞に顔写真入りで載ってしまうので日本の現法律下ではできないことを言っています。。そして展望を与えることになるかどうか分かりませんが、必ず決まった時期に往診に訪れること(小生が死なない限り)。苦しいことがあったらすぐ駆けつけられること。孤独感を和らげられる方法を考えなさいと本人家族にときどきお話ししています。その1つは家族は出来るだけそばにいてやることだと思います。たとえ公的介護保険ができてもこの基本は変わらないと思います。人生に絶望してもなにか救いを求めているのが事実ではないでしょうか。だから
往診(安心)を求めてくるのだと思います。この考えは当然部分しかカバーできないものだと思いますので、2律背反のこの事象(医者を往診で呼んでいながら、死にたいと言うこと)には結論がでません。いや永久の課題かもしれません。
 表面上は穏やかでも、内面では生きる希望を失った、生きる意味を失った、生きていても仕方ないと思っている、しかし死を恐れている超高齢のご老人たちに希望と勇気(死生を越えた)をご自身達が如何に身につけられるか又は身につけさせてあげられるかが、1つの糸口になるのではと思う今日この頃です。難題です。それは皆全く違う人生を歩んできたので、結論も個々に違うと思うからです。ただ人生の功労者に有終の美を飾らせてあげることができれば素晴らしいことだと思います。
 それには若年の頃から死を見つめる心が大切なのだと思うのですが。
いづれ近き将来に若人も中年もその世代に遭遇するのですから。
(Death education is necessary to young and adult persons.) 未完終わり
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