高血圧症管理の最新情報(JNC-6,米国心臓病学会、1998)要約
1.血圧管理の方法(Dr Cohen)
 ・患者は上腕を露出させ心臓の位置に保持する。
 ・測定は5分間休憩後おこなう。
 ・適切なサイズのカフ(マンシェットとも言う)を用いる。
  カフサイズが小さいと誤測定、カフサイズは測定毎にチェック。
 ・測定機器は水銀血圧計または最新の検定された装置を用いる。
 ・最高(収縮期)血圧と最低(拡張期)血圧を測定する。
 ・2回以上測定の平均を用いる。
 ・測定30分以内にカフェインの摂取、喫煙はさける。

             血圧分類による勧告                                   
状態       最高血圧     最低血圧       経過観察期間の勧告         
最善       120               80              2年に1回測定すればよい
正常             130               85          2年に1回測定すればよい
高値正常     130-139           85-89           1年に1回測定すればよい
高血圧状態    140-159           90-99           2ヶ月以内に確認する
高血圧状態    160-179           100-109         1ヶ月以内に診断治療をする
高血圧状態      180+              110+             直ちに診断治療をする      

・クリニック以外での血圧の自己管理は下記の患者には適用となる
  白衣高血圧と持続性高血圧の鑑別
  降圧療法の薬の評価
  治療における患者のコンプライアンス(服薬状況)の改善
  医療費用の減少に役立つ可能性
  在宅血圧の正常高値は140/90から135/85となるので注意
・高血圧患者の心臓血管病発生の危険因子は
  血圧値、喫煙、脂質異常、糖尿病、60歳以上、性(男性、閉経後婦人)、
  心血管病の家族歴、標的終末器官(心、脳、腎等)の障害、
  心疾患(左室肥大、狭心症、以前の心筋梗塞、以前の冠動脈再疎通者、心不全)、
  脳梗塞、一過性脳虚血発作、腎疾患、末梢動脈疾患、網膜疾患
・危険因子群からみた生活指導及び治療
  危険群A-危険因子0個
  危険群B-少なくとも危険因子1個(但し糖尿病は含まない)
  危険群C-標的器官疾患と、または糖尿病
  血圧の段階と危険群との関係                                                     
  血圧(収縮期/拡張期)   危険群A      危険群B     危険群C      
   103-139/85-89    日常生活の変容  日常生活の変容   薬物療法
   140-159/90-99    日常生活の変容  日常生活の変容*   薬物療法
                     (*1つ以上の危険因子が
                      あれば薬物療法)
      160+/100+            薬物療法           薬物療法     薬物療法     
  *ただ単に高血圧症を治療するのではなく患者全体を治療せよ。

2.治療の最新情報(Dr Kaplan):生活変容は簡単ではないが降圧には有効である
 ・JNC-6が推薦した7つの生活変容
   1)肥満があれば減量
   2)アルコールの摂取は制限する(1−2杯のアルコールは有益)
   3)有酸素運動を増強する
   4)ナトリウムの摂取を減少制限する
   5)カリウムを適宜摂取する
   6)カルシュウム、マグネシュウムを適宜摂取する
   7)禁煙
 ・Dr Kaplanの興味ある研究:対象は895名(65-80歳の老人の高血圧患者)で
      服薬中止後、以下の4つ群に分け指導を行った。
      1.不干渉の群
      2.体重の減量の群
      3.ナトリウムの摂取制限の群
      4.体重の減量とナトリウムの摂取制限の群
   2.5年後の結果、1.不干渉の群は16%の患者が心血管の出来事(例えば血圧上昇)から解放。
    4.体重の減量(平均4.7Kgの減量)とナトリウムの摂取制限群(40mmol約2.34g)は44%の 
   患者が心血管の出来事(例えば血圧上昇)から解放という、わずかな努力で有益性は3倍であった。
・薬物療法は簡単で合併症がないことが必要であるが、文献的には利尿剤と
 ベーターブロッカー完全に治験されている(有効性が認められている)
 西暦2003年までにクロルタリドン(ハイグロトン、非サイアザイド系利尿薬)、
 アムロジピン(アムロジン、ノルバスク、Ca拮抗薬)、
 リシノプリル(ゼストリル、ロンゲス、ACE阻害薬)、ドキサゾシン(カルデナリン、α1遮断薬)の
 治験結果が分かることになっている(ALLHATの治験)。
・1日1回の投与で24時間コントロールする降圧剤が提供されるべきである。
・次の疾患を合併している薬剤の使用は
  心不全−ACE阻害剤と利尿剤
  蛋白尿のある糖尿病−ACE阻害剤
  収縮期のみ高い高血圧症−利尿剤と長時間作用のジヒドロピリジン系の降圧剤
  (SYS-EUR study:この組み合わせで致死性、非致死性脳卒中を42%減少させた)
   心筋梗塞後−β遮断薬とACE阻害薬
  Dr Kaplan は有益な効果を持つ組み合わせとして、前立腺肥大症−αブロッカーをあげ
  前立腺肥大症の症状軽減と降圧効果を指摘し、喘息を合併している高血圧者には
  β遮断薬は不適切と指摘した。

3.特殊なグループの降圧療法(Dr Ferdinand)
 米国における、人種、民族、子供、思春期、女性、老人、を特殊なグループとしてあげ、
 高血圧の発生頻度、疫学、薬剤に対する効果の差異について報告。
 ・人種、民族:
  アフリカ出身の米国人−高血圧の発生頻度が高く、若年で発症し、治療が遅れる。
  ヒスパニック(ラテン系米国人)−高血圧の発生頻度は低いが高血圧者の治療レベルは
                    低い。
  アジア系米国人と太平洋諸島の米国人−治療によく反応する。
  アメリカインデイアン−肥満と2型糖尿病が高水準に存在。
  以上のように人種によって変異に富むので、個々の工夫した治療が必要
 ・子供、思春期:現代のアメリカ文化では、座業、肥満の子が多い。日常生活の変容が必要。
 ・女性に関しては男性と同じであるが、経口避妊薬とホルモン代替療法(HRT)は高血圧の
  治療に禁忌ではない。
 ・高齢者(老人)に関しては収縮期血圧測定が拡張期血圧測定より良い。
  脈圧がもっとも良い指標になる。
  在宅血圧測定は白衣高血圧を否定するためにも有効である。治療のゴールと降圧は
  一般の人と同じであり、高齢者は正常高値血圧のままでよいということは正当性がない。                              (Cardio.net-American Heart Associationより要約)
                                  (by Cardionet-American heart association)
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