古典ギリシア語の発音について

 もし私たちが、古代ギリシア人のように考えるだけではなく、感性においても 古代ギリシア人に近付こうとしますなら、当時彼らが使っていたと思われる言葉の 響き、それも大切にしなければならないものの一つでしょう。このホームページ では、古典ギリシア語の発音は、次の二つの原則に従っています。

 一つは、紀元前の時代には、θ(テータ)、φ(フィー)、χ(キー)の発音は 、それぞれ、τ(タウ)、π(ピー)、κ(カッパ)の発音に近かったと考えら れていますので、前者も後者と同様な発音として取り扱いました。例えば、愛と 美の女神('Αφροδι′τη)は、アフロディーテーではなくて、アプロデ ィーテーとしました。

 もう一つは、長母音と短母音とをはっきり区別しました。例えば、女神へーラー 、アテーナーなどと発音します。ヘラ、アテナではありません。それに、へーラ ーがヘラと書かれていると、発音が正しくないばかりではなく、母系制の時代を 象徴する地母神、死と再生、多産と豊饒の力に満ちた女神が、いかにも矮小化さ れた感じになります。ホメーロスの叙事詩では、この女神は損な役回りをさせら れていますが、実際現地を訪ねれば、神殿の数や大きさからして、その信仰がい かに広く、また、深いものであったかを窺うことができます。

これら二つの原則に従いますと、代表的な地名や人名は次のようになります:

  ミレトス  ―――> ミーレートス
  エフェソス ―――> エペソス
  アテネ   ―――> アテーナイ
  タレス   ―――> タレース
  ピタゴラス ―――> ピュータゴラース

 ちなみに、古代のギリシア人たちは、彼らの世界をヘラス、彼ら自身のことを ヘレーネスと呼んでいました。ギリシアという呼び方は、英語のグリースもそう ですが、ラテン語のグラエキアに由来しています。

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