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アイディタロッド・トレイルはかつてアラスカ内陸部へ犬ぞりで郵便物や物資を運ぶ為の重要なコ-スだった。しかしアラスカ鉄道が開通してから1971年にハイキングコースとしてリオープンするまでは使われることはなかった。このトレイルは全長26マイル(約42km)の大自然を満喫できるハイキングコースだ。氷河から流れ出す川を渡るにも橋など掛かっていない。もちろんトイレも無くトレイルを照らす電燈も無い。
ハイキング1日目、この日の行程はクロウクリークより14マイル先のサンダージョージまでである。途中レイブン氷河を通り抜け、永遠と続くトレイルを歩いた。そしてついにこの日最大の難関水中歩行の場所まできた。川幅は約100メートル、おどろいたことに橋かない。その代わりに川を渡る方法が書いた注意書きの看板があった。それを読んでまたおどろく。そこには「川の両端にある白い木の目印をみてまっすぐ歩け、川に入る時は仲間と同時に入る事」と記載してあった。手を入れてみるとすごく冷たい。その川の源は氷河でその為流れる水は冷たかった。
ズボンをまくりあげ仲間と手をつなぎ川に入った。川の流れは速く川底は石などですごく歩きづらい。川を渡りおえキャンプが張れるような場所を探し約1時間歩いた。
キャンプサイトでは失敗ばかりだった。ひとつは飲み水の確保ができなかったこと。ふたつめはマッチを忘れた事だ。テントを張った周りには川はあったが川の水が白く濁っていて、持ってきた浄水機も役にたたず、残りわずかな飲み水で喉を潤した。またマッチを忘れたせいで、温かい食事はできずクラッカーなどで済ませた。
辺りもだんだんと暗くなってきたので食料と歯磨き粉を袋に入れて地面から2メートルくらい上の木の枝に保管した。これは野生の熊から身を守る為である。
2日目、この日も天気は良好、モーニングコールは小鳥達のさえずりだった。この日の行程はイーグルリバーのビジターセンターまでの12マイルである。朝食も取らずテントをすぐたたみ、飲み水が確保できる所まで歩いた。もうすでに昼まえ腹時計が鳴りっぱなしであった。ようやく青い川を発見、途中に出会ったハイカーにもらったマッチを使い、すぐにバックパックを下ろして温かい食事をとった。簡単な食事だったがすごく旨かった。
ゴールを目指して足を前へと進ませるが、疲れもピークに達し会話が長時間にわたってなくなっていた。熊避けの鈴も川の音に消されいた。そんなとき僕の前を歩いていた仲間が叫んだ。BEAR! BEAR!
そこには小熊を連れたブラックベアーが行く先をふさいでいた。熊との距離は約10メートル。母熊はこちらの様子をなめるように見ていた。僕達はベアースプレーを右手に持ち熊に話し掛けた「熊さん熊さんこんにちは・・」と。そうすると、たまたま小熊が反対方向へ去って行った為母熊もそれに続き助かった。辺りを見渡すとそこにはたくさんの熊の足跡があり、僕達は足早にその場を立ち去った。
この日のコ-スは平坦できれいな湧き水もあり1日目とは180度景色が違った。アイディタロッド・トレイルは僕達に自然の素晴らしさと自然の恐さを教えてくれた。
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